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家族の話が無難じゃなくなってきた

家族の話は、天気と同じくらい無難な話題。
そう考える人は多いと思う。
でも最近、家族の話をしにくくなった。
人にもどう聞いていいかわからない。


「最近、実家に帰ってる?」
「お母さん元気?」
そう気遣ってもらうのはありがたい。
そこまで親しくない同僚には「元気だよ、腰悪いけど。だから週1帰ってる」とだけ言って会話を終わらせがち。

母は元気なのです。
腰を痛めてから1人で外には行かないけど、デイサービスやリハビリでほとんど毎日外出してるし、なんたって性格が陽気。
ただ要介護1レベルの認知の衰えあり。
つまり認知症なのだけど。

さりげない問いに、どこまで情報を詰めていいかためらう。
母は元気だけど、介護に突入して大変と思うことはある。
「実はちょっと大変なんだ〜」と言って、「高齢親ネットワーク」みたいのに参加すれば気が楽になるのかもしれない。
でもそのネットワークに入りたくない。
入りたくないのに人のことを深掘りして、「こっちおいでよ〜」と手招きする人もいる。
警戒心が発動する私。

今回話したいことは、「家族の話=無難でもないんじゃないか」ということ。
あと「人をやたら心配したがる距離感近めの人」のこと。



私が30代のころは、母親も70代で元気いっぱい。
父は少し入院したのち亡くなったけど、闘病というほどでもなかった。
そのころは親の話をふられても、濁すことなくまっすぐ返せた。
私も挨拶がわりに「ご家族元気?」なんて聞いてたし。

女性9割の職場では「王道の無難会話」というものがある。
食べ物、スーパー、ペット、体調、子ども、家族。

でも誰にとっても無難というわけじゃない。
私は食べ物の話振られても「アレルギーで…」となる食材があるし、体調も少しつらいときほど誰にも気づかれたくない。
そして家族・親。

「お母さん、温泉に連れてったりとかしない?」
同僚に聞かれたことがあり、ギョッとした。
彼女にとっては無難な会話だったんだろうけど、「連れてったらどうですか?」と言われてるみたいで、すごく構えた。

「腰が痛いからちょっと無理そうだし、本人も温泉とか嫌いなタイプで…」

なぜか言い訳をする私。
彼女は、腰の悪い親戚を温泉にみんなで連れて行った話もしてくれた。
今は、いい介護旅行サービスもあるということ、連れて行ってあげたらなんだかんだ喜ぶのでは?と続く。
「そうなんですね、いいですね」とだけ言った。

「親孝行をどれだけしてもし足りない」という人はいる。
そういう人の中で親孝行といえば旅行とか高級な食事、高価なプレゼント、手料理(作り置き)だったりする。
私だってどれだけ親孝行してきたろうという自負はあるんだ。
日常の、本当日常の、長年の・・
ひと言では言えない。
旅行は姉がよく提案していて、それが実現したこともあった。
親孝行に入らないですかね?と上目遣いで言えば、「いやいや、十分よ」という人もいるし、「もうちょっとしてあげたら?」という人もいる。
人の親孝行が気になる人って何なんだろう。


誰かの親が調子悪いとなると、すーっと寄ってくる人がいる。
その人はご自身の親の介護に何年も前から入っているので、高齢親を持つ人に寄り添いたいという優しさがあるのだとは思うが、私はその人を避けている。

「高齢親を持つ共通点」で結束しようというのは表面的で、実際は「こうしたほうがいいよ」とアドバイスしてきたり、「あの人も大変らしいよ」とネットワークを勝手に広げられる=人の介護事情をオープンにされてしまう。
のみならず、自分がどれだけ日々大変か、どれだけのことをこなしているか(寝てないとか)を聞かされる。
この「聞くこと」というのはすごくエネルギーを要する。
「親の介護で一番苦労しているのは自分」「これだけの親孝行をしている」と、結局マウントしたいんじゃないかといつも感じるその人から、ダッシュの勢いで逃げますよね。


人のことをすごく知ろうとする人・すごく知ってもらおうとする人。
つまり人に過剰に関わろうとする人というのは、その人自身、境界線があまり確立されてないのかもしれない。
そういう環境に長らくいたんだろうか。
私も人の悩みが過剰に気になるタイプで、それは30代まで。
家族の影響なんだけど、40代に入って疑似奉仕精神みたいのでメンタルをやられてしまってから、境界線を意識するようになりました。
人の問題を我がことのように抱える姿は献身的に見えるけど、そういうタイプは人にも自分の問題を背負ってもらおうとする。


私はもうオープンでありたくないんだ。
ごく近しい人が私の近況を知っててくれればそれでいい。
自分の母親が高齢で認知が衰えてて、という現状を職場の誰もが知る話題としてあげてほしくない。
少し前は、オープンであることが良きことみたいな時代でしたけどね。
オープンな人って、「いい人」っぽいし。
でも本当にいい人って、「そっとしといてくれる人」というのが最近の体感。
むやみに人のプライベートをほじくろうとしない。

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親とか介護の話、いつもライト&ユーモラスに書きたいと思うんだけど、そうはいかないものです。


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