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アヌデラージュ冒険戦記 6【連載小説】
冒険ファンタジー エンターテインメント✨️
前回のあらすじ
ヴェルザス領地 タイグランド自治区 血盟ギルド ブレンガッドに攻城戦の宣戦布告を受けて、戦力を整えつつあったヴェルグラーレ自治区血盟ギルド「ブルヘッド」。
そこへ宣戦布告無しにブルヘッドへ奇襲をかけてきたタイグランド自治区 血盟ギルド「ブレンガッド」は他領地、ギルヌーヴ領地 コルデラッド自治区血盟ギルド 「ソルデランサ」を引き連れていた。
宣戦布告無しに、他ギルドへ攻撃、または奇襲をかけることは領地紛争に於いて許される事ではないが、それで領地を奪い取れば実効支配となってしまう。
ただ、そうなった場合には、他ギルドの圧力や貿易等に悪影響が出ることは避けられなくなる。
とは言え、今回のブルヘッドに対するブレンガッドとソルデランサの奇襲は、ブルヘッドに宣戦布告をしたエルグラーニャ自治区血盟ギルド 「エルグリラ」盟主 ヴラドゥール • オーレン • バニッシュによる、ブルヘッドの戦力を削り、弱体化を狙った策略であった。
その悪巧みを知った、ヴェラックウェル自治区
血盟ギルド 「シャルグーレ」豪傑血盟主 フレイド • ケイス • アランティーノが、ブルヘッドへ加勢するため為駆けつけたのであった。
そこでブレンガッドの大砲と砲手を潰したブルヘッド第三剣士軍部隊隊長アヌグレッサ•エスタリア•ミオと合流するのである。
睨み合い
『おぉ!ブルヘッドの第三剣士軍部隊隊長のミオ殿、久しぶりですな!あっ、もしかしてこの周りの惨状はミオ殿が?』
アランティーノは大げさに辺りを見渡してから私を見た。
『その通りでございます。ルールを無視する愚か者の成敗です』
『なるほど···暴れっぷりは相変わらずですな?ミオ殿。ソルデランサ血盟軍もこうなるのを覚悟の上だそうです。このまま帰せば再び戦力整えて、今度は何食わぬ顔でエルグラーニャ自治区血盟ギルド 「エルグリラ」とブルヘッドに攻め込みそうだから、ここで完膚なきまでぶちのめすのも良いかもしれませんな、ミオ隊長。既に前方のブレンガッドはブルヘッドにお手上げ状態のようだ。こっちもソルデランサにお手上げさせましょう!ご一緒いただけますかな?ミオ隊長』
『もちろんですわ!アランティーノ盟主が居られれば、我々が手を出すまでもありませんが、我が部隊もウズウズしてるようなのでご一緒させていただきます』
『というわけだ。コルシカ。もうあんたらを帰すわけにはいかん』
アランティーノはそう言って、ソルデランサ血盟主サルベイジ • アルグレッド • コルシカを見てニヤリと笑った。
『前衛盾突き槍構えー!』
ソルデランサ血盟主サルベイジ • アルグレッド • コルシカは部隊に号令をかけ争う構えを見せた。
『戦闘陣形配置着けー!前衛盾構え』
血盟ギルド シャルグーレ 盟主 フレイド • ケイス • アランティーノも部隊に号令をかけた。
『文字通り盾突きやがった‥‥』
ブルヘッド第三剣士軍部隊副隊長のベルジャ• ケネス • アレンが呟いた。
『副隊長!やるよ!私達はソルデランサの後衛、弓兵、大砲潰す!いい?』
私は副隊長のアレンの士気を確認するように副隊長を見て言った。
『問題ないぜー!隊長!楯突く奴等は弾いてやろうぜ!』
『副隊長!相変わらず頼もしいねっ!頼りにしてるよ!』
『おうよ!じゃ、今度デートしてくれっか?隊長!』
『考えとく!いくよっ!』
『第三剣士軍部隊!ソルデランサ後衛に突撃!召喚獣と共に我に続けー!』
エルフ剣士の副隊長アレンが部隊へ指示を出した。
私は血盟ギルド 「シャルグーレ」豪傑血盟主 フレイド • ケイス • アランティーノにソルデランサ後衛を潰すと伝え、アランティーノ血盟主にウインクをした。
『ご武運を!』
アランティーノ盟主は私にそう言って、右手に持つ両刃槍を高々と上げた。
その時ソルデランサ血盟軍後衛、600名の弓部隊から600の弓が矢継ぎ早に3回、計1800の矢が放たれた。
一呼吸おいて、同じ様に1800の矢が放たれた。
同時にシャルグーレ血盟軍頭上に、魔法陣を平面に丸く描いた様な盾が張られた。
攻撃魔法職マジックフェロー達の強固な魔法盾「ソリッドシールド」が幾つも広がった。
ソルデランサの弓兵が放った3600本の矢は、魔法陣ソリッドシールドに吸い込まれる様に消滅した。
衝突
『前衛、ソルデランサへ突撃!』
シャルグーレ血盟主フレイド • ケイス • アランティーノの声が響いた。
シャルグーレ楯突き前衛は盾を地面から上げ、槍を前に突き出し走り出した。
前衛剣士もそれに続き、様々な召喚獣を呼び出した。
それほど大きくないが、空を飛ぶドラゴンや大きな鷹や鷲の召喚獣もいて、ドラゴンは火を吹き、大きな鷲や鷹の猛禽類は人の大きさ程の岩石を足で掴み、ソルデランサ上空から幾つも落とした。
しかしソルデランサ血盟軍も魔法シールドを張り巡らせ、飛翔系召喚獣ドラゴンや大きな猛禽類を呼び出した。
地上では、ヴェルザス領地の召喚獣、白狼、銀狼、黒狼とギルヌーヴ領地の黒豹、白虎、獅子獸が両者前衛の後ろに付いて走り、召喚主の攻撃合図を今か今かと待っていた。
ソルデランサ血盟軍前衛盾剣士、とシャルグーレ血盟軍前衛盾剣士がぶつかり合う直前。
其々の召喚獣の主は攻撃命令を出した。
怒声と盾と槍がぶつかり合う重苦しくも激しい音が地を伝い空気を震わせた。
両軍の召喚獣も軍隊の頭上でぶつかり合い、唸り声と咆哮が入り混じり、絡み合いながら地面を転がり、体勢を立て直すと再びぶつかり噛みつき引き裂きあった。
そこからは剣をぶつけ合う乾いた音と両軍隊の怒声があちらこちらから聞こえていた。
ミオ率いるブルヘッド第三剣士軍部隊は、ソルデランサ後方へ回り込み大砲と砲手に襲い掛かった。
『砲台攻撃、召喚獣放てー!』
召喚獣、白狼、銀狼、黒狼は砲台目掛けて突進した。
『ソルデランサ後衛、支援職メイジと弓兵の攻撃にかかれー!』
『おぅっ!』
私の声と副隊長の号令に即反応する第三剣士軍部隊を、この時改めて誇らしく思った。
召喚獣も部隊剣士も負傷はしているが士気は十分高かった。
10門の大砲砲台を破壊した白狼、銀狼、黒狼は其々の主の元へゆき加勢に付いた。
他領地ギルヌーヴ領、コルデラッド自治区血盟ギルド 「ソルデランサ」は豪傑血盟主率いる「シャルグーレ」に押され始めていた。
強気を見せていたソルデランサ血盟主 サルベイジ • アルグレッド • コルシカは後退を余儀なくされた。
後衛の回復支援職のメイジ達を失ったことも後退の要因となった。
頭上で衝突していた飛翔系召喚獣も致命傷を負い、主が召喚を戻していたりで争い合う召喚獣の数が減っていた。
ソルデランサ盟主、コルシカの思惑
『待て待て待てぃっ、コルシカ!勝手に他領地を荒らして帰れると思ってるのか!』
ギルド血盟軍 シャルグーレ血盟主 槍使いのフレイド • ケイス • アランティーノは、ギルヌーヴ領地血盟ギルド ソルデランサ血盟主サルベイジ • アルグレッド • コルシカを怒鳴り付けた。
アランティーノの言葉に、コルシカはニヤリと不敵な笑みを浮かべて持っていた槍を投げ捨てた。
『フレイド • ケイス • アランティーノは武器を持たない丸腰の相手を叩き斬るのか?皆武器を放棄して退却だ!武器を持たなきゃ軍隊ではないからな。帰らしてもらうぜ』
『クソ野郎‥‥』
この世界では軍隊の兵は、武器を持たない者への威嚇や攻撃、怪我など負わせた場合重罪となる。これは各領地共通の法であり軍隊は尊守すべき法である。
コルシカとアランティーノの場合でも、法は適用される。しかし、この場合コルシカは盟主として、とても恥ずかしく情けない事であり、腰抜け、卑怯者と呼ばれてもおかしくないのだが、コルシカもそれは承知の上で武器を放棄したのである。
ブルヘッド第三剣士軍部隊隊長のミオも副隊長のアレンも、武器を放棄して負傷者を召喚獣で運び、撤退していくソルデランサ血盟軍を見ていた。
ミオは何気なく捨てられた剣を掴み拾い上げた。
造りは雑で刃は欠け、捨てても痛くも痒くもない剣だった。
『副隊長。奴等が捨てていった武器拾ってみて』
『よっしゃ、どれどれ‥‥何じゃこの武器?三流四流の酷い武器だな‥‥』
『だよね。もしかしたら奴等、最初からこうするつもりだったのかもね。アランティーノ盟主にも話しておこう』
『そうだな』
私と副隊長アレンは、シャルグーレ血盟主フレイド • ケイス • アランティーノにこの事を話した。
『なるほど‥‥最初からこうするつもりだったのなら、卑劣極まりない奴だな、コルシカは‥‥』
アランティーノは呆れた顔で撤退するソルデランサ血盟軍の後ろ姿を見ていた。
『でも、何で早い段階で武器を放棄しなかったんだ?犠牲も出さずに済んだのに‥‥』
アレンが独り言のように誰にともなく呟いた。
『それは多分、俺がコルシカを煽ったからかも知れん』
アランティーノが槍の刃先の汚れを布で拭き取りながらアレンを見た。
『なるほど‥‥』
『ただ、コルシカが今回ブレンガッドに加担したのか、エルグリラへの協力なのか見極めた方がよさそうだな』
『そうですな‥‥』
アランティーノの言葉にアレンは頷いた。
『ブレンガッドが撤退しないのを見ると、コルシカはエルグリラへの協力かもしれないね』
アレンとアランティーノは私を見て頷いただけだった。そして私はブルヘッドを相手に壊滅寸前のブレンガッドを遠くに見ていた。
『ミオ殿、我々シャルグーレの兵を休ませてはもらえないか?』
アランティーノが私をみた。
『どうぞ遠慮なく。ガルシニア盟主も大歓迎だと思います。我が城と街でゆっくり休まれてください』
『ご厚意感謝します』
『いいえ』
『皆、今夜はブルヘッド、ヴェルグラーレ自治区で休む事とした。無礼の無いようゆっくり休んでくれ。召喚獣の回復を忘れないよう頼む』
『おぅっ!』
『では、ブルヘッドに世話になろう。皆行くぞ!』
『おぅっ!』
夕陽に染まる高台にあるブルヘッド城。
その下に広がる大きな城下町、ヴェルグラーレ自治区が夕陽に赤く染まっていた。
『副隊長、何かヤケにヴェルグラーレ自治区と城が紅くない?』
『言われてみれば何時もより紅いな』
『『紅いのは闘いで流れた血が多かったのかもしれないな』
アランティーノが呟いた。
この時、ヴェルグラーレ自治区ブルヘッド城下町の民も、何時もより紅いと騒ぎ出した。
ブルヘッドとブレンガッドの血のせいではないか、と街での噂は瞬く間に広がり、その後ヴェルグラーレ自治区 ブルヘッド城は「紅い城」と呼ばれるようになるのである。
続く。。。
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表紙、挿入画illust ac photo AC
概要
時はアヌデラ西暦1500年。
世界七大陸のうちの一つ、一番大きなアヌデラージュ大陸。
アヌデラージュ大陸七領地
ヴェルザス領
ギルヌーヴ領
ティオノス領
エストギラン領
グルディア領
オレンス領
アデュスラン領
ヴェルザス領地 ヴェルグラーレ自治区
戦闘ギルドBHD (bullheaded)
最強の意味をもつ「ブルヘッド」
盟主 イクセィラ • クルフ • ガルシニア 「ヒューマン」♂️
グランデュエル OP
副盟主 アウラ•エスト•ラシュリー
「ヒューマン」♀️
グランデュエル OP
司令官 エルディック • エンソル • クラゥディ 「ヒューマン」♂️
マジックフェロー
軍師 エルドラド • ウェンツ • エリウス
「ヒューマンオーク」♂️
ブレッキャスト OP
外交 エストラダ • ヴィラーギ • アドロ
「ヒューマン」♂️
グラディエーター
外交 エスティル • フリック • ケイジー
「ダークネスエルフ」♀️
ダークネスウィッチ
ギルド 戦闘員
剣士タンカー 「防御」 500名
剣士アタッカー 「攻撃」 500名
魔法アタッカー 「攻」 300名
魔法エンチャント 「防」 300名
魔法 回復ヒーラー 「防」 300名
弓兵 「遠隔攻撃」 600名
砲兵 大砲50門「遠隔攻撃」 100名
カタパルト20基 「投石機」 100名
総兵数 2700名
予備兵 800名
第三剣士軍部隊隊長
アヌグレッサ•エスタリア•ミオ
第三剣士軍部隊副隊長
ベレジャ • ケネス • アレン
ヴェルザス領地 エルグラーニャ自治区
血盟ギルド 「エルグリラ」
盟主 ヴラドゥール • オーレン • バニッシュ♂️
ヴェルザス領地 ヴェラックウェル自治区
血盟ギルド 「シャルグーレ」
盟主 フレイド • ケイス • アランティーノ♂️
ヴェルザス領地 ヴュルッセオ自治区
血盟ギルド 「グリードゥラ」
盟主 インドゥーラ • ヌルカ • ベクトル♂️
ヴェルザス領地 エストランタ自治区
血盟ギルド 「モズレナ」
盟主 サーラント • スレッダ • エブリア♀️
ヴェルザス領地 タイグランド自治区
血盟ギルド 「ブレンガッド」
盟主 エルミナ • ブレン • ガトゥラ
ギルヌーヴ領地 コルデラッド自治区
血盟ギルド 「ソルデランサ」
盟主 サルベイジ • アルグレッド • コルシカ