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撃攘の盾… 捌 現代ミリタリー長編小説
第3護衛艦隊
ウルオロシアナ軍が、サロマ湖上陸を匂わせた数時間前。北海道釧路沖航行中の旗艦イージス艦「まや」護衛艦「ゆうだち」「しらぬい」補給艦「とわだ」四艦は予定していた根室沖防衛から、ウルオロシアナ揚陸艦隊北海道サロマ湖上陸を阻止するため急遽サロマ湖へ向かうことになった。
不沈空母と化す北方四島
そして現在、千歳空港に集結した戦闘機F15、F 35 、F3、 電子戦闘機、輸送機、給油機等は、根室中標津空港と、たんちょう釧路空港に振り分けられた。千歳基地と青森三沢基地には空戦を主としたドローン航空機を配備していた。
航空母艦一番艦「かが」と二番艦「いずも」は、頻繁に日本領土の尖閣諸島への領空、領海侵犯を犯し常態化して尖閣諸島を自国の領土だと主張しようとする中東亜共和国に対し、米空母打撃軍とともに東シナ海に睨みを効かせていた。
そして、日米共同開発の三番艦大型航空母艦「いつくしま」は、米軍と太平洋上を訓練航行中だった。
第3護衛艦隊のイージス艦「まや」護衛艦「ゆうだち」「しらぬい」3艦は、不定間隔で北海道自衛隊各基地をピンポイントで狙い撃ちしてくるウルオロシアナの弾道ミサイルを、稚内沖のイージス艦隊「はぐろ」「きりさめ」「さみだれ」と共に連携、迎撃しながら3時間後の午前4時に根室海峡に入る予定でいた。
一方、ウルオロシアナ本国ナラオルジョ基地からの航空機中継地点となっている北方4島のうち、択捉島、国後島は、不沈空母と化してしまった。
国後島、択捉島に配備された戦闘機は輸送機給油機を含め百十機に及んだ。
五十機の北海道侵略上陸用ヘリコプターは歯舞諸島に集結待機していた。
稚内空港、厳島神社、紋別空港、知来別漁港、猿払村漁港、浜猿払漁港、頓別漁港、雄武漁港、沢木漁港、興等主な漁港には、北部方面隊それぞれの対空、対艦ミサイル少隊が12式地対艦誘導弾、12式地対艦誘導弾を配備。サロマ湖、羅臼町、標津町、納沙布岬には高射砲部隊、03式中距離防空誘導弾、12式地対艦誘導弾を網走駐屯地ミサイル連隊が展開していた。
ウルオロシアナ戦闘機Su57
国後島、択捉島から飛び立った五十機は「はぐろ」艦隊攻撃に向かった二十五機と、第3護衛艦隊「まや」「ゆうだち」「しらぬい」攻撃の2編隊に分かれたウルオロシアナ戦闘機十五機がイージス艦「まや」のレーダーに補足されていた。
だが十五機の他に、チラチラとレーダーに赤い点が表示されてすぐに消えた。
三沢基地から対空戦ドローン航空機が敵機第二波を目標に、空対空アウトレンジミサイル二機を抱え七機出撃した。
イージス艦「はぐろ」艦隊に襲いかかろうとしていたウルオロシアナ戦闘機25機は、自衛隊戦闘機F35 F15と交戦、第一波攻撃を終え、第二波の交戦に入ろうとしていた。
一方、その時点で釧路沖を航行するサロマ湖へ向かう第3護衛艦隊に、航空自衛隊の戦闘機の援護はドローン戦闘機十機とたんちょう釧路空港に配備された第5世代戦闘機F3 七機がウルオロシアナ戦闘機Su27と対峙した。
ステルス機能を持つF3だが、機体内に格納したミサイルの他に、ステルスを犠牲にしたビーストモードにより翼下のパイロンにもアウトレンジミサイルと短距離ミサイルを抱えていた。
イージス艦「まや」は、敵機十五機をレーダーに補足しつつ、稚内沖の「はぐろ」と連携をとりながら不定間隔で飛んでくる弾道ミサイルを迎撃しつつ、レーダーに捉えているウルオロシアナ戦闘機十五機を、データリンクしているF3へ託した。
根室海峡上空を飛んでいたウルオロシアナ戦闘機二十五機の内、Su27十機、Su33五機のコックピットにはレーダーロックされたことを知らせる警告音が鳴り響いた。
直後にF3 七機からアウトレンジミサイルが14機放たれた。
F3の機体が少しだけ軽くなった。
十五機は暗い夜の空で慌てて回避、散開を始めた。
散開した十五機の内、十機に対空ミサイルが急接近して根室海峡を外れた海域で九機が被弾して墜落した。
残りの六機の対空ミサイルはウルオロシアナ戦闘機の囮であるフレアによって爆発消滅した。
F3は残りの五機に追い撃ちをかける短距離空対空ミサイルを5機発射した。
イージス艦「まや」にレーダーロックされたウルオロシアナ戦闘機五機のコックピットに再びレーダーロックされたことを知らせる警告音が鳴り響いた。
ウルオロシアナ戦闘機三機が被弾して根室から2海里ほど沖に墜落した。
そこへ突然海面から急上昇する航空機十機がイージス艦「まや」のレーダーに赤い点として記された。
ウルオロシアナの第5世代ステルス戦闘機Su57だった。
第3護衛艦隊「ゆうだち」の悲劇
F3の攻撃を免れたウルオロシアナSu33二機から空対艦ミサイルが8機放たれた。
Su33の機体がふわりと浮き上がった。
F3の短距離ミサイルが放たれ、レーダーロックしたSu33二機は撃墜された。
Su33の放った対艦ミサイルは「ゆうだち」「しらぬい」を正確に捉えていた。
自衛隊網走駐屯地からは、墜落したウルオロシアナ戦闘機のパイロット救助のため根室市内の広いグランドに救難ヘリが待機していた。
レーダーロックされないウルオロシアナステルス戦闘機Su57十機だが、Su57のレーダーにも航空自衛隊F3を捉える事ができなかった。
『敵機よりミサイル8、ターゲット、しらぬい、ゆうだち』
イージス艦「まや」は瞬時に8機の対艦ミサイルを捕捉。
イージス艦「まや」のAI防空システムは「ゆうだち」「しらぬい」と共に対空戦闘に突入、各艦に最適な迎撃を割当てた。
『迎撃ミサイル発射』
『撃)てっ!』
砲雷科の射撃合図と共に「ゆうだち」「しらぬい」から8機の迎撃ミサイルが発射された。
数秒後、6機の対艦ミサイルが迎撃ミサイルにより破壊された。
残り2機が「ゆうだち」に接近したところで「ゆうだち」のCIWSバルカン対空砲が火を吹いた。
1機撃墜、2機目の対艦ミサイルは「ゆうだち」の30メートル先で破壊された。
艦内に爆風と対艦ミサイルの破片が船体に叩きつけられる衝撃が伝わった。
『ダメージコントロール、被害状況報告!』
「ゆうだち」艦長の声にダメージコントロールから報告が入った。
『対空レーダー感無し、通信アンテナ感無し、後部ヘリ甲板火災小、チャフ発射管に異常あり、機関異常無し、航行に支障無し!』
「ゆうだち」の目であるレーダーと無線、レーダー回避のチャフ発射管に支障が出た。
その時、再びウルオロシアナ戦闘機Su57から対艦ミサイル20機が断続的に「ゆうだち」「しらぬい」「まや」に向けて発射された。
F3との後ろの取り合いの中、Su57は隙を見て対艦ミサイルを発射した。
イージス艦「まや」は「しらぬい」と共に迎撃ミサイル10機を発射してレーダーを撹乱するアルミ箔のようなチャフを放出しながら、更に十機の迎撃ミサイルを発射して回避行動に入った
チャフを使えない「ゆうだち」は無防備になった。
しかし数秒後、「まや」「しらぬい」の迎撃ミサイルによる対艦ミサイル近接爆発の衝撃で一時的にダウンしたメインレーダーが運良く回復した。
『対空砲レーダー回復!メインレーダー回復!』
20機の対艦ミサイルは、18機が迎撃破壊された。
だが、残りの対艦ミサイル2機は無防備だった「ゆうだち」に吸い込まれていった。
『ミサイル急接近! 衝撃に備え!』
「ゆうだち」艦内CICに響き渡る声の後に、船体中央で大爆発を起こした「ゆうだち」は、海面をくの字に跳ね上がり、そのまま急速に轟沈した。
その間も、F3とSu57のドッグファイトは熾烈を極めていた。
後ろの取り合いで機関砲の閃光が海上の闇で光の矢のように交差していた。
F3がSu57の後ろを取り、短距離赤外線誘導ミサイルを撃ち、一機を被弾させた。また、Su57はF3の機体に機関砲の傷跡を残した。
アフターバーナーを使いまくるF3とSu57は20分程の熾烈な交戦に、燃料と弾薬の都合で、互いの第2波攻撃隊と入れ替わることになった。
「三沢302、イージス艦「まや」艦隊援護小林隊、これより根室中標津空港へ帰投する」
302飛行隊は根室中標都臨時空港基地へ向かった。
ウルオロシアナからのホットライン
一方、弾道ミサイルは、弾頭の無いものや通常弾頭のミサイルばかりだった。
更に長距離通常ミサイルも、海面に近い低飛行のままレーダーを掻い潜り、北海道自衛隊各基地を襲い始めた。
稚内基地指令作戦本部では、ウルオロシアナの日本に対する消耗戦を狙っているものと推測した。
陸地の迎撃ミサイルペトリオットは何時でも補充できるが、イージス艦には弾数限界がある。
ウルオロシアナのミサイルが空の弾頭や通常弾頭、況してや核弾頭の見分けがつかない以上全て打ち落とさなければならない。
そして長距離通常ミサイルも加勢している。
長距離通常ミサイルは、低空飛翔で目標に近付き破壊目標手前で大きく急速上昇して、目標目掛けて急降下するミサイルであり、陸上の迎撃ミサイルペトリオットと対空砲に迎撃処理が委ねられる。
ただ、ペトリオットと対空砲はイージス艦の精密防空システムより迎撃精度は若干劣るのものだった。
故に迎撃失敗もあり、この時稚内基地のペトリオットのミサイル迎撃を免れたウルオロシアナの長距離通常ミサイルに、迎撃最後の砦となる対空砲の閃光弾がミサイル目掛けて火を吹いた。
ウルオロシアナの地対地長距離通常ミサイルは稚内基地の60メートル上空で大きな爆発を起こした。
基地内の建物の防災窓ガラスは激しく震え、間近で花火を見るときのように、基地内自衛隊員達は爆発音の空気の震えを体で感じていた。
ウルオロシアナ軍は、稚内基地数十メートル上空で爆発したミサイルデータから得た情報で、ミサイルを今以上に増やすことを決めるのだった。
北鮮共国家に近いウルオロシアナ連邦国のグリャナストク。
北海道の更に北にあるウルオロシアナ連邦ナラオルジョ基地。
オホーツク海沖にはウルオロシアナのミサイル艦3艦、駆逐艦3艦が更なるミサイル攻撃のため、北海道サロマ湖へと向かっていた。
この三点からミサイルが立て続けに北海道へ飛来していた。
このミサイル攻撃に、千歳基地から飛び立った、対空ドローン無人戦闘機が活躍した。
だが、次第にミサイルの数が増えると撃墜できないミサイルも出てきていた。
多くのミサイルは自衛隊基地と各空港を狙って来たが、時には内地の山中まで飛翔するミサイルもあった。
ウルオロシアナ大統領Sロマーノフは、日本の総理大臣 木嶋雄一にホットラインを繋いだ。
『我々は貴国の船を沈めた。
我々のミサイルは更に増えることとなるだろう。
貴国が北海道を我々に返還するのであれば、今の4島と同じ条件でパスポートも必要なくなる事も考慮する。
貴国が更に抵抗するのであるのなら、我々ウルオロシアナ連邦国家は、更なる力で北海道を返してもらうが宜しいか?』
木嶋総理は呆れたようにため息を吐いた。
『ロマーノフ大統領、貴殿は物忘れが酷いと見える。
一度病院へいくことをお勧めする。
何を言われようと、何をされようと我が日本は断じて貴国に屈することはない。
北海道も北方4島も紛れもない日本の領土である。
その事を貴殿の頭の中に二度と忘れないように刷り込んでいただきたい。
核をちらつかせ、その核を使うのであれば世界は黙っていないだろう』
木嶋はそう言って電話を切った。
Sロマーノフは、弱小国と自分の評価する日本の総理大臣に言われたことに腹を立てていた。
北海道の各民間空港の攻撃を開始せよ、と国防軍に命令を出した。
まだ、北海道の日本人、ウルオロシアナ人の避難は完了していない事を考慮する国防軍司令から、民間人全員退避してからという趣旨があった。
Sロマーノフは苦虫を噛み潰したような顔をして苛立ちを露にした。
続く…
ミリタリー小説「決意の盾」ですが、本作品は、こうあってほしい、強い日本であってほしいという、私の期待と望みが入っている自己満足で書いているところも多いので、こういう物語も書くんだ…のような感じに思ってくださいませ(^-^;
私自身、軍事関係はそれほど詳しくないので色々調べながら書いています。
手探りで書いているミリタリー小説ですので、事実と異なるシステムや私の要望も入っていますので、どうか暫くの間は温かい目で見守っていてくださいませm(_ _)m
今回も最後まで読んでくださりありがとうございました♪
また来てね(@^^)/~~~♪
安桜芙美乃