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仁と義 7章 仁侠短編小説抗争編 2(シリアスコメディ)



ミオの報復

ミオと立石尚樹を乗せたワゴン車は、膝織一家のシマの外れにある工業団地の一角にある膝織一家の倉庫の前の敷地内に車半分を入れて止めた。

中規模の工業団地は、大きな長方形の敷地に1キロ程の長さがあるメインの広い道路が団地中央を通り、メイン通りから両脇に少し狭い道路が枝分かれしていて、工場が建ち並んでいた。

膝織一家の車は、メイン通りと並行するメイン通りより少し狭い道路にある、メイン通りに背を向ける形の倉庫前に止まった。

膝織一家の6人は、ミオと尚樹を車から降ろしシャッターの横にある小さなドアから倉庫内に入った。

目隠しを外されたミオは、倉庫内の明かりに目が慣れたところで、床に転がっている尚樹を見止めた。

「尚樹!」

尚樹に駆け寄ろうとしたミオの腕を、男達が掴んでミオは押さえつけられた。

「大人しくしとけや!」

「お前ら膝織の連中だろ?頭鬼組と石頭一家に喧嘩売ってただで済むと思うなよ‥‥とにかく、尚樹の止血させろよ!」

尚樹のポロシャツの背中が、血で大きなシミを作っていた。

尚樹の血は床にもシミを作り始めていた。

ミオの腕を押さえつけている男たちは兄貴分らしき男の顔を見た。

兄貴分らしき男は小さく頭を上下に振った。

男たちはミオの腕を離した。

尚樹に駆け寄るミオ。

荒い息をしている尚樹の傷口をそっと押さえるミオ。

辺りを見回したが傷口を縛れるものはなかった。

ミオは戸惑うことなく自分の着ているブラウスを脱ぎ始めた。

膝織一家の男たちは「おぉ‥‥」という声をあげた。

ミオの白い肌が露わになると、左の乳房の上にムクゲの花の彫物が露呈した。

ムクゲの花の花言葉である「信念」という花言葉が気に入ってムクゲの花を彫った。

レインボーメンバーにしか見せたことのない彫物は尚樹に見せたかったミオ。

ムクゲの花言葉には「一途な心」という意味もあり尚樹に見せる前に膝織の男たちに見られたことがミオにとって腹立たしかった。

尚樹の上半身を静かに起こして、ミオは尚樹を抱き寄せた。

「尚樹‥‥傷口縛れば少しは楽になると思うよ」

ミオにもたれかかる尚樹の目は、ミオの胸のムクゲの花の彫物を見ていた。

「すまねぇ‥ミオ。こんな事になっちまって‥。彫物‥‥ミオに似合ってるな」

「うん、ありがと。きっとレインボーのメンバーが助けに来てくれるから‥‥。その前にアタシが一暴れしちゃうからさ。はい、傷口キツく縛ったから血は止まると思うよ‥」

「ミオ‥無茶するな‥」

「大丈夫。3人は動けなくしてやるから」

耳元で囁くミオと尚樹。

尚樹の傷口をブラウスで縛ったミオを二人の男が尚樹から引き離そうとした時、ミオは両足太もものベルトからアイスピックを素早く抜いて、二人の男の膝の辺りにアイスピックを力一杯突き刺した。

男たちはアイスピックが深々と刺さったまま、悲鳴をあげて床に転がった。

ミオは最後の一本であるアイスピックを、側にいた男目掛けて投げた。
アイスピックは男の左足太ももに刺さった。

うめき声をあげて膝を突く男。

ミオの反撃はそこまでだった。

残りの3人がミオを押さえつけた。

「テメェ、調子こいてんじゃねえぞ!」

「素っ裸にひん剥いちゃえよ!お前そっちおさえとけよ!」

ミオのスカートに手をかけた男が突然倒れた。

顔を上げた2人の男の目の前に角材を持った尚樹が立っていた。

その時、倉庫内に4人の男たちが入ってきた。

ミオを押さえつけていた残りの2人はミオから離れ4人のうちの1人に頭を下げていた。

膝織一家若頭、安曇孝信(あずみたかのぶ)がミオを見下ろし舎弟3人に尚樹を押さえつけるように指示した。

「おい、お前ら!どういう事だ?このザマは?たった2人相手にドジ踏んでんじゃねぇよ!」

「頭、すみません」

「お前らがこの女脱がしたのか?あぁ?俺が来る前に脱がしやがったのか?」

「いえ、この女が奴の止血のために自分で‥‥」

「ほぉ‥‥あんた石頭の立石さんだよな?この女アンタの女?」

「女に手ぇ触れたら半殺しにするぞ」

「おぉおぉ‥‥そんな状況で威勢だけはいいねぇ‥」

膝織一家若頭の安曇はミオを強引に立たせた。

「なぁ、姉ちゃん。俺は最近女とご無沙汰でよぉ、ちょっと手始めにしゃぶってくんねえかな?溜まってるから濃いの飲ましてやるよ」

そう言って男はナイフを取り出しミオのフロントホックのブラジャーに刃を沿わせフロントホックに刃を立てた。

尚樹は力を振り絞ってミオを助けようとしたが、3人の男に倒されて傷口を蹴られて痛みに耐えることしかできなかった。

「やめろ!怪我してんだぞ!」

「やめてほしけりゃしゃぶるか?」

安曇はそう言ってミオのブラジャーのフロントホックに当てたナイフを引き始めた。

「このブラジャー高いんだぞ切るんならホック外してよ」

「おぉ、おしゃぶりする気になったか?」

「噛み千切られたいのかおっさん」

ミオはそう言って膝で安曇の股間を突き上げた。

変な声を出して床に膝を突いた。

それからミオは、ヒールで安曇の股間を何度も蹴り上げた。

ミオのヒールが安曇の股間に刺さって脱げた。

「あっ、刺さっちゃった‥あっ、もしかしてお尻?やだぁ‥‥」

安曇の股間には血ともお漏らしともわからないシミがみるみる広がった。

レインボー4人参戦

ちょうどその時、坂下のタクシーは工業団地に入って、倉庫へ向かっていた。

メイン通りから右に曲がり道なりに左へ折れた50メートル程先に膝織一家の倉庫がある。

一度倉庫前を通り過ぎて車を確認する坂下。

「間違いない。今の倉庫前に止まってた車だ下二桁25のハイエース」

「ありがとう坂下さん、あとはアタシたちで方を付けてくるから。これ料金」

ランは坂下に3万円を渡した。

「これじゃ多いよ」

「いいの、ただ、帰りもお願いしたいから。帰りは別料金で払います。だから少しの間待っててほしいの。お願いします」

ランは坂下に待っててほしいと言った。

「わかった。メイン通りから、さっき右折したところで待ってるよ」

「ありがとー」

ランはそう言って助手席から降りる前に坂下の左頬にキスをした。

メッチもナッチも車を降りて運転席の窓から顔を入れて「ありがと」と言いながら坂下の右頬にキスをした。

ティップは最後に坂下の唇にキスをした。

坂下はティップのお客でもあり、ティップが密かに想いを寄せているパブスナックレインボーの常連客だった。

「行ってくるね」

「無茶するなよ‥」

「うん、ありがと」

レインボー4人は倉庫に向い走っていった。

坂下が車のルームミラーで自分の顔を見るとレインボー4人の口紅で赤くなっていた。

デレッとする坂下だった。


続く。。。


ムクゲ 


関東頭鬼組   組長 頭鬼洋次郎(48)
       
        若頭      阿久津龍一(38)

        舎弟頭     新島浩二(37)

        相談役     相田真二(38)


 構成員    荒巻和幸   通称カズ(23)
        三澤謙二   通称ケン(25)
        須藤弘道   通称ヒロ(23)
        小林幸弘   通称ユキ(23)
        


パブスナック レインボー組メンバー💕

メッチ 木ノ内健(20)(きのうちたけし)
(めんちきることが多い。何でも武器にする) 

ナッチ  中沢義男(20)(なかざわよしお)
(よくナイフをちらつかせる) 

ティップ 榊枝真二(20)(さかきえだしんじ)
(ダーツの矢を数本いつも太股に隠している)

ミオ 安桜芙美乃(20)(あさくらふみお)     
(アイスピックを両足太股に6本常時備えている)

ラン 一之江将一(20)(いちのえまさかず)
(通販で買った伸縮警棒とスタンガンを持つ)

タクシードライバー
坂下一雄(さかしたかずお)


石頭一家の相談役

相談役  立石尚樹(たていしなおき) (ミオの恋人)


膝織一家 

代表 膝織忠義(ひざおりただよし)

若頭 安曇孝信(あずみたかのぶ)


仁と義、今回も最後まで読んで下さりありがとうございました♪



Photo ac

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