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百次のサムライ15 百次町上野の山神神社(やまんかん)
鹿児島県薩摩川内市の南部、百次町上野(ももつぎちょううえの)の丘陵地の上に、鎌倉時代前期から南北朝時代前期にかけて薩摩平氏の上野一族の居城、上野城がありました。
その上野城跡地の南端に標高70mほどの大畠山があり、その山裾に佇むのが山神神社です。地元の人々からは「やまんかん」と親しみを込めて呼ばれています。
名称:山神神社(やまんかん)
所在地:薩摩川内市百次町2353番地
創建年:不詳(延享二年(1745年)に社改築)
社格:無格社
祭神:大山津見神(大山祇神、山の神)
神体:阿弥陀如来坐像(木造)
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この神社には逸話があって、川内の神社祠川南編には
往時当地の人で200頭のイノシシをとった人がおり、最後の日に山神になると言って狩りに出た。そして大きなイノシシに乗り山中深く入って行き帰って来なかったので、土地の人はこの人を山神として祀ったという。
とあります。また、川内風土記には
むかし、永利方面※での話だが、「おれは二百頭はうってみせる」と豪語する猟師がいた。ところが、いよいよ二百頭目という日に、この猟師は不思議なことを言って山に出かけていった。「おれはこれから山の神様になりにい ら、おれがいなくなってもさがす必要はないョ」と。あまりにも突飛な話で、家人は笑って相手にしなかった。
するとこの時、どこからとも知れず大きな猪があらわれ、この猟師はその猪にまたがって山奥の方へどんどん走っていってしまい、その後二度と姿を見せなかったという。家人をはじめ、里人は不思議なこととし、この人を山の神としてまつり、傍に石の塚をたてたといわれる。この石の塚は今なお残っているという。
※永利方面…百次町の隣町
とあります。最初は石を積んだだけの塚だったのものが、石の祠になり、社になったのでしょう。
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【参考文献】
川内風土記(1974)青崎速
川内の神社祠川南編(2003)川内郷土史研究会, 川内市歴史資料館 編