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絵本『したっけね』

※絵はありません。シナリオだけです。
 よろしければ思い浮かべながらご覧ください。



 ともだちなかよし3人ぐみ、
 きょうはみんなで すなあそび。

 「なにつくる?」
 「なにつくろう?」
 「山つくろう!大きいの!」


 3人はバケツいっぱいに すなをあつめ、
 大きなお山をつくろうとしています。

 「よいしょ、よいしょ。」
 「たくさんすなをのっけて、のっけて。」
 「もっと大きく!」
 「よいしょ、よいしょ。」
 「もっとー、もっとー!」


 「できたーーー!」

 大きいお山ができました。
 まだなにかつくろうとしていますが、
 空があかく そまってきました。

 「トンネルほろう!」
 「でも、もうかえらなきゃ。」
 「くらくなってきたね。」
 「かえろう、バイバイ!」
 「したっけね!」

 「...したっけね??」


 「したっけねってなに?」
 「バイバイってことだよ。」
 「バイバイはバイバイでしょ?」
 「さようならはさようならだし。」
 「へんなこと言うへんな子だー‼︎」

 「へんじゃないもん...」

 2人はおともだちをゆびさして、
 わらっています。


 ともだちなかよし3人ぐみ、
 きょうもみんなで すなあそび。
 だけど...

 「きょうも山つくろう。」
 「きのうよりも大きいの!」
 「うん!」

 「へんな子は1人でつくってなよ...」

 きょうは1人、
 なかまはずれになってしまいました。


 お山が2つできました。
 大きいお山と小さいお山。

 「きのうよりも小さいね。」
 「あしたはもっと大きな山をつくろう。」
 「そうだね!それじゃあね。」

 「したっ...あっ...バイバイ。」

 2人はニヤニヤとわらいながら、 
 かえっていきます。
 へんな子だーとゆびをさしながら。


 きょうもみんなで すなあそび、
 そのまえにおかしをかいにだがしやさんへ。

 「チョコとビスケット、なににしよう?」

 アレにする?コレにする?と、
 おはなししながらあっちへこっちへ。
 だけど、きょうも1人。なかまはずれ。


 だがしやさんは、おみせのおばあさんと
 こどもたちがたくさん。

 「はい、どうぞ。100円ね。」
 「ありがとうおばあちゃん。」
 「きをつけて。したっけね〜。」

 「したっけねだって」
 「アイツとおなじこといってる。」

 2人はおばあさんをみて、
 クスクスとわらっています。


 「なにかおもしろいことでもあったの?」
 おばあさんが2人にはなしかけます。

 「おばあちゃん、へんなこというからおもしろくて。」
 「したっけね。だって。」
 「アイツとおなじこといってた。」


 すみっこでションボリしているおとこのこに、おばあさんはにっこりとえがおで、
 「あなたはおともだちが だいすきなのね。」
 といってあたまをなでます。


 「したっけねってことばは、
 さよならのあいさつだけどね。
 またいっしょににあそびたい。
 またあいたい。
 だいすきなおともだちにつかう 
 まほうのことばなのよ。」

 おばあさんはこどもたちにおはなしします。

 「そうなんだ!しらなかったね...」
 「ごめんね。」


 ともだちなかよし3人ぐみ、
 きょうもみんなで すなあそび。

 「きょうはみんなでつくろう!」
 「いっしょにつくろう!」
 「うん!」

 3人はバケツいっぱいに すなをあつめ、
 大きなお山をつくろうとしています。


 「できたー!!!」

 はじめにつくったお山より、
 2人でつくったお山より、
 大きな大きなお山ができました。


 「トンネルもほろう!」

 大きなお山に大きなトンネル。
 トンネルをのぞくと、
 たいようがいまにも ねむりそうです。

 「くらくなってきたね。」
 「かえらなきゃ。」


 「したっけねー!!!」

 完

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