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アヌデラージュ冒険戦記 3【連載小説】



冒険ファンタジー エンターテインメント


オリハルコンの石

ヴェルザスドラゴンの鱗を手に入れ、武器と防具を強化できる獣魔鉱石を入手できたミオとタクミ。

しかしタクミはある事に気付いた。

『ミオ姐、大事なこと忘れてた…』

『え~?大事なことってなぁに?』

『獸魔鉱石のことだけどさ…オリハルコンが必要なんだよ』

『オリハルコンて、あのめちゃくちゃ高価な石だよね?しかも数が少ないやつ…』

『そうそう、調合しないとできない石。真鍮、青銅、赤銅と銅系合金を天然の鉱石から採取して、一度粉末にして焼き固めたものがオリハルコンになるんだ。
 自然採掘では採れない石だからね。素材集めが大変だけど、俺も手伝うよ。
ただね‥‥青銅、赤銅が俺達のヴェルザス領地と敵対する中立地帯を挟んだ隣の領地ギルヌーヴで採れるんだ。数年前は貿易も盛んだったから簡単に手に入れられたんだけどね‥‥』

『あらま‥‥大問題じゃん‥‥。以前は友好的なギルドもあったのにね‥‥』

『うん、手伝うとは言ったけどギルドの協力が無いとキツいだろうね。ギルヌーヴ領地のギルドが、中立地帯のサンドキャッスルを取り込もうとしているのを、俺達のギルドが反対、妨害してるからね。俺達だけで敵地に乗り込んだら戦争の銃爪になりかねない』

『ごもっとも』

『ギルヌーヴ領地の血盟ギルドと同盟組めれば入手も楽なんだけどね』

『タクちゃん、ギルヌーヴに知り合いいない?』

『いませーん』

『即答か〜』

ブルヘッド拠点 ヴェルグラーレへの宣戦布告

そうして、私とタクミはブッシュクラフトで野営をしながら、二人はパローレパローレと甘い囁きを夜毎繰り返しつつ、3日かけて山を下りた。

私達は、ヴェルザス領地のヴェラックウェル、ヴュルッセオ、と街を通り過ぎ、ミオとタクミが所属する血盟ギルド「ブルヘッド」があるヴェルグラーレの街に入ると、「ブルヘッド」の血盟員が慌ただしく動いていた。

『ミオ姐、何かあったのかな‥‥』

『タクちゃん、あれ見て‥‥』

私が指さす方向を見るタクミ。

『大砲か‥‥宣戦布告でも受けたのかな‥‥』

『かもしれないね‥。ガルシニア盟主はわりと平和主義だからね。相当なことが無い限りこちらから仕掛けないはずだよ。何処かのギルドが宣戦布告したんじゃない?ちょっと聞いてみよ』

私は「ブルヘッド」の紋章を付けている支援魔法職である記章からヒューマンメイジのヒーラーだと分かる女性に声を掛けた。

『ねぇ、ヒーラーさん?ちょっと聞くけど他のギルドから宣戦布告とかあったのかな?アタシ旅先から帰って来たばかりで、この慌ただしさの状況が分からないの』

女性のヒューマンメイジは私を見るなり敬意を表し、深く頭を下げた。

『第三剣士軍部隊、アヌグレッサ•エスタリア•ミオ隊長。実はエルグラーニャ自治区の血盟ギルド エルグリラからの同盟の申し出を、我がギルド盟主が断ったため、エルグリラ盟主が力付くで我々をギルド、エルグリラの傘下に入れたいらしく、エルグリラが宣戦布告を宣言しました。開戦は二日後の朝です』

『ありがとう。あとね、フルネームで呼ばなくていいよ。貴女の名前は?』

『エクレーヌです』

『エクレーヌさん、ありがとね。相手はうちより大きなギルドだから、私達前衛も後方に回って貴女方メイジを必ず護るから心配しないでいてね。貴女方メイジの回復と強化魔法あっての私達ファイターだから。必ず護る』

そう言ってミオは女性メイジから離れ、タクミの所に戻った。

『タクちゃん。またエルグラーニャ自治区の血盟ギルド エルグリラからの宣戦布告だって。盟主のバニッシュも懲りないねぇ。うちの盟主が同盟は嫌だって言ってるのに‥‥』

『またか〜。あのギルドゴロツキ多くて評判良くないもんね。俺もゴメンだよ』

『ホントだよね。なんでうちなのかね‥‥?』

『それは、単純にうちのギルドが強いからだと思うよ。前衛にじゃじゃ馬な軍部隊長もいるし』

タクミはそう言って私を見て笑った。

『まぁ、第三剣士軍部は言う事聞かない連中だからね。アタシを含めて‥‥』

『否定しないんかい!でも、戦績は剣士軍部隊でトップだよね』

『イケイケ部隊だけど、一応他部隊とは協調してる‥‥‥つもり‥‥』

『いや、それはミオ姐の第三剣士軍部隊に感化されて、他の部隊が追従してるように見えるよ。後衛の俺から見ればね』

タクミはそう言って私の頬を、指でツンツン突付いた。

その時、街が一層慌ただしくなった。


第三剣士軍部隊、アヌグレッサ•エスタリア•ミオ隊長

『奇襲だー!ブレンガッドの奇襲だー!』

ヴェルグラーレ自治区の民衆が騒ぎだした。

状況を把握したヴェルザス領地、ヴェルグラーレ自治区の財政と治安を維持する血盟ギルド「ブルヘッド」血盟員は、通常警戒から緊急時の治安維持活動へと移行した。

明後日の決戦のため、大砲やカタパルト(投石機)は配置済みであり、ヴェルクラーレ城外壁と外苑外壁には弓兵が各々の意思で緊急戦闘配備に着いた。


ヴェルクラーレ自治区外苑の、ヴェルクラーレ自治区進入路に、いち早く集結した「ブルヘッド」前衛第三剣士軍部隊、第五剣士軍部隊、合わせて約400名。
 タンカーが盾と槍の壁を作り(盾と槍を持ち、堅い鎧に身を包み、防御に特化した兵士)その後ろにアタッカー(攻撃に特化した剣士)が身構えた。


『タクちゃん、エンチャントかけて!』

『ほいきた!』

私はタクミの強化魔法、エンチャントにより、武器と防具の強化、私自身の潜在的攻撃力、防御力を高め、私の戦闘力は飛躍的に上昇した。

『タクちゃん、ありがと!行ってくる』

『ミオ姐!後ろは任せろ!』

『うん、頼むね』

私はタクミに返事をした後、いつの間にか側にいた回復魔法を使うヒーラーのエクレーヌを見てウインクをした。

『危なくなったら、皆に回復魔法のヒールお願いね!』

『はい!』

私はそう言って、馬ほどの大きさである召喚獣「銀狼ぎんろう」のミミを呼び出し、ミミの背に跨り外苑進入路へ向かった。

ヒーラーのエクレーヌは、不安な面持ちで前衛第三剣士軍部隊隊長、ミオの後ろ姿を見送った。

銀狼の「ミミ」に乗りヴェルグラーレ自治区外苑の進入路を抜け、外苑の外に出た。

遠くに砂埃が見えていて、ブレンガッドのギルド旗とギルヌーヴ領地の領旗が見えた。

『ブレンガッドはギルヌーヴのギルドと同盟を結んだのか?』

呟いて前方を見るミオの目には、敵兵の進軍が止まったのか、300㍍ほど離れた所で砂埃が風に流され敵兵の全容が明らかになった。

『ざっと見ただけでも、兵数一万は下らないな‥‥』

私は敵兵を確認してから、私が指揮する第三剣士軍部隊に向き直り大きく息を吸った。

『第三剣士軍部隊ー!』

『おぅ!』

第三剣士軍部隊隊長のミオの声に野太い声が反応した。

『第三剣士軍部隊は何故ここにいるのか?!』

『ヴェルグラーレと民を護るため!』

『第三剣士軍部隊は今、何のためにここにいるのか?!』

『敵を倒すため!』

『敵を倒した後はどうするのか?!』

『勝利の祝杯!』

『第三剣士軍部隊!』

『おぅ!』

『大胆不敵であれ!』

『おぅっ!』

『この手に勝利を!』

『おぅっ!』

第三剣士軍部隊長ミオの激励に、第三剣士軍部隊の士気は最高潮に達した。


続く。。。


概要

時はアヌデラ西暦1500年。
世界七大陸のうちの一つ、一番大きなアヌデラージュ大陸。

アヌデラージュ大陸七領地

ヴェルザス領
ギルヌーヴ領
ティオノス領
エストギラン領
グルディア領
オレンス領
アデュスラン領


ヴェルザス領地 ヴェルグラーレ自治区
戦闘ギルドBHD (bullheaded)
最強の意味をもつ「ブルヘッド」

盟主  イクセィラ • クルフ • ガルシニア                        「ヒューマン」♂️
      グランデュエル OP 
                   

副盟主 アウラ•エスト•ラシュリー 
    「ヒューマン」♀️
    グランデュエル OP

司令官  エルディック • エンソル • クラゥディ                  「ヒューマン」♂️
                    マジックフェロー

軍師  エルドラド • ウェンツ • エリウス  
    「ヒューマンオーク」♂️
    ブレッキャスト OP

外交  エストラダ • ヴィラーギ • アドロ   
    「ヒューマン」♂️
    グラディエーター

外交  エスティル • フリック • ケイジー  
    「ダークネスエルフ」♀️
    ダークネスウィッチ


ギルド 戦闘員 
    剣士タンカー       「防御」   500名
    剣士アタッカー   「攻撃」   500名
    魔法アタッカー       「攻」   300名 
    魔法エンチャント   「防」   300名
                魔法 回復ヒーラー  「防」   300名
    弓兵              「遠隔攻撃」  600名
    砲兵 大砲50門「遠隔攻撃」 100名
              カタパルト20基   「投石機」 100名
    総兵数            2700名
    予備兵          800名


ヴェルザス領地 エルグラーニャ自治区
血盟ギルド 「エルグリラ」
盟主 ヴラドゥール • オーレン • バニッシュ♂️

ヴェルザス領地 ヴェラックウェル自治区
血盟ギルド 「シャルグーレ」
盟主 フレイド • ケイス • アランティーノ♂️

ヴェルザス領地 ヴュルッセオ自治区
血盟ギルド 「グリードゥラ」
盟主 インドゥーラ • ヌルカ • ベクトル♂️

ヴェルザス領地 エストランタ自治区
血盟ギルド 「モズレナ」
盟主 サーラント • スレッダ • エブリア♀️

ヴェルザス領地 タイグランド自治区
血盟ギルド 「ブレンガッド」
盟主 エルミナ • ブレン • ガトゥラ

ギルヌーヴ領地 コルデラッド自治区
血盟ギルド 「ソルデランサ」
盟主 サルベイジ • アルグレッド • コルシカ


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