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撃攘の盾… 拾伍

表紙画
出典:防衛省ホームページhttps://www.mod.go.jp/j/policy/defense/nextfighter/index.html
次期戦闘機の開発について、より引用


押し寄せる大規模な敵戦闘機


北方4島の択捉島飛行場には自衛隊イージス艦隊を攻撃目標とする戦闘機50機。

国後島飛行場にはサロマ湖周辺の自衛隊戦車部隊攻撃の対地攻撃戦闘機とそれを援護する戦闘機合わせて100機。

そしてウルオロシアナ本土サリハンスーク飛行場には自衛隊稚内基地、千歳基地攻撃編隊として大型爆撃機6機、大型爆撃機を援護する戦闘機は50機を越えていた。

その集結していた戦闘機第一波が動き出した。

航空自衛隊戦闘機を相手とするウルオロシアナ空軍第一波は、各飛行場から合わせてイージス艦隊攻撃、サロマ湖防衛陸自戦車連隊攻撃、イージス艦「まや」「しらぬい」攻撃の80機の戦闘機が編隊を組み飛び立った。

この大編隊は、確実にイージス艦を仕留めようというウルオロシアナの策略の表れだった。

これを迎え撃つのが紋別空港から出撃する航空自衛隊千歳203飛行隊ステルスF35 (ビーストモード)30機。

敵の射程外から攻撃できるアウトレンジステルス空対空長距離ミサイルを各機2基ずつ翼下に抱えて次々と飛び立っていった。

千歳203飛行隊長、小林二佐は部隊内の無線を開いた。

『小林だ。地対空ミサイルが敵機を捉えたら我々のミサイルが射程に入り次第ステルス空対空ミサイル2機放て。
 後はイージス艦と衛星が敵機を補足してくれる。
地対空ミサイルに追い回される敵機に追い討ちをかける。
 出撃前のブリーフィングでも言ったが、我々はミサイルを発射した後、ビーストモードで交戦に入る。20分交戦したらミサイルが残っていても我々は帰投する。
 攻撃開始から10分経ったら稚内空港より202飛行隊のF15が第2波攻撃隊として出撃する。
空港を円滑に稼働させる。
ミサイルを発射して20分の交戦の後、紋別空港に戻り燃料と短距離ミサイルをビーストモード装備で、我々は攻撃隊第3波としてすぐに飛び立つ。
 あと10秒で地対空ミサイルが敵機と接触する。
…5,4,3,2,1,発射! 発射したら10分の戦闘後、全機空港に!』

イージス艦「まや」と護衛艦「しらぬい」は既に空自F3と陸上自衛隊の地対空ミサイルと共に敵戦闘機と交戦しながら抜けようとしていた。

イージス艦「はぐろ」

イージス艦「はぐろ」戦闘指揮所…。
通称CIC(Combat Information Center)


『F35ミサイル発射、60機捕捉』

対空レーダー監視より報告が入った。

『対空戦闘用意!』

イージス艦艦内に艦長の声が響いた。

イージス艦「はぐろ」防空システムが陸上自衛隊の地対空ミサイル補足後、F35のミサイル60機を捕捉、データリンクを介して瞬時に各ミサイルを敵機に振り分け衛星と連携、誘導を始めた。

地対空ミサイルにより十五機の敵機が被弾、撃墜された。

ほんの数秒後、敵機がアウトレンジステルスミサイルに気付いたときは、既に回避が難しい距離に迫っていた。

ウルオロシアナ戦闘機は次から次へと湧くように現れた。

アウトレンジステルスミサイルは24機の敵機を撃墜した。

間髪入れずに、イージス艦「はぐろ」は「きりさめ」「さみだれ」と連携を組み、艦対空ミサイル8基を射ち上げた。

数秒後、「きりさめ」「さみだれ」が発射した艦対空ミサイルはウルオロシアナ戦闘機を追いかけ回していた。

自衛隊イージス艦隊は続けて10基の艦対空ミサイルを射ち上げた。

艦対空ミサイルの標的とならなかったウルオロシアナ戦闘機は空対艦ミサイルを自衛隊イージス艦隊に向けて発射、反撃を開始した。


『敵戦闘機から対艦ミサイル20 本艦直撃軌道!』

イージス艦「はぐろ」対空レーダーに敵戦闘機から放たれた対艦ミサイルが赤い点で示された。

イージス艦防空システムが瞬時に作動して、護衛艦「きりさめ」「さみだれ」から迎撃ミサイルが発射された

『チャフ発射、面舵いっぱーい』

イージス艦「はぐろ」護衛艦「さみだれ」「きりさめ」は回避行動に入った。

敵対艦ミサイル16機が「きりさめ」「さみだれ」から発射された迎撃ミサイルに破壊された。

残りの4機が「はぐろ」に襲いかかった。

『主砲、対空機関砲撃始め!』

艦長の声に、砲術長の主砲発射復唱のあと「はぐろ」の主砲と近接防空のファランクスCIWS が連射を始めた。

主砲によりミサイル1機が破壊された。

残る3機にイージス艦「はぐろ」から尚も毎分4000発前後の対空機関砲2機(ファランクス)が火を吹いた。

対空砲本体のレーダー波でミサイルを確実に捉えた。

「はぐろ」の対空砲はミサイルを150メートル先で2機破壊。

4機目のミサイル迎撃破壊は「はぐろ」に至近弾となり、破壊されたミサイルの破片が高速で「はぐろ」に降り注いだ。

破壊されたミサイルの破片がガガガガッと音をたてて「はぐろ」の船体に当たっていた。

『ダメージコントロール、被害状況報告せよ!』

「はぐろ」艦長の声に、戦闘指揮所、通称CIC(Combat Information Center)へ次々と報告が入った。

『機関正常、航行に支障なし』を最後に全て異常無しの報告に艦長は仕草こそ見せなかったが、内心胸を撫で下ろすのだった。

鉄壁の盾


そこへ、三沢基地302飛行隊のF3と、航空自衛隊岩手県山田分屯基地、青森航空自衛隊車力分屯基地より戦闘機増援でF2  十五機とF15  十機、千歳203飛行隊F35  十機がイージス艦隊「まや」「はぐろ」の援護に飛来した。

『皆、なるべく僚機を離れるな!
そして敵機撃墜を躊躇するな!
戸惑いを見せたらこちらがやられる。
以上だ。皆の無事を祈る。
これより交戦に入る、攻撃開始!』

三沢302飛行隊長、加藤二佐はそう言って各機に攻撃開始を命じた。

ウルオロシアナとの戦闘二日目の午後四時。

サリハンスーク飛行場では大型爆撃機が、北海道自衛隊稚内基地と千歳基地、夜間空爆準備を整えつつあった。

オホーツク洋上での航空自衛隊とウルオロシアナ空軍の空戦は、ウルオロシアナ空軍と航空自衛隊のパイロットの練度の差は明らかだった。

そこに加えて陸上自衛隊の地対空ミサイルが活躍したことで陸海空、各自衛隊は鉄壁の盾となっていた。

航空自衛隊は数でこそ劣勢だが練度では圧倒的に有利な展開であった。

これまでに、自衛隊機はF15 1機とF35 1機、合計2機が撃墜された。

パイロットは全て脱出を確認されていた。

ウルオロシアナ空軍は50機以上の撃墜が確認された。

空と海は鉄壁の盾で守られていた。

しかし、それもこのあとに起こるウルオロシアナの北海道自衛隊稚内基地と千歳基地への夜間空爆までのことになるのである。


続く…






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