鳥取大学獣医神経病腫瘍 眼科

鳥取大学農学部共同獣医学科神経病腫瘍教室のページです。附属動物医療センターでは、眼科を担当しています。症例紹介などを行っていきます。

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眼科症例報告:視神経低形成の犬一例

はじめに 犬ではまれに先天性の網膜、視神経疾患の患者さんが来院されます。片眼発症の場合は生まれてから時間が経ってから発見されることも多いです。今回は視神経低形成の症例の報告をさせていただきます。 現病歴 4歳6ヶ月、トイプードル、去勢オス 小さい頃から右眼をが充血することが多かった。その都度かかりつけ医を受診し、治療を受けていたとのこと。 受診5日前、右目を閉じており、瞳孔が散大していたとのこと。かかりつけ医で右眼の視機能の低下を指摘された。ぶどう膜炎の診断を受けた。

    • 獣医ミクロ経済:獣医師の労働時間の推移

      キーポイント ・2018年頃以前は残業時間が減少傾向で、それ以降はやや増加傾向 ・残業時間に男女差がないことが特徴 ・全体の労働者と比較して長時間労働 はじめに  獣医ミクロ経済統計シリーズとして、今回は獣医師の労働時間の推移を紹介します。厳密に医療系の職業と言えるのか難しい獣医業ですが、行っている業務内容は医療系の仕事が多いです。長時間労働につながるイメージですが、実際はどうなのかを統計調査をもとにみていきたいと思います。 2023年の全体労働者と獣医師の比較  

      • 獣医ミクロ経済:日本の獣医師の平均年齢の推移

        キーポイント ・若い獣医師は比較的小規模な企業所属している ・大規模な企業では女性獣医師の平均年齢が低い ・個人経営臨床獣医師の年齢は顕著に上昇している はじめに  獣医師の労働状況を確認するために、政府統計から獣医師の平均年齢の推移を調査しました。獣医学生は大企業への就活を行うことが少なく、小動物・大動物・公務員への活動がメインです。その傾向が平均年齢にも表れているようです。 日本全体と獣医師の比較  まず、日本全体と獣医師の比較です。大企業の男性では違いがありま

        • 獣医ミクロ経済:動物の飼育頭数からみる獣医師の今後

          キーポイント ・犬の飼育頭数は、新型コロナウイルス感染症から増加傾向 ・ひと世帯当たりの動物病院代は2005年から右肩上がり ・2016年頃から肉用牛や肉用鶏は飼育頭数が増加している はじめに  近年、小動物の数は減少傾向にあると言われ、家畜も減少しているという風潮があります。これは獣医師の需要が減っていることになるため、今後、獣医師を目指す学生さん達には懸念される事態かと思います。しかし、政府の統計調査を調べてみると、ここ数年は盛り返してきている様子があります。今回は

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        眼科症例報告:視神経低形成の犬一例

          眼科症例報告:温罨法が有効であった角膜疾患を繰り返す犬の症例

          はじめに ブルドックなど、まぶたが垂れ下がっている犬種では、上下眼瞼のメニスカスが角膜に接触しておらず、まばたきによるワイピングができない特徴があります。これらの犬種では涙液の量が足りていても、ドライアイ傾向にあるために角膜疾患を引き起こすことが多いです。本症例は角膜疾患を繰り返しましたが、温罨法により徐々に調子を取り戻しました。犬種特有の眼瞼とマイボーム腺機能不全が根本原因となり角膜疾患を引き起こした症例について紹介します。 初診時稟告 ブルドック、8歳5カ月、オス

          眼科症例報告:温罨法が有効であった角膜疾患を繰り返す犬の症例

          眼科症例報告:白内障と網膜疾患を疑う犬1例

          はじめに  白内障で水晶体が白くなると、ものの形が分からなくなります。動物では本を読んだり車を運転することはないため、人よりも白内障が進行した段階で問題が発生します。特に両眼共に成熟白内障以降まで進行するとものにぶつかるようになり、生活に支障が出ることになります。  動物の白内障も人と同じように手術により視機能を回復させることが可能ですが、眼内の透見ができないために網膜疾患を見逃すと手術をしたにもかかわらず、視機能が回復しないことがあります。  今回は比較的若齢で白内障を発

          眼科症例報告:白内障と網膜疾患を疑う犬1例

          眼科症例報告:進行性網膜変性を疑う犬1例

          はじめに 高齢の犬では目が白くなっている子が多いです。白内障であれば手術して見えるようにしてあげることができますが、その他に病気がある場合は手術をしても視力の回復が見込めない場合もあります。 今回は、白内障の手術を希望されて来院されましたが、進行性網膜変性が疑われ、白内障の手術の実施を慎重に判断せざるおえなくなった症例を紹介します。 進行性の網膜疾患があっても、白内障手術後1年ほどはよく見えるようになる患者さんは多いです。目が見える1年ほどの期間をどのように考えるかは飼い主

          眼科症例報告:進行性網膜変性を疑う犬1例

          眼科症例報告:SCEEDsの症例

          はじめに犬では、無痛性の角膜びらんSCEEDsという角膜疾患が存在します。通常の角膜潰瘍治療では容易に完治せず、綿棒によるデブライドメントやダイヤモンドバーによる掻爬が必要な場合があります。今回は、比較的容易に完治した症例の紹介をします。 現病歴 5歳4ヶ月、不妊メス、チワワとダックスフントのMIX 来院3日前に、シャンプー後に右眼の調子が悪く、近医にて角膜びらんの診断された。アセチルシステイン点眼液とレボフロキサシン点眼液が処方された。 来院2日前、右目が開かなくなった

          眼科症例報告:SCEEDsの症例