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本の学び 宇宙気分

『ムーミン谷の彗星 』
トーベ•ヤンソン


先週の
宇宙の学びは
“彗星”がテーマだった

先月は
アトラス彗星も
話題になってたので


久しぶりに
『ムーミン谷の彗星』を
読んでみた


ムーミン谷の
異常気象は
どうやら“彗星”が
原因らしい

この恐怖に
すっかり落ち込んでしまった
ムーミン•トロールに

パパとママは
「あんたたち
ちょっと旅をしていらっしゃい」

星を観測する場所に行って
自分たちで
調べてきたら?

と提案する


パパが
“いかだ”を作ってくれて

「さあ、川のまん中を
たどっていけよ

丸い屋根のある
へんな建物が見えたら
それが天文台なんだ

そこには
星のことしか考えない
えらい学者が
うんと住んでるそうだ」


ママは
「たのしくね
日曜日までに
かえってくるのよ
おいしいグラタンを
つくっておくからね」
と、送り出す


途中
旅を得意とする
スナフキンとの
出会いがあった

「彗星というのはね
ひとりぼっちの星で
頭がへんになってるのさ

それで尾をひきながら
宇宙をころげまわってるんだ

ほかの星は
みんなちゃんとした
軌道をまわってるけど

彗星というやつは
どこでもあらわれるのさ

ここへもな

地球が
こなごなになっちゃうよ」


物知りのスナフキンも
旅に加わり

「おさびし山」にある
天文台への
冒険がはじまった



ガーネット山
(宝石の山)で
大とかげに遭遇して

ガーネットを獲り損ね
しゃくりあげるスニフに
(スニフはお宝好き)


スナフキンが
お得意の
名言を放つ

“なんでも見るだけに
してるんだ
もってかえろうとすると
むずかしいものなんだよ

ぼくは
見るだけでにしてるんだ

そして
立ち去るときには
それを頭の中へ
しまっておくのさ

ぼくはそれで
かばんをもち歩くよりも
ずっとたのしいね”


旅は
困難続き

川の激流から
脱出したり

大鷹に襲われたり
しながら

ようやく到着した 
天文台で
宇宙を見せてもらった

巨大な望遠鏡から
赤い彗星も見えた

なんと
4日後に
地球に衝突するらしい

パパやママに知らせるために
早く帰らないと!


帰路もまた
どたばたの
珍道中が続く


「くたびれたよう
つかれちゃったよう
もう、このテントを
かつぐのをかわってよ」

不平不満たらたらの
スニフに


「それはいいテントだが
人間は
ものに執着せぬように
しなきゃ
すててしまえよ」

冷静沈着
ぶれない自分軸を持つ
スナフキン


ムーミン•トロールは
おっとりと優しい

そして
正義感の強さから
ムーミントロールが
“スノークのおじょうさん”
と出会う

ムーミン•トロールと
スノークのおじょうさんが
お互いに“ひとめぼれ”を
した物語でもある

スノークのおじょうさんに
強いところを見せたくて
必死に頑張ってる
ムーミンがかわいい♡


冒険をしたことや
スナフキンや
スノークのおじょうさんと
出会ったことで
ムーミンの成長の旅となった



ムーミン小説が
大好きな理由は

まず
挿し絵がかわいいこと

すっかりおなじみの
現代版のムーミンも
好きだけど

小説の原画タッチの
挿し絵の表情が
大好きだ

初期のムーミン•トロールは
ちょっとシュール
地味キャラ?
でも
この頃も
表情は愛くるしい

2020年の原画展では
夢中になった


そして
そのすてきな挿し絵に
ぴったりと馴染んでいる
日本語訳の描写が
ほんとうにすてきだ♡

日本語に訳されている
下村隆一さんの
表現がかわいすぎる

たとえば
谷底に落ちた
ムーミントロールを
引き上げるシーン
P107

“二人は全身の力をこめて
すこしずつひっぱりました

とうとう
がけのふちから
ムーミントロールが
見えてきました

さいしょに耳が

それから目が

つぎに顔が

つづいて
もっと大きく顔が

見えてきて

さいごに
ムーミントロールの全身が
あらわれたのです”

想像すると
笑笑


英訳本をみると

They pulled with all their might,
until at last Moomintroll appeared
over the edge.

First his ears,

then his eyes,

then his nose

(then still more nose)

and eventually the whole of him.

英訳では“鼻”を強調してる

鼻が見えて
それからまだ鼻が

こちらもかわいい


鼻が長い特徴をもつ妖精
だけど


日本では
下膨れ顔の
ぽっちゃりした男の子

というのが
すっかりおなじみ

丸っこいのが
日本では
“かわいい”の
象徴になってる
気がする

原書の
スウェーデン語は
どうなのかな?

ムーミンの顔が
どのように表現されていたのか?
気になるなぁ



本の最後の“附記”を読むと
下村さんは東京大学の学生時
熱病で歩行困難になり
廃学後にスウェーデン語を学び
ヤンソンさんの本の翻訳された
と書かれてあった

英訳から日本訳
ではなく
スウェーデン語を日本訳!
すごい⭐︎


トーベ•ヤンソンさんは
フィンランド生まれだけど

お父さんが
スウェーデン語系の
フィンランド人で

お母さんは
スウェーデン出身なので

スウェーデン語で
書かれているらしい

フィンランドで生まれたけど
フィンランド語が話せない

少数派だったことや
残酷な社会情勢、戦争など
時代背景と
トーベ•ヤンソンさんの
経験が
物語に影響している
と書かれていた

そして
時代が穏やかになったことで
ムーミンが徐々に
ふっくらしてきた、と
知ることができ

より一層
ムーミンたちに
愛着が湧く


愛娘の“愛娘”にも
受け継いでいきたい
わたしの大切な本だ


なので
絵本も準備している

『絵本•ムーミン谷から4
ムーミン谷のすい星』

ムーミン小説の
色のない
原画タッチの挿し絵が
大好きだけど

絵本は
原画タッチに
色がつくことで
温かみが加わり
なんとも平和で
ファンタジー

ばけもの草と闘う
ムーミン•トロールも

赤い彗星をバックに
みんなが肩を寄せ合って
眠っている絵も
とてもとてもかわいい♡


ちなみに
この『ムーミン谷の彗星』は

絵本は
穏やかに平和だけど

小説ムーミンは
わりと
しっちゃかめっちゃか
している

不平不満やわがままとか
言いたいことを
包み隠さず
ずけずけ言いあう
面倒な種族も多い

日本は
島国気質
っていうのかな?

あまり主張せず
事なかれ主義で
みんな仲良く
多数決や右ならえ的が
美徳とされがち

でも
陸続きだったり
他民族、多宗教や
内戦などを経験すると

おそらく
わたしが想像する以上に
個々の主張も強く
いろんな極論を
言い合うのだと思う

“それぞれ
みんな違うから考えも違う
当たり前のことでしょ”

この考え方が
ベースとなる


トーベ•ヤンソンさんの
ムーミン物語は

がちゃがちゃ
わちゃわちゃしてるけど

いろんな人たち(妖精たち?)が
なんだかんだ
言いたいことを
思いっきり言い合って
いるけど

いい塩梅に
折り合いをつけたり
帳尻を合わせてる
気がする

いい人ぶらなくていいし
陰湿でなく堂々と主張し
そして
恨みっこなし

素直さ
“おおらかさ”を
感じる

長い目で見れば
この方が
お互いのためでもあるよな
そんな気もする

現実は
なかなか難しいけど

トーベ•ヤンソンさんの
小気味よい発想に
くすって
笑えたり

ムーミンの男気に
きゅんとしたり

スナフキン名言に
なるほどね、と
感心したり


いっぱい揉めるけど
最後は成長して
おさまるので
めでたし
めでたし


愛娘の愛娘が
よちよち歩けるように
なったので

来年かな?
ムーミンバレーパークにも
一緒に行きたい♡


そして
いつかは必ず
フィンランドへ♡
ムーミンを巡る旅に
行きたい!!

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