百次のサムライ13 -薩摩平氏と石塔- 秋葉神社の宝塔
はじめに
ここでは鹿児島県の薩摩半島に点在する薩摩平氏(伊作平氏)ゆかりの石塔をめぐり、戦国乱世を駆け抜けた兵どもの夢のあとをお伝えします。
平安時代末期、桓武平氏の流れを汲むといわれる平良道(たいらのよしみち)が薩摩国伊作郡(鹿児島県日置市吹上町付近)に郡司として下向し、伊作姓を名のり伊作平氏と呼ばれました。やがて薩摩半島各地に拡がった良道の子孫たちは薩摩平氏と呼ばれました。
秋葉神社(あっかどん)の宝塔
薩摩川内市薩摩川内市百次町の上別府にある秋葉神社(あっかどん)には、鎌倉時代1240年頃のものと云われる塔身だけの宝塔がみられ、3面に金剛界四仏とおもわれる仏像が彫ってあります。1面は破損して痕跡だけとなっています。この宝塔は全面に弁柄(紅柄)が塗り込んであったようで、今でも薄っすら紅がみえます。
【金剛界四仏】阿閦如来、宝生如来、阿弥陀如来、不空成就如来。
ここは鎌倉時代に当地を納めた薩摩平氏の上野一族が代々居城した上野城から直線距離で900mの場所にあり、鎌倉時代の塔身だけの宝塔については上野氏も何らかの関りがあったものと推測されます。
名称:秋葉神社(あっかどん)
所在地:薩摩川内市百次町812-1番地
創建年:不詳(延享二年(1745年)に社改築)
社格:無格社
祭神:火之迦具土神(火の神)
ほかにも江戸時代の寛文3(1663)年に講衆により建立された祈願塔には地蔵菩薩と思われる仏が彫られており、背面には墨書が残っています。
また、安政2(1855)年にとなりの源八山山頂に百次衆によって石祠2基(秋葉山六宮大権現)が寄進建立され、1基に愛宕山大権現、秋葉山大権現、金毘羅大権現、もう1基に淡路大明神、生目八幡宮、稲荷大明神、馬頭観世音と彫られているようです。
ここ秋葉神社にはそれを記した石碑のみがみられます。
【参考文献】
川内市史 石塔編(1974)川内郷土史編さん委員会
川内の神社祠川南編(2003)薩摩川内郷土史研究会