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仁と義 10章 仁侠短編小説抗争編 5 (シリアスコメディ)
報復の始まり
タクシードライバー、坂下の協力で拉致されたミオと立石尚樹の居場所を突き止めた。
そこは膝織一家のシマにある、工業団地の一画の膝織一家の倉庫だった。
そして頭鬼組分家、レインボー組のミオと石頭一家幹部、立石尚樹救出劇が始まったのである。
倉庫のシャッター横の扉で、ランがスタンガンで独りを倒してレインボー四人は倉庫内に突入した。
倉庫内には、ミオがアイスピックで足を刺した動けない男3人と、威勢のいい男たち5人が居たが、ランはスタンガンと特殊警棒で二人を倒した。
ナッチはミオの側へ行き自分のジャケットを脱いでミオに羽織らせた。
メッチは石頭一家の立石に駆け寄り首に手を当て脈を確かめた。
脈はあるが、床には血溜まりができていて意識は無かった。
『立石さん!立石さん、しっかりして!寝たらダメよ!頑張って起きてて』
自分の頬を軽く叩くメッチの声に、目を開ける尚樹。
『……メッチか?ミオ…は?ミオは大丈夫か?』
『うん、大丈夫だよ。ナッチがミオの側にいる。心配ないよ』
メッチは立石の傷口を縛ってある血で赤く染まった布を見た。
ミオのブラウスだとすぐに分かった。
丁寧な縛りかたはミオ自信が縛ったのだろうとメッチは思った。
ナッチのジャケットを羽織るミオの顔を見ると痣と傷だらけで、足元には引きちぎられたミオのブラジャーが落ちていた。
顔が熱くなる感覚で、頭に血が上っているのをメッチは自分で感じた。
『尚樹さん、もうちょっと頑張ってね。もうすぐうちの組員来るから。そしたら病院行こ?アタシちょっと暴れてくるから』
『すまねぇ、メッチ…』
『うん、大丈夫だよ。任せて』
男たち残り3人となったところで、壊れたシャッターから9人の膝織一家組員が雪崩れ込んできた。
中の様子を見て、膝織一家 若頭の安曇孝信が倒れているのを見た膝織組員は怒りを露に、ティップより一歩前にいるランに近寄っていった。
『頭ヤったのおめぇらか?あぁ?』
『だったらなんだよ、喧嘩売ったのてめぇらだろうが!やり返されて腹立てんなら最初っからヤるんじゃねぇよ!クソヤロウ』
『何だとコラッ!素っ裸にして泣かせてやろうか?あぁ?』
『できるかどうか試してみるか?』
ランはそう言ってちょっとだけズレたヌーブラを両手で戻した。
煽りまくるラン。
「ありゃっ!任せてって言ったけどちょっと厳しいぞ。てかランちゃん気合い入りまくり!」
そう呟きながらメッチは転がっていた角材を右手に持ちティップの横に並び二人に立石尚樹の様子を伝えた。
『立石さん、血の気が無くなった顔してる。出血がひどいから早く病院連れていかないと』
『うん、分かった。だけど頭達が来てくれないと、ちょっと時間かかりそう…』
ランが男たちと睨みあい呟いた。
『そだね…まぁ、時間稼ぎくらいは出来るかな』
メッチが言った。
『よっしゃ、パンチラで油断させるか』
ティップがスカートをたくしあげ、太もものベルトからダーツの矢をゆっくり引き抜いた。
喧嘩慣れしたレインボー組
ランに近付いていた男の視線がティップのパンチラに釣られた。
その視線を見逃さなかったランは、男の腹にスタンガンを当てた。
男は床に崩れ落ちた。
それが乱闘の合図となって、男たちは一斉にラン、メッチ、ティップに襲いかかった。
その男たちの後ろから隠れていた坂下が、車のエンジンをかけ倉庫内をぐるぐると回り出した。
膝織の男たちは一斉に振り向いた。
そこへランがスタンガンと特殊警棒で二人を倒した。
ティップはダーツの矢を男たちに向けて投げた。三人の男の腹や胸に刺さって、男たちは戦意を無くした。
ナッチも投げナイフをたて続けに投げて二人の男の足に刺さった。
メッチは角材を振り回し男たちを遠ざけた。
数秒で膝織組員七人が傷をおった。
坂下は倉庫内を回った後、そのまま外へ飛び出して自分の車が止まっている方向へ走り出した。
そのまま走り車を空き地の草村に突っ込んだ。
そして自分のタクシーに乗り、工業団地のメイン通りに出て頭鬼組が来るのを待った。
数分で頭鬼組組員の車が工業団地に入り、運転していた組員「荒巻和幸、通称カズ」が道路脇に止まっているタクシーを見ると、外に立っているレインボーでは飲み仲間である坂下に気付いた。
一触即発
『坂下さん、ランたちは?何処にいます?』
『カズ君、そこの脇道右に入って少し行ったところに白いワゴン車が止まってる』
『分かった、ありがとう』
大きなアルファードと、もう一台ハイエースがホイルスピンしながら、脇道を右へ曲がっていった。
そして反対方向からは膝織組員を乗せた車二台が倉庫に向かっていた。
膝織の車が対向車線から走ってきて、倉庫前で頭鬼組の車と膝織一家の車のバンパーがぶつかりそうなほど鼻っ面を合わせて倉庫前に止まった。
石頭一家5人と頭鬼組5人が車から飛び降りた。
膝織一家の組員たちも二台の車から降りてきた。
『あんたら何?ここに何か用か?』
膝織一家舎弟頭 八木亮一が口を開いた。
『あんた…膝織舎弟頭の八木さんだよな?』
頭鬼組舎弟頭 新島浩二が一歩前に出た。
『あんたの顔も俺は覚えてるぜ…俺の事を知っててここに居るってことは、度胸だけは認めてやるぜ頭鬼組舎弟頭の新島さんよ。ちんけな頭鬼組が膝織に喧嘩売りに来たんか?こんな大人数でよ!』
『先に喧嘩売りやがったのはてめぇらだろうが』
石頭一家 舎弟頭 水谷雄一(みずたにゆういち)が新島の横に並んだ。水谷、新島、八木は一触即発状態に入った。
続く。。。
関東頭鬼組 組長 頭鬼洋次郎(48)
若頭 阿久津龍一(38)
舎弟頭 新島浩二(37)
相談役 相田真二(38)
構成員 荒巻和幸 通称カズ(23)
三澤謙二 通称ケン(25)
須藤弘道 通称ヒロ(23)
小林幸弘 通称ユキ(23)
パブスナック レインボー組メンバー💕
メッチ 木ノ内健(20)(きのうちたけし)
(めんちきることが多い。何でも武器にする)
ナッチ 中沢義男(20)(なかざわよしお)
(よくナイフをちらつかせる)
ティップ 榊枝真二(20)(さかきえだしんじ)
(ダーツの矢を数本いつも太股に隠している)
ミオ 安桜芙美乃(20)(あさくらふみお)
(アイスピックを両足太股に6本常時備えている)
ラン 一之江将一(20)(いちのえまさかず)
(通販で買った伸縮警棒とスタンガンを持つ)
タクシードライバー
坂下一雄(さかしたかずお)
石頭一家の相談役
舎弟頭 水谷雄一 38 (みずたにゆういち)
相談役 立石尚樹(たていしなおき) (ミオの恋人)
膝織一家
代表 膝織忠義(ひざおりただよし)
膝織一家舎弟頭 八木亮一(やぎりょういち)
若頭 安曇孝信(あずみたかのぶ)
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