ナイショの約束 ~永久就職内定~
気がつけば1999年も終わりに近づきつつある11月。
イケちゃんとの関係は変わらず続いていた。
私の仕事は、派遣の契約が年末で終了になることになった。
次の仕事を探しつつ、収入が多くて、好きなことを仕事に出来そうと思った風俗も気になり始めていた。
いつものようにイケちゃんとSEXのあと、ジャグジーでまったり。
そんな時に仕事の相談をしてみた。
「稀琳って、本当にSEX好きだよな~
SEXを仕事にしちゃったら、戻れなくなるぞ!」
「私はイケちゃんとのSEXが好きなだけだよ。
誰とでもしたいなんて思ってないのにな~」
ちょっと、ふくれっ面になってみた。
イケちゃんは、後ろから抱きしめて私の胸を優しく揉みながら
「稀琳の身体を、俺の知らない男が触るのって
なぁ~んかイヤだなぁ~」
「本気でそう思ってる?」
「ウン、本気で思ってる!」
「でもさ、事務系も保育系もイイ求人がなくてね…
保育なんて、資格がないからほぼゼロだしさ。」
イケちゃんは少し考えたあとに、
「イイコト思い付いたぞ!」
と私を自分の方に向かせて、私の頬を両手で包み込んだ。
「イイコトってナニ?」
「センパイと付き合って、結婚しちゃえよ!
永久就職しちゃえばいいんだよ!」
私は目が点になっていたに違いない。
なんで、ビリヤードを一緒に組まされた、あんなチビのオッサンと付き合わなきゃいけないの?
せめてヒカルくんだったらいいのに…
「イヤだよ!
ヒカルくんだったら考えるけどさぁ~」
と答えた私。
イケちゃんは間髪入れず
「ヒカルはダメ!
アイツはO型で、俺と血液型が違うから!
もし俺の子を妊娠しても、
同じA型のセンパイならわからないからさ!」
「そういうこと?
でもね、あのセンパイはちょっと無理だなぁ~」
「なんで?
次男だし、金はそこそこ持ってるし・・・
鈍感だから、俺との関係に気がつかないよ!
イイ物件だと思うんだけどな~」
イケちゃんは、メッチャ推薦してくるけど、私にはその気になれない。
「永久就職するくらいなら、風俗の面接に行くわ!」
と言い捨てて、ジャグジーから出る私。
それを見てイケちゃんは何も言わずに私を見ているだけ。
着替えて、身支度を整えていたら、イケちゃんがやっとジャグジーから出てきた。
まだ濡れている状態で、抱きしめられた。
「稀琳、ゴメンね。
でも風俗だけは行かないで欲しいんだよ。
俺の知らないところで、稀琳がイクのがイヤなんだ。」
私は言葉を発せずに、ウンウンと頷くだけ。
「実はね、センパイが稀琳のことが
気になってるらしいんだ。
ビリヤードの後から、連絡先を教えろって
何度も言われててさ・・・
稀琳がイヤなら連絡先を教えないけど、
本当にダメ?
センパイなら稀琳のことを
幸せにしてくれると思えるんだよ」
「イケちゃんは、本気でそう思ってるの?
あの人と私がSEXしても、なんとも思わないの?
あの人との間に子どもが出来てもイイと思ってるの?」
私は半ベソで、イケちゃんに確認してみた。
イケちゃんは私の肩を優しく掴んで
「本気で思ってるよ。
前にも言ったでしょ。
俺は稀琳に幸せになって欲しいんだよ。」
イケちゃんは、いつものキスをしてくれた。
「じゃあ、私の携帯番号を伝えていいよ。」
イケちゃんは、私の頭をポンポンしながら
「明日にでも伝えるよ!
センパイからの連絡を待っててね!」
と笑顔になった。
これは1999年11月初めの頃のエピソード。
イケちゃんのセンパイから連絡があったのは、10日後位だった。
実は、このセンパイが私のダンナになるとは、この頃は全く思っていませんでした。
この当時から、子どもは早く欲しかったのですが、結婚はしたくなかったんですよね・・・