アルジェントソーマ感想(14話)
・アルジェントソーマ Phase:14「希望と混沌と」
今回の脚本を担当するのは、今作においてスペシャルコンセプターという立ち位置を任せられている野崎透さん。
今回はそんな野崎さんの登板もあってかいつもとは大きく作風が変わり、フューネラルのメンバーはエピローグに出てくるリウを除けばイネス以外登場せず、恐らく今回限りの出番になるであろう政治閥、軍閥、学者といったモブ要人とイネスによって行われる会議が1話のほとんどを占めるという非常に異質な回となりました。
そんな会議の議題はあらすじにもある、「エイリアンの目的は地球の侵略なのか、それとも巡礼ポイントへ向かおうとしていたのを我々人間が刺激したことによって反抗して攻撃してきただけなのか?」というもの。これをただ話し合えば良いだけでなく、侵略なら軍事に予算を回さなければならない、巡礼だったなら変に刺激して出さなくてもいい被害を出してしまったことを軍も政府もその責任を問われる…と政治的な面も含めて議論が白熱し、その上で最早軍や政府の面目を保つためにはどうであろうと「侵略」である形にしなければならない…という提案が為されるなど、「政治」という特性を用いてこの1話をただ2クール目の始まりとしてのテーマの総ざらい回とするだけでなく、しっかり物語に引き込む形で盛り上げてきました。これは野崎さんが流石の仕事。
そんな議題の中ではとにかく自分の立場を有利な物にしたいがために薄っぺらい根拠で主張する参加者がいたり、長々と脱線した話をする割には結局大した成果を得られていない学者がいたりと、この辺りのグダグダ具合は妙に実際の会議らしくて生々しく、面白かったです(笑)これが何話も続くとなるとダレるのですが、流石にこんなことをするのも今回限りだろう、ということで今回だけの禁じ手ということで。(今回のような話が続くと「ダグラム」や「ガサラキ」のような政治劇になってしまいますが、今作はそういう作品でもないので)
そんななかイネスは、話の中でエイリアンを人間のように扱っていることに気付く。そしてエクストラ1とハティの関係性から、エイリアンもまた人間のように心を持ち合わせているのでは…という主張をするが、女だから、ロマンチストすぎる、との色眼鏡で一蹴され、結局本題に関してもまとまらないまま会議は終わってしまう、というのが実に何というか(^^;
一方リウは、ミスターXから一度意志を持った人形は二度と自分の手の中に帰ってこない、という話をされる。その人形とはあのエイリアンであり、自分の中のもう一人の自分であり、そして自分の中で蘇る過ぎ去った過去であり…
2クール目の始まりを告げる話でしたが、開幕から実に野崎さんらしい話でいつもとは違ったベクトルながら実に面白く、今後にも期待のかかる話でした。今作を見終わったらサンライズチャンネルで1クールだけ見た「ガサラキ」の2クール目も見たいと思っています。
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