日本の獣医師の平均年齢の推移
キーポイント
・若い獣医師は比較的小規模な企業所属している
・大規模な企業では女性獣医師の平均年齢が低い
・個人経営臨床獣医師の年齢は顕著に上昇している
はじめに
獣医師の労働状況を確認するために、政府統計から獣医師の平均年齢の推移を調査しました。獣医学生は大企業への就活を行うことが少なく、小動物・大動物・公務員への活動がメインです。その傾向が平均年齢にも表れているようです。
日本全体と獣医師の比較
まず、日本全体と獣医師の比較です。大企業の男性では違いがありませんが、女性では10歳ほど平均年齢が低いことが分かります。99人以下では明らかに獣医師の平均年齢が全体よりも低い傾向にありますが、男女差は少なくなっています。このような傾向にある原因は分かりませんが、新卒の若い獣医師が比較的小さな事業者を選んでいる可能性があります。
1000人以上事業者の獣医師
獣医師が所属する事業者としてはイオンペットなどの大規模小動物臨床事業者や製薬会社などがあると考えられます。北海道nosaiもここです。この規模の事業者に属する獣医師は人数が少ないため、年により変動が激しい推移となっています。基本的には男性の方が年齢が高い傾向にあります。
100-999人の事業者
この規模の事業者としては比較的規模の大きい産業動物臨床(nosaiなど)や系列病院所属の小動物病院、ペット関連企業になります。サンプル数は安定しており、信頼性は高いと考えられます。2005年から男性の方が女性より年齢が高い傾向が続いています。男女それぞれの年齢は横ばいの傾向にあります。
10-99人の事業者
10-99人の事業者は小規模なnosaiや従業員を雇って経営をしている小動物臨床病院が含まれます。100-999人事業者と比較すると男女差は狭くなっていますが、男性の方が平均年齢が高い傾向は同様です。男女それぞれの年齢は横ばいかやや上昇の傾向にあります。
5-9人の事業者
5-9人の事業者は個人経営の小動物臨床や大動物臨床が含まれると考えられます。男女差はほぼなく、中小企業と比較しても明らかに平均年齢が上昇しています。
まとめ
獣医師の年齢の推移のみで分かることは少ないですが、日本全体の労働者では小規模な事業者ほど平均年齢が高いのに対して獣医師では小規模な事業者ほど平均年齢が低いことが特徴です。別の記事で紹介予定ですが、獣医師は小規模事業者でも比較的高い給与を得ている傾向にあります。このことが若い獣医師が小規模事業者を積極的に選ぶ理由になっているかもしれません。
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