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仁と義3 任侠短編小説 超常現象編 1 (コメディ)

【ポルターガイスト】

弱きを助け強きを挫く、仁義を重んじる関東 頭鬼組の分家と称した「パブスナック レインボー組」のママに抜擢された、と言うか…氷菓子ガ○ガ○君の原材料(異性化液糖)を意識した組長の組員異性化計画に、まんまと乗せられた一之江将一(20)(いちのえまさかず)こと源氏名「ラン」。


この店にはランの他に、ミオ、メッチ、ナッチ、ティップの四人が働いている。

しかし、ランも含めて全て男である。

とはいえ、ランを除いて四人は性別に囚われないジェンダーレスでもあり、定期的なホルモン注射を行うにあたり、まだ二十歳という若さゆえ体つきは女性そのものである。
 ミオとナッチはロングヘアー。ティップはボブ、メッチはセミロングの髪型。皆小柄な体で見た目も喉仏を引っ込めた声も女性である。

皆、二十歳ということもあり、肌には張りがありインドア派なので皆色が白く、リカちゃん人形のアダルトなレベル80と言ったところである。

胸もラン以外はシリコン豊胸とホルモン注射を続けていて、寄せる谷間はネクパイ(乳房の谷間にネクタイが挟める)ができるほど見事なのだ。

レインボーに来て一ヶ月のランも、既に四人に影響され、自然とジェンダーレスに染まっていった。
まだ、髪はウィッグで胸はブラジャーにヌーブラだが、ランも女性ホルモンの注射を始めていた。
ホルモン注射は、気持ちや精神が不安定になるのだが、ランも例外なく不安定になった。
 しかし、ホルモン注射が原因なのかジェンダーレスへの精神的変化が原因なのか、ランに特別な能力が出てきたのである。
それは霊が見えるようになったことだった。

とはいえ5人は頭鬼組分家「レインボー組」の組員であり、縄張り争いで揉め事の多い石頭一家の縄張りに面した最前線でもあり、メリケンサックと何でも武器にするメッチ。
 両太腿のベルトには常時ナイフが6本のナッチ、同じく両太腿のベルトにはダーツの矢が数本差し込まれているティップ。
 アイスピックを巧みに操るミオもまた、両太腿のベルトには片足6本、両足で12本のアイスピックを隠し持っている。

女になりきっている5人ではあるが、根っこはヤクザなので怒らせると怖いのである。

通称(ロックヘッド)の石頭(いしず)一家の若い連中が嫌がらせに来たとき、石頭一家の若い男たちを言葉巧みに素っ裸にして壁に張り付け、足を広げた状態でダーツや投げナイフ、アイスピックの標的を股間に絞り四人で点数を競いあっていたと言う。

石頭一家の若い衆は、リカちゃん人形アダルトレベル80の四人に骨抜きにされたという逸話も残っているという。

男がダメなら、と女の刺客をレインボーに送り込んだ石頭一家。

石頭一家の男を色気で手玉にとっていたミオが、事前にその情報を手に入れていたレインボー組。

ホストの出で立ちで女を迎え入れ、石頭一家の女の刺客は再び骨抜きにされた。更にはドン・ペリニヨン数本注文で、石頭一家専用ぼったくり価格で借金さえ背負わされた石頭一家の女刺客。

そんな石頭一家とのいざこざが絶えないパブスナック レインボーのママとなって一月が経ったラン。

石頭一家の連中には容赦ないパブスナック レインボーだが、ママになって一月が過ぎたランの身の回りで不可解なことが起き始めたのである。

ランのそばでグラスが突然割れたり、何かに足を掬われ転んだり車にはねられそうになったり…と危険な事が起こり始めていた。


『ねぇ、ミオ…アイツまた来たのかな…』

ナッチが不安そうな面持ちでミオに小声で話しかけた。


『うん、店の中の空気も重たい感じだし、ランのそばでグラスが割れたり、ボトル棚の落ちるはずのないボトルがランのそばに落ちたりしてるから、間違いなくまた来てると思うよ…。アタシ18歳からここで働いてるけど、ママが入れ替わるのランで13人目なんだ』

『13人…また嫌な数字だね…。ランに言うべきじゃない? 今までの一般のママとは違ってアタシたちと杯交わした姉妹なんだし…』

『そうだけどさ…幽霊だとわかったら、ランが居なくなっちゃうかもよ?そしたらまた、この店のママを探して頻繁に誰彼構わず何時でも何処でも出てくるんだよ?ママがいればママのところにしか出てこないから、うちらには都合いいんだよ…』

『そっかー…でも何でママを探すんだろね。この店からママを追い出したいのかな』

『たぶんね…そんな感じがする。ここのお店のママは私よ! みたいな感じかも…あ、ランが転んだ…、足引っかけられたかな?また…』

『でも、あの調子じゃいつか大きな怪我しちゃうよ…』

『あー、ヤバい…目が合っちゃった…』

『ミオちゃん、見えるの?』

『うん、見えてる…ランとアタシを交互に見ながらカウンターから顔だけ出してニヤニヤ笑ってる』

『ちょっとやめてよ…』

『アタシには見えてる。アタシが知らない人だから、たぶんこの建物の経営者が不在だったとき、うちの社長が地主からこの店を買い取る前のママさんかもしれない』

『え~、何とかしないと…』

『そだね…』


ミオとナッチが話をしていると、カウンターに置いてあったグラスが横っ飛びにランへ向かって飛んだ。

ランは反射的にグラスをキャッチしてグラスが飛んできた方向を睨み付けていた。


『おぉ、ランちゃんすごい!』


ランの動きを見ていたミオとナッチが、思わず小さく拍手をした。


こんなことが起こるので、ミオもナッチもママをやりたくない理由なのである。





次回、ランはこの幽霊をどうするのか…お楽しみに(*^^*)b




関東頭鬼組 分家  組長 頭鬼洋次郎(48)
       
        若頭      阿久津龍一(38)

        舎弟頭     新島浩二(37)

        相談役     相田真二(38)


構成員     荒巻和幸   通称カズ(23)
        三澤謙二   通称ケン(25)
        須藤弘道   通称ヒロ(23)
        小林幸弘   通称ユキ(23)


パブスナック 頭鬼組分家レインボー組メンバー💕

      メッチ 木ノ内健(20)(きのうちたけし)
(よくめんちきる。メリケンサック他、何でも武器にする) 

      ナッチ 中沢義男(20)(なかざわよしお)
      (よくナイフをちらつかせる) 

ティップ 榊枝真二(20)(さかきえだしんじ)
      (ダーツの矢を数本いつも太股に隠している)

      ミオ 安桜芙美乃(20)(あさくらふみお)     
      (アイスピックを両足太股に6本合計1ダース常時備えている)

      ラン 一之江将一(20)(いちのえまさかず)
      そのうち武器を持つようになる。 



今回も最後まで読んでくださりありがとうございました♪

また来てね(@^^)/~~~♪

   安桜芙美乃 (ミオ)



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