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撃攘の盾… 弐拾弐 現代ミリタリー小説


ミサイルの応酬


ウルオロシアナ、ハルキロ級潜水艦を航行不能にした海上自衛隊潜水艦「やまぎり」は通信アンテナ深度へ浮上した。

ウルオロシアナ戦闘機と対艦ミサイルイージス艦隊と航空自衛隊戦闘機の激しい戦闘を見るように、自衛隊航空機とイージス艦隊の無線が飛び交っていた。

日本領空防衛は熾烈を極めていた。
航空機数では劣勢ながらも、航空自衛隊はパイロットの練度の高さで対等に渡り合っていた。

航空母艦「いつくしま」航空隊臨時基地とされた女満別空港には三十機のF3がサロマ湖防衛で待機していたが、十機が「まや」イージス艦隊護衛と領空防衛に加わった。

一方、ウルオロシアナ、北海道サロマ湖上陸、北海道侵略を始めようとしている大艦隊は、オホーツク海上空の航空自衛隊とウルオロシアナ空軍の戦闘域を日本の領海ギリギリに迂回してサロマ湖へ向けて、日本領海へ侵犯を始めていた。

そして大型ミサイル巡洋艦と艦対地ミサイルを積んでいるミサイル艦2艦から艦対地、長距離巡航ミサイルが発射された。

3艦から発射された巡航ミサイルはサロマ湖へ向けて矢継ぎ早に一定の間隔で発射された。

サリハンスークからはウルオロシアナ戦闘機が途絶えることなくイージス艦「まや」艦隊に向かっていて、サリハンスークからの巡航ミサイルと弾道ミサイル迎撃にイージス艦「まや」は奮戦するも、迎撃ミサイル残数が少なくなっていた。

イージス艦隊にはミサイルの数には限りがある。

戦闘中では、補給艦からの補給もままならない。

ウルオロシアナは、この消耗戦を狙っていた。

そして、日本航空母艦「いつくしま」艦隊はジャミング(妨害電波)を発しながら、米空母打撃群と共に狭い根室海峡を抜け、知床を回り込みオホーツク海へ入ろうとしていた。

早期警戒機と衛星リンクを介し、ウルオロシアナ軍によるサロマ湖上陸、北海道侵略のため領海侵犯をする大艦隊の動きを注視していた。

サロマ湖へ向けて航行中のウルオロシアナ艦隊より、サロマ湖200㌔沖から発射された長距離巡航ミサイル6機は紋別空港へ向かい、後から発射された6機はサロマ湖へ向かっていた。

紋別空港、陸上自衛隊高射特科部隊とサロマ湖周辺に展開している野戦特科部隊、高射特科部隊は対空戦闘に突入した。

高射特科部隊、二等陸佐  持田英二隊長は即座にペトリオット迎撃ミサイル発射の命令を下した。

サロマ湖防衛高射部隊のペトリオットから防空ミサイル誘導弾が6機発射された。

サロマ湖100㌔沖海上でウルオロシアナ巡航ミサイル6機がペトリオット防空ミサイルにより破壊された。

サロマ湖野戦特科部隊から長距離地対艦ミサイル4機、5秒後に更に4機がウルオロシアナサロマ湖上陸艦隊に向けて発射された。

海面ギリギリを音速を超える速さで飛翔する対艦ミサイルは、数分後ウルオロシアナ艦隊前で大きく上昇して、艦隊上空から急降下を始めた。

しかし、8機の対艦ミサイルは全て迎撃されてしまった。

紋別空港からの対艦ミサイル4機もウルオロシアナ艦隊に迎撃された。

ウルオロシアナ艦隊も機関全速でサロマ湖を目指しながら、艦対地ミサイルをサロマ湖及び周辺を目標にしていたが、陸上自衛隊  高射特科隊に迎撃された。

ウルオロシアナ戦闘機、北海道進入


ミサイルの応酬が始まると、国後と択捉島の破壊された飛行場から、誘導路と一般道を使い、残っていた戦闘機と地上攻撃機が離陸を始めた。

北海道知床の羅臼に展開していた陸自偵察隊から国後島の残存航空機の離陸、低飛行で編隊を組み始めたとの報告が女満別空港の「いつくしま」航空隊に送られた。

女満別空港から、機体内のミサイル格納庫以外に、翼下のハードポイントにもミサイルを抱えるビーストモードのF3 二十機が次々と離陸を始めた。

航空母艦「いつくしま」からも直掩機十機が発艦した。

米空母打撃群からも直掩機十機が発艦、戦闘態勢に入った。

国後上空で編隊を整えた戦闘機と地上攻撃機は、大胆に釧路から進入して北海道内陸からサロマ湖を目指す編隊と、オホーツク海からサロマ湖に向かう編隊に分かれた。

北海道内陸からサロマ湖へ向かう戦闘機は地上攻撃機二十機と戦闘機二十五機とオホーツク海からサロマ湖へ向かう編隊も地上攻撃機二十機、戦闘機二十五機であった。

女満別空港のF3がサロマ湖へ向かった後に、釧路から北海道へ進入するウルオロシアナ空軍。

地上攻撃機十機が、たんちょう釧路空港、根室中標津空港と、女満別空港を攻撃しながらサロマ湖へ向かう事になっていた。

対戦車ヘリコプターが駐機する根室中標津空港だけは、空港灯火を全て消灯して闇に隠れていた。

低空飛行で釧路から進入してきたウルオロシアナ空軍戦闘機と地上攻撃機は釧路空港を目指した。

陸自高射隊の猛攻


釧路空港から陸自高射隊の地対空ミサイルが8機舞い上がった。

更に5秒後に8機の地対空ミサイルが釧路空港から舞い上がった。

地対空ミサイルを予測していたとはいえ、夜間の飛行は鉄塔の電線等にも注意が必要だった。

地対空ミサイルに追い回されるウルオロシアナ航空機編隊は散り散りにバラけ二機の地上攻撃機が市街地に墜落、戦闘機一機が釧路たんちょう公園近くの鉄塔の高圧線に引っかかり空中爆破を起こし墜落した。

その爆発を目にしたパイロットは危険な低空飛行を止め高度を上げた。

地上攻撃機の空対地ミサイルが二機空港内敷地に着弾した。

しかし、そのミサイルを放った地上攻撃機は地対空ミサイルにより撃墜された。

ウルオロシアナ空軍は撃墜された航空機と舞い上がる連射高射砲の閃光弾を横目に見ながら、三機を失ったたんちょう釧路空港を後に、根室中標津空港に向かった。

しかし、空港管制灯火を全て消灯していた根室中標津空港を見つけることができないまま、ウルオロシアナサロマ湖攻撃編隊は女満別空港へ向かった。

サロマ湖上空の攻防


一方、オホーツク海からサロマ湖へ向かったウルオロシアナ空軍、サロマ湖攻撃編隊は迎え撃つ「いつくしま」航空隊F3に苦戦を強いられていた。

加えて、航空母艦「いつくしま」艦隊のイージス艦「いせ」に加えてミニイージス艦ともいわれる、もがみ型護衛艦 「やましろ」「むつ」「かねしろ」「ふそう」4艦の強力な防空網にウルオロシアナ戦闘機、地上攻撃機には手も足も出ない状態でサリハンスークの空港へと飛び去っていった。

イージス艦「いせ」には試射を終えたばかりのレールガンが搭載されていて、この戦闘において弾道ミサイルの迎撃に初めての成功を収めることとなった。

弾丸速度はマッハ6(時速7344キロメートル)
全長6㍍、口径40㍉の砲身から発射される弾丸は、秒速2297㍍の速さで最大200㌔の射程距離を誇る。

イージス艦「いせ」にのみ装備されている最新兵器であるが、レールガンの弱点である電力供給と砲身の強化を克服した試射段階とはいえ、弾道ミサイル迎撃に成功した事は、自衛隊にとって大きな飛躍であり、大きな抑止力効果に貢献するものとなった。

この自衛隊のレールガンによる成果に、一度は諦めたレールガンも米軍にとっても再認識するものとなった。

ウルオロシアナは自衛隊がレールガンを研究している事を把握してはいたが、こうして実戦で成果をあげたことに戸惑いを見せるのであった。

そして、日本時間午前2時。ウルオロシアナは前日の午後8時。

元ウルオロシアナ副大統領ミリヤコフは明朝早い時間に、ウルオロシアナ大統領、Sロマーノフ暗殺の決行を決めていた。

その後、自らの責任として自決する事を決めていた。


続く


ちょっと更新遅れてしまいました💦
火曜更新を宣言していたにも関わらず申し訳ありません_(._.)_

安桜芙美乃


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