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撃攘の盾… 拾参



破壊される北鮮共国核施設


ウルオロシアナからの弾道ミサイル攻撃が止んだオホーツク海洋上で、イージス艦隊「はぐろ」「きりさめ」「さみだれ」「ひゅうが」哨戒艇2艇其々の乗員は、攻撃が止んだ束の間の時間、各自配給されている戦闘食を各々が配置場所で食べていた。

ヘリコプター搭載護衛艦「ひゅうが」からは、救助ヘリコプターが4機飛び立ち、日本とウルオロシアナの墜落した戦闘機パイロットの捜索に当たっていた。


その頃、ウルオロシアナ北鮮共国国境警備軍は北鮮共国への攻撃準備を終えたことを作戦司令部へと伝えた。

司令部から、北鮮共国核施設への攻撃命令が降りた。

地下内部を破壊する超音速ミサイルがウルオロシアナから1基北鮮共国核施設へ向けて発車された。

『ウルオロシアナ国境付近からミサイル発射!着弾地点予測、我が国のインジョン核施設と思われます!超音速ミサイル着弾まで5分!』

レーダー解析要員が叫んだ。

ミサイル飛来の報告は北鮮共国最高指導者の元にも届いた。

『迎撃するんだ!なんとしても迎撃しろ!』

しかし、北鮮共国に超音速ミサイルを迎撃できる兵器は存在しなかった。

それは、北鮮共国最高指導者にも分かっていることであった。

『着弾まで1分』

北鮮共国は何もできないまま、ただ成り行きを見ていることしかできなかった。

『ミサイル着弾します!』

インジョン地下核施設の山肌にミサイルが潜り込んだ数秒後、山は膨張したかのように膨らみ次の瞬間、山肌を大きく抉り土砂を吹き飛ばした。

同時に核施設も破壊され放射能が大量に放出された。

『インジョン核施設破壊されました。放射能レベル測定急ぎます』

北鮮共国最高指導者は軍司令本部に入り、ミサイルの準備を急がせた。

『ミサイル発射までどのくらいかかるんだ?!』

最高指導者の怒りは頂点に達していて何時にない苛立ちを見せた。

『はっ、あと2分で発射できます』

その時、ウルオロシアナ大統領Sロマーノフから北鮮共国最高指導者にホットラインが入った。

『我が国への恩恵を忘れるとどういうことになるか分かりましたかな?』

Sロマーノフのホットラインに北鮮共国最高指導者は怒り心頭だった。

『大統領、よくわかりました。あなたの仰せの通り核ミサイルをただいまより発射する』

『おわかり頂けた協力に感謝する』

Sロマーノフはホットラインを切った。

『ただいまより我が北鮮共国はウルオロシアナと戦争に入る。
ウルオロシアナ国境ではゲリラ作戦でウルオロシアナ軍を壊滅しろ。
これからミサイルの応酬になるだろう。
我々は断固戦う!ウルオロシアナは我が国を放射能で汚した報いを受けなければならない!
国民は街から出て南鮮民国国境付近まで避難させるんだ。
ただし間違えても国境は越えるなと伝えるんだ』

北鮮共国の最高指導者は、作戦司令部から自軍へウルオロシアナとの戦争に突入したことを告げたのだった。

『ミサイル発射準備完了!何時でも発射できます!』

『大陸弾道ミサイル、火の星1号は北海道攻撃ルートで発射、後にグリャナストクへ進路変更! 月光2号はウルオロシアナ首都、モスクートへ向けて発射しろ!奴等の国なんてどうなっても構うな! 
この機に南鮮民国へ奇襲をかけろ!
本日が民族統一の第一歩とする!
そして我々は必ず勝利する』

北鮮共国は無謀とも言える戦いを宣言するのだった。

こうして北鮮共国は大騒ぎとなった。

荒ぶれる北鮮共国

『北鮮共国より弾道ミサイル発射、着弾地点解析中…』

早期警戒機よりミサイル情報が各自衛隊基地に送られた。

『予想着弾地点、千歳基地と思われます…いや、進路変更していきます。ウルオロシアナ方向へと進路を変えました。
再び北鮮共国より弾道ミサイル発射、これもウルオロシアナ大陸首都モスクート方向へと向かっています!』

各自衛隊基地司令部はざわついた。

『これはミサイル試射ではないだろう…どういうことだ?』

稚内基地司令、神田一成は首をかしげた。

その時、千歳基地から遥か日本海沖で警戒を行っていた米第7艦隊(空母機動部隊)から千歳基地へ通信が入った。

『北鮮共国で中規模の爆発を感知した。衛星で確認したところインジョン核施設で爆発があった模様。恐らく大規模な放射能汚染が懸念される。
我々は衛星画像から、インジョン核施設は攻撃されたものと見なす。
どうやら別の場所でも揉め事が起きているようだ。
詳しい情報が入り次第、追って連絡する、以上』

「第三次大戦が始まるのか…?」

千歳基地航空司令の小坂部宏樹は胸のなかで呟くのだった。

海自イージス艦隊警戒態勢


『総員戦闘配置に着け! 北鮮共国より多数のミサイル発射確認! 各持ち場で警戒を厳となせ。尚、ミサイルはウルオロシアナへ向けて飛翔中。予想着弾地点モスクート、グリャナストク!
尚、あと10分程でウルオロシアナ艦隊が我が国の領海に入る。空自はあと数分で敵機第一波と交戦が始まる。特に敵潜水艦には十分な警戒を頼む、以上』

イージス艦隊「はぐろ」「きりさめ」「さみだれ」「ひゅうが」哨戒ミサイル艇「はやぶさ」「くまたか」2艇、補給艦「とわだ」護衛艦「なとり」「やはぎ」 にイージス艦隊旗艦「はぐろ」館長から総員戦闘配置の命令が出た。



その頃、ウルオロシアナ大統領Sロマーノフは自国へ飛んでくる北鮮共国のミサイルが飛来していることで北鮮共国へ緊急にホットラインを繋いだ。

『弱小国が我々に宣戦布告をするとはな。
身の程知らずという言葉があなたにはよく似合う』

『攻撃されれば反撃に出る。
それは人間としてごく自然な行為である。
目には目を!歯には歯を!』

北鮮共国の弾道ミサイルは大気圏を出て、再び大気圏に突入しようとしていてミサイルの核弾頭の先端はグリャナストクに向いたまま急降下を始めるところだった。

ウルオロシアナの迎撃ミサイルは北鮮共国のミサイルを捉えることができなかった。

北鮮共国の弾道ミサイルは大気圏外から再び大気圏に突入して更に速度を増しウルオロシアナモスクート、グリャナストクへ降下を始めた。

南鮮民国でも軍隊が慌ただしく動き始めていた。


続く…

表紙画Photo ac

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