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ドラマ「放課後カルテ」に学ぶ救命講習のススメ

通訳案内士の講習の一環で、救命救急講習に行ってきました。

今回いかだが受けたのは、一番簡単な基礎講習でした。

学科二時間、実技二時間の計四時間講義を受けて、簡単な学科テストと実技テストも終え、無事に修了証を頂きました。

講義内容で最も印象的だったのは、心肺蘇生法(心臓マッサージ+人工呼吸)、そしてAEDの扱い方です。

AEDは、最近興味深く見ていた「放課後カルテ」というドラマの第二話に登場していた医療器具だったので、私もなんとなく臨場感ある思いで講義に臨めました。


AEDとは

AED(自動体外式除細動器)とは心肺蘇生に使われる医療器具です。

AEDは「Automated External Defibrillator」の略語で、日本語では「自動体外式除細動器」と呼ばれる「高度管理医療機器」です。「除細動」とは、心臓がけいれん(細動)した状態を「取り除く」ことを指しますが、AEDは心臓に電気ショックを与えることで除細動を行います。

以前は医師など、限られた人しか使用が許されていなかったAEDですが、2004年7月から一般の人でも使えるよう規制が緩和されました。AEDは、救命時に必要な操作などを音声や光で案内するため、AEDを使えば一般の人でも救命活動を行えます。

AED(自動体外式除細動器)とは|AED オムロン ヘルスケア

救命救急の基礎講習を受ける人は、学科と実技で一通りその使い方を学び、人形を用いて「人が倒れてから救急車が来るまで」の実技試験を行います。

AEDを扱うことへの恐怖

上記のように、AEDは2004年から一般の人でも扱えるようになったということですが、実際に触ったことがある人はどれくらいいるでしょう。

もしかしたら学校教育などで特別授業を受けた方も多いかもしれませんが、そういった授業の機会や、自ら興味を持って足を運ぶ講習などを省けば、なかなかそういう場面にお目にかかれないような気がします。

本調査ではAEDのさらなる利用の拡大に向けて20代以上の男女600名を対象にAEDの使用方法の認知度や、救急救命の現場におけるAEDの使用に対する意識について質問しました。
その結果、AEDの使い方を「知っている」と答えた人は49%と全体の約半数となり、年代別に見てみると20代での割合が最も多く63%、続いて30代が53%でした。また、AEDを使用すべき場面に居合わせたときに「自ら率先してAEDを使って応急処置をする」と回答した人は全体で14%、年代別でみると20代が23%と最も多い割合を占めました。一方で、AEDを使わない理由として「AEDの使い方がわからない」「間違った使い方をするのがこわい」「命に関わることなので使用を躊躇する」といった回答が寄せられました。

2人に1人がAEDの使用方法を知っているが、自ら率先して使うと答えた人は2割以下にとどまる|ニュースリリース|オムロン ヘルスケア

上記の調査によると、何となく「こういう風に使うんだろうな」という前提は知っていても、「使い方を知らない」「使い方を間違えるのが怖い」などの理由があり、実際にその場面で使用しようと思う人は全体の2割以下ということでした。

「学校教育で習う機会もある割には、実際にAEDを使える人が少ない」、そんな印象を受けます。

「放課後カルテ」に学ぶAEDを扱う時の心情

ところで、ドラマ「放課後カルテ」の第二話では、「AEDを扱うことが不安な一般人」である我々によく似た状況を、小学六年生の女の子が演じていました。

(こちらの公式サイトでは、第二話の五分程度のダイジェスト動画があるので、よければご覧になってください。)

人気のない場所でおじいさんが倒れ、小学生の子が学校医の牧野先生に電話しながら、必死で救命を行っているシーン。

12歳の女の子が、何分も心臓マッサージを一人で続けていて、泣きながら「早く誰か来て」と言い続けていて。

リアルタイムで視聴していた時は、なんというか胸が詰まりそうでした。

もし自分がそんな状況に遭遇したら、その人を助けられるのだろうか。
いや、知識もないのに無理だ。きっと救急車を呼んで、AEDを開けてみて、使い方が分からなくてパニックになるかも。

「命を繋ぐことに成功する、もしくは失敗する」という不安がありながらも、女の子は救命講習の紙を見ながら懸命に心臓マッサージを続けて、そのうちに牧野先生が助けに来てくれて、おじいさんの命を繋ぐことができました。

こういった未知への不安を消すために必要なのは、きっとその状況を解決するための知識や対応策を知って、行動することなのでしょう。

救命講習に参加する意義

今回はドラマを見てそのような学びを得ていた中、ちょうどのタイミングで救命講習を受ける機会に恵まれたので、もし今後自分がそんな場面に遭遇したら、「まずはこうしよう」という具体的な対応策を身につけることができました。

これまでは、学校や職場、身近な場所でAEDがあっても、知識もないので触ろうとは思いませんでした。

が、実際、誰かの心臓が止まってからできることって、心肺蘇生しかない。

救急車が来るまでの間に、他の人が来なかったら。私に知識があれば、それを適用できれば、誰かの命を延ばすことができるかもしれない。

日常で具合が悪くなった人のみならず、日本は地震大国なので「もしもの時」はいつでも有り得ます。勿論自分が心臓マッサージされる側に回るかもしれない。

今回は通訳の仕事の一環で講習を受けましたが、そんな非常時の際にも主体的に行動できるスキルが1つ増えたと思うと、意義のある講義を受けられたなあ、という満足感でいっぱいです。

教本も貰えたので、今後のためにも復習して、いざと言う時に役立てていきたいと思います。


1人では難しい心肺蘇生

ちなみに、救急車を呼んでから到着するまでには、平均8.6分かかるのだそうです。

2、3分の心肺蘇生でも全身運動で相当な疲労のため、質の高い心臓マッサージを約9分間続けるためには、交代して行うのがベストだと救命講師の先生が教えてくれました。

救命の方法を知っている人がその場に2人いると、交互に心肺蘇生もできるので、例えば震災とかに備えて救命講習を受けた人を増やしていくことも、生存者を増やすために必要なことなんだなと思いました。

救命講習に興味を持った皆さん、行かれる際は「放課後カルテ」第二話を見てから臨むのもありですよ。きっといかだのように臨場感満載で挑むことが出来ます。

知識のアップデート

そういえば、講義で「心臓って左にあるんですよね?胸骨の真ん中ではなくて左をマッサージした方がいいんじゃないですか」と質問している人がいました。

心臓の位置がどこにあるかの感覚は世代によって変わるようで、今は「胸の真ん中」と教わることが主流のようですね。

心臓はほぼ真ん中寄りのやや左程度の位置にあり、胸骨圧迫は胸の真ん中、やや上で行います。

もしも「心臓は左だ」と思って胸の左側を圧迫してしまうと、圧迫で折れた肋骨が心臓に刺さって口から血を吐いてしまう、なんてことも実際にあったそうです。恐ろしいですね。

真ん中部分は窪みがあり、そうはならないので、心臓マッサージをされる際は胸の真ん中で行いましょう。

知識をアップデートするためにも、大人になってから救命講習に参加してみるのはおすすめです。

講義で地震の際の救助のことも簡単に聞いたので、災害に備えて知識を蓄えておく必要があるな、と今回の講習を踏まえて思いました。

今回は日本赤十字社の管轄で担当者の方が集団講義をしてくださいましたが、消防署なども行っているようなので、興味がある方はそちらも参加してみてもよいかもしれません。

以上救命講習のススメでした。
今回学んだ知識を忘れないように、救命講習のテキストを見ながら繰り返し復習をしていきたいと思います。

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