見出し画像

決意の盾…壱 ミリタリー長編小説

表紙画 航空自衛隊HP


Jアラート


2027年4月某日。

穏やかな休日の午後…。

北海道全域、東北地方に弾道ミサイル飛来のJアラートがけたたましく鳴り響いた。


Jアラートの1分前…北海道内自衛隊基地、駐屯地全てに戦慄が走った。

『警戒機より入電、ウルオロシアナ連邦より飛翔体発射。
レーダに飛翔体確認! 
ウルオロシアナ連邦、グリャナストクより発射されたものと思われます!予測着弾点解析中…。
よ、予測着弾地点! ここ千歳基地と思われます!着弾まで10分!!』

この時、更なる二つのミサイルが別々の場所から発射されたと早期警戒機から入電。

一つはオホーツク海洋上、もう一つはウルオロシアナ連邦ナラオルジョ基地から発射されたことがわかった。

『更にオホーツク海洋上から一基、ウルオロシアナ連邦、ナラオルジョ基地から一基、弾道ミサイル発射確認。
予測着弾地点、自衛隊稚内、網走、着弾まで稚内9分、網走10分!』

レーダー探知解析から北部方面隊指令部へと緊迫した緊急報告が入った。

陸上自衛隊、指令部陸将から幕僚長へ、幕僚長から日本政府へと緊急入電が送られた。

政府閣僚に緊急襲名がかけられた。

道内、各基地、駐屯地では警戒無線を同時に確認していたため、瞬く間に迎撃ミサイル、ペトリオットの配備は整ったのだった。

ウルオロシアナウグリャーノ侵攻


2022年、ウルオロシアナの隣国であるウグリャーノは軍事大国であるウルオロシアナ連邦の脅威によりNATO「北大西洋条約機構」加盟を申し出た。
それに真っ向から反対するウルオロシアナ連邦。ウグリャーノは元々ウルオロシアナ領地だとして牽制の意味でウグリャーノへ大規模な軍事進行を始め、都市の一部をウルオロシアナ連邦の領地奪還として強引にウルオロシアナ連邦の傘下に置いた。。

しかし、ウグリャーノ政府は強く反発。小さな衝突が次第にエスカレートして大規模な軍事攻撃へとなってしまった。

ウルオロシアナ連邦国家の強引なやり方にNATO加盟連合国はウルオロシアナ連邦に対し資産凍結等の経済制裁を行った。

更には、ウグリャーノに支援をしウルオロシアナに経済制裁を加えた日本に対しても、「日本の領土といっている北海道、北方四島は遥か昔よりウルオロシアナ連邦の領土であり、その権利は全てウルオロシアナにある」等と何も根拠のない難癖を付け、日本に牙を剥いたウルオロシアナ政府の一人である議員Sロマーノフ(ソロコフ・サーシャ・ロマーノフ)。

この年のウルオロシアナ大統領がウグリャーノ軍事進行に伴う大量虐殺で国際裁判にかけられ、重大な戦争犯罪とされ長い間留めていた大統領の座を失脚したあと、Sロマーノフが次期大統領となった。

元々日本に対して北海道に隣接している日本の領土である北方四島返還に反発していたウルオロシアナ連邦。

日本の領空、領海侵犯は日常的に行われていた。

そしてウルオロシアナ前大統領が大量虐殺の戦争犯罪として国際裁判にかけられ長い任期であった大統領の座を失脚。
 次期大統領には日本に対し宣戦布告とも取れる難癖を付けたSロマーノフが就任してからは、領空、領海侵犯が更に増え、日本の領海で漁をする漁船に対しても威嚇射撃を行うようになっていった。

日本政府はウルオロシアナに対し遺憾の意を露にし、更なる警戒の為、海上自衛隊稚内基地にイージス艦「はぐろ」、護衛艦「きりさめ」「さみだれ」、対潜水艦哨戒ヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」、はやぶさ型哨戒挺2挺が配属された。

その各艦艇は、この日も稚内沖で訓練の真っ最中だった。

自衛権発動


各艦艇はヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」を囲む陣形をとり、臨戦態勢に入った。

イージス艦「はぐろ」は防空システムで3基のミサイルを捕捉しつつミサイル迎撃体制に入った。

護衛艦「きりさめ」「さみだれ」は対潜、対艦警戒に。

千歳基地からはF15戦闘機2機がスクランブルでイージス艦隊上空へと飛び立ち、不測の事態に備え F15 3機 F35 5機 三沢基地からは純国産第5世代戦闘機F3が3機稚内基地へと向かった。

ヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」からも対潜水艦ヘリコプター、シーホークが潜水艦警戒の為5機飛び立った。

この時点で、既に数分を要していた。

稚内陸上自衛隊ミサイル迎撃部隊長、日下部2慰は緊張の面持ちでいる部下達に声をかけた。

『今までの厳しい訓練はこの日のためのものだ! その成果を日本国民に見せるときが来た。イージス艦が撃ち洩らしたら我々の出番だ!緊張しすぎるな!厳しい訓練を思い出せ!訓練の成果を見せてやれ!』

『はい!』

ミサイル迎撃部隊長の激励に、隊員達の士気は高まった。

その頃、ウルオロシアナの弾道ミサイルがイージス艦「はぐろ」の迎撃ミサイルの射程に入った。

『ミサイル3基、大気圏外本艦射程内! 照準よし!』

『一発も撃ち漏らすな!迎撃ミサイル発射!』

艦長の声にミサイル発射のボタンが押された。

『てっ!』

イージス艦「はぐろ」艦橋前から、射程上空1000キロの3基の迎撃ミサイルが飛び出して上空へと上がっていった。

数十秒後、イージス艦「はぐろ」のレーダーからミサイルを示していた赤い点が大気圏内で3つ消えた。

『ミサイル3基の撃墜確認!』

各艦内、北海道内、各基地にも安堵のため息が漏れていた。

その時、再び防空警戒の無線が早期警戒機から送られてきたと同時に、イージス艦レーダーにも多数の脅威を示す赤い点が現れた。

『ウルオロシアナ本土より航空機20機国後に向かう模様。艦船航空母艦艦隊5隻国後北を航行中。弾道ミサイル3基確認、警戒を厳にされたし』

イージス艦「はぐろ」は3基の弾道ミサイルを捕捉しながら、航空機を数機レーダーに補足した。

ここで、漸く日本政府は自衛隊各方面隊に自衛権発動、防衛出動の意を告げるのだった。


対艦ミサイルを積んだ機動力のある、はやぶさ型哨戒挺2挺が艦隊の先頭に出ていった。

スクランブルしたF15 2機は翼下に補助タンクと空対空ミサイル2基を抱えたままイージス艦隊の上空を音速を越える速度で通過していった。

千歳基地、三沢基地より稚内基地へ向かったF15 3機 F35 5機 F3 3機は敵機多数の無線を傍受すると同時に各機は音速を越え稚内基地へと向かった。

各機は数分で稚内基地へ着陸と同時に燃料補給各対空ミサイルの装備を再確認。

『ガソリンスタンドは一足先に空で待機してるからな。
ガス欠の心配はない。思い切り暴れて奴等を追い返してやれ!』

自機担当整備長の言葉にパイロットは左手の親指を立てて応えた。

『ただし、必ず戻ってこいよ! いいな!』

整備長の言葉にパイロットはコクッと小さく頭を動かしただけだった。


各機は着陸5分後に再び離陸出撃。

音速を越えて敵機へと向かうのだった。


つづく。。。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?