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PEファンド面接対策|⑥面接で評価される意思、評価されない意思


1. PEファンドがWillを重視する理由とは?


前回の「Can」では、PEファンドのビジネスフローを踏まえて、なぜあなたが即戦力たりうるのか、について整理しましたが、今回は「Will」に焦点を当てていきます。Willについても、この人がファンドに貢献してくれるかどうか、を見極めているだけです。

投資案件に必要な時間軸

PEファンドは、ソーシングからエグゼキューション、PMI、イグジットまで、企業の買収・統合・売却という長期にわたるプロセスを担当します。
1つの投資実行までに数年がかかることもあり、3年やっても投資実行ゼロという方もいます。

そしてようやく投資実行にありついたら、そこから3~5年という時間軸において、投資先企業へと一貫してコミットすることが求められます。
案件のきっかけ作りから起算すると、どれだけ短くてもイグジットまで5年程度は必要になります。

特にPMIでは順風満帆なことは少なく、我慢強さ、突破力、精神的ストレスへの耐性が無ければ、途中で挫折してしまいます。

LPが求めるチームとしての強さ

PEファンドは金融商品であり、あらかじめ運用期間が定められています。
いつでも解約可能な商品ではなく、10年単位でファンド全体のリターンを提供する責務があります。

ビジネスフローでは説明を割愛しましたが、PEファンドでは、軍資金・元手とでも言うべきファンド資金を調達する、ファンドレイズという重大業務が数年ごとに訪れます。

所詮はPEファンドも資金受託者の一角であり、上位レイヤーにはLPと呼ばれる出資者(年金や銀行・保険などの金融機関)が存在します。LPは、Limited Partnership(リミテッド・パートナーシップ)の略称です。

LPの方々からの評価/出資が無ければ、ファンドとしてはゲームオーバーです。PEというアセットクラスではバイアウト、VC、グロースキャピタル、などの競争がありますし、バイアウトの中でも当然競争があります。

大事なファンドレイズ中のLPからのデューディリジェンスにおいては、
「なぜおたくのファンドが優秀な人材を採用でき、かつ定着すると言えるの?」というやり取りがなされます。

ファンドの中核メンバーを対象に、キーマン条項が設置され、該当条項への抵触に際する取り決めがなされますが、キーマンでなくとも、メンバーが辞めたり、辞めていただかないといけないという事態は、LPに対するウケが非常に悪いわけです。所詮は数十人単位での組織において、採用は下手をすると、ファンドの存続に致命的なダメージを与えうる要素となるのです。

人心を動かすことも仕事

PEファンドは、多くの関係者と協調して仕事を行い、自分の知らない領域や、自分だけでは成し遂げられないことを乗り越えます。
その際に重要なことは、納得感や説得力を持って人とコミュニケーションができるか、ということです。

What to sayも大事なのですが、How to sayは、非常に重要なスキルというわけです。

適切な業務理解

候補者は正しくPEファンドの業務を理解しており、ミスマッチは無さそうか。必要な成長を実現するための自己認識と意欲があるか、という点は当然にチェックされます。
以上、Willは重視な要素で、参考程度に話す志望動機ではありません。

ファンドの業務理解には、事例を知っておくことが有用です。
以下の記事では書籍なども紹介していますので、参照してください。


2. PEファンドへのWill表明のポイント

PEファンドを志望する理由は何か?

PEファンドでの仕事に長期的にコミットできるか?

他の選択肢ではなく、PEファンドでなければならない理由は何か?

基本的には、上記の3つをカバーは必要です。
これまでの繰り返しになりますが、「なぜPEファンドを志望されますか?」の質問には、なぜPEファンドで働きたいのかとセットで、その動機が短期的なものではなく、長期的な視点に基づくものか?という問いへの回答が必要です。

志望動機やキャリアビジョン、現職からPEファンドへの転職理由を論理的に結びつけ、PEファンドでしか実現できない目標を語ることができれば、面接官に「この人は長期的に我々のファンドに貢献してくれるかもしれない」と感じさせましょう。

Willを示すポイントとしては以下になります。

きっかけ
PEファンドに興味を持ったきっかけや経験を具体的に。

達成したいこと
長期的に何を達成したいか、具体的な目標を明確に。

PEファンドだからこその理由
その目標がPEファンドでしか実現できない理由を、論理的に。
PEファンド以外でも出来ません?という嫌みな突っ込みが入りがちです。

ストーリーが構築できたら、以下もセルフチェックしてください。

説得力
説得力あるストーリー構成を練りこめているか

強さ
強いコミットメントを感じさせられるか
(念のため、熱血系ということではありません)

時間軸
長期的なコミットメントにつながる内容か

3. 回答における留意事項


最後に、留意点を記載します。
これまでのキャリアや今後の展望を踏まえたオリジナルのストーリーをぜひ作ってみてください。即戦力レベルなどその他の評価点にもよりますが、前回同様に、加点要素の積み上げ|減点要素の排除はワンセットになります。


多くの候補者が使いまわしており、陳腐な印象を与えがちな回答

  • 投資銀行ではM&A完了までが仕事だが、PEファンドでは投資実行がスタート

  • コンサルは戦略提案までが仕事だが、PEファンドは戦略の実行が重要

  • 事業会社は事業領域を持つが、PEファンドは投資テーマが多様

PEファンドの役割を正確に理解していない印象を与えうる回答

  • 将来は経営者になりたい

  • 経営領域にキャリアの枠を広げたい

  • 〇〇では責任ある仕事に関与するために時間がかかる



参考書籍

新・事業承継とバイアウト―事例選― (日本企業のバイアウト)|中央経済
2023年12月
事業承継のため、主に日系PEファンドの事例がメインです。
半分程度はファンド宣伝ですが、業界外の方にとっては参考になります。

掲載事例の抜粋
 
インテグラル ー JRC
 CLSAキャピタルパートナーズ(現サンライズキャピタル) ー SBIC
 
アドバンテッジ・パートナーズ ー やる気スイッチグループ
 アドバンテッジ・パートナーズ ー ウォッチニアン
 キャスキャピタル ー デコルテ

カーライル流 日本企業の成長戦略|日本経済新聞出版
2019年4月

カーライルの日本共同代表の富岡さんの案件も多く、カーライル志望者は読んでおく必要あり。
ツバキ・ナカシマ、ソラスト、IPO時期をずらしたウイングアーク1stなど、シンボリックな案件紹介が多い。




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