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撃攘の盾… 拾肆



消えゆく北鮮共国


ウルオロシアナ、グリャナストク全域に弾道ミサイル飛来の警報が伝えられた。

北鮮共国からウルオロシアナへの不意射ちともいえる核弾道ミサイルの発射に油断したウルオロシアナ軍。

グリャナストクに飛来する北鮮共国の弾道ミサイル迎撃に失敗した。

だが、北鮮共国の弾道ミサイルは、ウルオロシアナを騙し北海道軌道の弾道ミサイルを方向転換させグリャナストクへの軌道に変えたことでグリャナストクとナホトリカスークの間、20キロ沖の洋上に落下、大爆発を起こした。

弾道ミサイルの軌道変更による目標のズレがグリャナストク直撃を免れた。

米やウルオロシアナの核爆弾より規模の小さい50Ktの核ミサイルだが、威力は凄まじく数百メートルの水柱が海水を巻き上げた。

周囲の海水は瞬時に数千度の高温となり水蒸気の衝撃波が上空の雲を押し退けていった。

海底から沸き上がる気泡の全てに放射能が含まれていて海面に出た高温の蒸気により上昇気流が発生して、放射能を大量に含んだ雲を成形していった。

沸き上がるように雲が形成されて徐々に大きくなりつつある高濃度の放射能を含んだ雲は数時間後に放射能の雨を降らせることとなるのだった。

グリャナストクとナホトリカスーク住民に外出禁止令が発令された。

一方、ウルオロシアナ大陸首都モスクートへ向かっていた北鮮共国の大陸間弾道核ミサイルは大気圏外でウルオロシアナ迎撃ミサイルにより破壊された。

もはや理性を失ったウルオロシアナからは、自国が核ミサイルの標的になったことで、核ミサイルの報復の大統領命令に反発することなく、ウルオロシアナ軍は北鮮共国のKt(キロトン) 級核より数倍強力なMt(メガトン)級の核ミサイルが北鮮共国に向けて発射された。

同時に複数の超音速誘導ミサイルが北鮮共国の核施設へ向けて発射された。

ウルオロシアナの核ミサイルは、地上に到達する手前で爆発を起こし、より広範囲に致命的なダメージを与えるものだった。

北鮮共国にこれを迎撃する手段は無かった。

だが、ウルオロシアナの核ミサイルは大気圏外で破壊された。

米国空母打撃群動く


同時にウルオロシアナ、北鮮共国の両最高指導者へ国連加盟国の米国空母打撃群より通信が入った。

『世界を破壊しかねない核の応酬を我々は断固阻止する。我々国連加盟国は両国の速やかな停戦、及び日本への違法な侵略を即時中止撤退することを国連平和維持活動の下に、一線を越えたウルオロシアナ連邦、及び北鮮共国に警告する』

その数秒後、北鮮共国の核施設4箇所にウルオロシアナの超音速ミサイルが到達して北鮮共国の全ての核施設は破壊され北鮮共国の各所で放射能汚染が広がっていった。

北鮮共国の放射能汚染は深刻な状況に陥った。

自国を失いつつある北鮮共国は軍隊の全勢力を南鮮民国へと向けるのだった。

総力をあげて迎え撃つ南鮮民国。

争いはこうして連鎖、飛び火していくのだった。

軍隊の居なくなった北鮮共国は世界に類を見ない最悪な放射能汚染国と化した。

国を追われ無法者となりつつある北鮮共国は、もはや南鮮民国との民族統一の道しか残されていなかった。

核を使用したことにより、世界各国はウルオロシアナと北鮮共国へ強い警告と遺憾を表すと共に、ウルオロシアナへの経済制裁を更に引き上げることを即座に決定した。

ウルオロシアナはこれに猛反発。

『日本に核を落とした米国が偉そうな事言いおって!』

世界最大核保有国であるウルオロシアナ大統領Sロマーノフは、経済制裁破棄の引き合いに米国が第二次大戦の時に日本に核を落とした事実を声高に罵り自国の核を再びちらつかせるのだった。

これにはウルオロシアナ国民も強く反発して、Sロマーノフ大統領の退任を望む声が多く上がった。

しかし、国の意向に背く国民は片っ端から逮捕されていくのだった。

これを見ていた、ウルオロシアナ副大統領を更迭させられたミリヤコフは「救いようのないバカ野郎だ」と呟き、迷っていたSロマーノフ大統領暗殺の実行を決断するのだった。

海上自衛隊航空艦隊


一方、日本の陸、海、空自衛隊はウルオロシアナ軍の攻撃に万全の体制を整えつつ警戒に当たっていた。

更に太平洋沖にて、米国空母打撃群と演習を行っていた日本大型航空母艦「いつくしま」が米国空母打撃群と共に北海道へ向かっていた。

日本初のアングルドデッキ、カタパルト4基発艦装置を持つ最新型通常動力航空母艦「いつくしま」は、日米共同開発の下施工された。
今は退役した米国海軍「キティホーク」級の最新鋭航空母艦。
艦名である「いつくしま」は「かが」「いずも」共に神に纏わる艦名から、神の島と崇められている広島県の「厳島」を由来とした。

排水量68,350㌧
満載排水量88,400 ㌧
全長328.0 ㍍
最大幅76.5㍍
水線幅40 ㍍
吃水12 ㍍
主機  高出力蒸気タービン 4機、4軸出力  295,000 shp

最大速力  35㌩

乗員  4,650名
いつくしま501空自飛行隊50名
いつくしま502空自飛行隊50名

兵装  RIM162シースパロー発射機2基

ファランクスCIWS  2基

自動追尾短距離防空ミサイルSeaRAM 2基

搭載機最大 80機

「いつくしま」(総数75機)
       (予備機5機)

F3   50機
P-2 艦載哨戒機 3機
対潜ヘリ  SH60Jシーホーク 5機
救難ヘリ   UH60J  5機
F3  予備機  5機
電子戦闘機 2機 F3-E

艦隊編成
海上自衛隊航空艦隊

旗艦「いつくしま」
イージス艦「いせ」
もがみ型護衛艦 「やましろ」
もがみ型護衛艦 「むつ」
もがみ型護衛艦 「かねしろ」
もがみ型護衛艦 「ふそう」
補給艦  「いなわしろ」
潜水艦 「じんげい」2艦

米国空母打撃群は、日米安保条約に基いて、後方支援として日本の有事に加わった。



海上自衛隊のイージス艦隊への補給も済み、、航空自衛隊の戦闘機増援も完了しつつあった。

広がる核の汚染


北鮮共国の核ミサイルがグリャナストクとナホトリカスークの間から20キロ沖の洋上に落下爆発を起こした影響で高密度の放射能を含んだ雲が形成され、グリャナストク上空へと流れ放射能のベタついた雨を降らせ始めた。

『早期警戒機より稚内司令部へ、ウルオロシアナ航空機が再び北方4島にも集結を始めている。前回の攻撃を上回る大編隊になる模様。サリハンスークからの敵機は空自と交戦に入る模様』

早期警戒機から稚内基地へ通信が入った。

稚内空港ではF15、F35, F 3 合計50機。

第1波二十五機は

民間空港である紋別空港にF35三十機が待機している。

紋別空港には地対空誘導弾、4基 ペトリオット3基
地対空機関砲 3基。

サロマ湖周辺には戦車部隊30両対戦車ヘリコプター5機が戦闘配置に着いていた。

ウルオロシアナの北鮮共国への攻撃の数時間が、日本に万全な体制をもたらした。

しかし、ウルオロシアナ軍はそれ以上の戦力を持ち出してくるのだった。

ウルオロシアナ軍北海道侵略攻撃から二日目の午後3時。

北方4島に集結していた航空機が動き出した。

敵機が日本の領空を超えたところで、北海道内各陸上自衛隊基地、駐屯地からは長距離地対空誘導ミサイルが一斉に放たれた。

イージス艦「はぐろ」は、データリンクした各地対空ミサイルの標的を瞬時に割り当て、後はミサイルの自動追尾に任せた。

地対空ミサイルはマッハ5の速さで敵機への先制攻撃に踏み込んだ。

地対空ミサイルは瞬く間に空自戦闘機を追い越し、サリハンスークから飛び立った敵機に向かっていった。

奥尻島沖にいた米国空母打撃群がウルオロシアナと北鮮共国の核ミサイルで汚染された雨雲を警戒して稚内へと向かった。


続く。。。


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