伊藤徳裕

元新聞記者。映画文筆家。映画監督。映画を見るだけでなく撮ることもしています。出演者を随時募集中!

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最近の記事

「ウルトラQ」「ウルトラマン」を制覇するぞ!

いま日課としているのは、1960年代にTBS系で放映されていた「ウルトラQ」(全28話)と「ウルトラマン」(同39話)の全話制覇。安価な海外版のBlu-rayを買ってコツコツ見続け、現在「マン」の第31話「来たのは誰だ」(吸血植物ケロニア)まで来た。どうして制覇しようと思ったかというと、両作の紅一点、桜井浩子さんが6月に出版された「『ウルトラQ』『ウルトラマン』全67作撮影秘話: ヒロインの記憶」(アルテスパブリッシング刊)で各話について当時の裏話などを解説しているから。私は

    • 横溝正史原作「悪魔の手毬唄」 脚色の妙に感嘆

      先月読んだ「犬神家の一族」に続き、横溝正史の「悪魔の手毬唄」を読んでいる。市川崑監督が映画化した同名作品は、一連の市川崑✕石坂浩二の金田一耕助シリーズの中において叙情的で一番のお気に入り。岸恵子と若山富三郎がいいねえ。 この原作本も複雑な人間関係は映画を見ていて頭に入っているからかすんなり読める。これもまた映画化作品と違う点が散見され、大変興味深い。葡萄酒工場の葡萄酒が入った樽の中である女性が遺体で発見されるシーンは、原作ではただ床に転がっているだけだった、とか。映画ならで

      • フィギュアNHK杯銀メダルの千葉百音 某ディスコ映画に目をつけた抜群の選曲センス

        フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第4戦・NHK杯の最終日9日、女子は日本勢が1〜3位を独占した。私はSP(ショートプログラム)をテレビでチラリと見たのだが、銀メダルを獲得した千葉百音(モネ)選手の演技で流れた曲に驚いた。ドナ・サマーの「ラスト・ダンス」。映画「イッツ・フライデー」(1978年)の主題曲だ(https://youtu.be/55YCddMBlqA?si=6fPTywbgLdMCTaHL) 70年代のディスコブームに乗り作られた映画で、金曜の夜にデ

        • ワラ人形に五寸釘! カルト映画「愛の陽炎」は黒澤明監督のためのアイデアだった!

          映画評論家の春日太一氏が第55回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞した「鬼の筆 戦後最大の脚本家・橋本忍の栄光と挫折」(文藝春秋社)を読み終える。「七人の侍」「砂の器」「八甲田山」などの脚本を手掛けた橋本忍氏(1918〜2018年)の創作の秘密を、本人へのインタビューを中心に紐解いていく。1週間かけてじっくり読んだ。本人が高齢のせいか証言に眉唾なところがあり、当時の製作スタッフに裏取りをするなど著者の苦労が手に取るように分かる。それでも興味津々なエピソードが満載で、脚本執筆の心

          Netflix新作映画、ラテンアメリカ文学の傑作「ペドロ・パラモ」を見た

          先月の読書報告で絶賛したラテンアメリカ文学の傑作「ペドロ・パラモ」(フアン・ルルフォ著)がNetflixの新作映画として今日6日に配信されることを知ったのが、つい数日前。早速鑑賞。死者が日常生活に当たり前のように出てくる「マジックリアリズム」の小説で、ペドロ・パラモという名の父親を捜しに来た青年が死者の町に着くと…という話。 ペドロに関係する多くの人物が登場、70もの断片で描かれており、相関図を書きながら読んだのだが、その相関図が今回の鑑賞にも役立った。原作を読んでいない人

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          【試写】映画「ココでのはなし」 ゲストハウスという〝疑似家族〟

          今月8日公開の「ココでのはなし」(こささりょうま監督)を試写で拝見。都内のゲストハウス「ココ」を舞台に、運営スタッフとゲストたちとの交流を描いたヒューマンドラマ。てっきり今のインバウンドを背景にした多国籍なゲストたちとのお話と思っていたが、時代設定がコロナ禍中の東京五輪開催後とあってアニメ好きな中国人女性を除くとゲストは日本人の青年が2人だった。 オーナー(結城貴史)や住み込みのバイト(山本奈衣瑠)らも含めてそれぞれの悩みを胸に、ゲストハウスという〝疑似家族〟に癒やされてい

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          黒澤明作「生きる」に影響を与えたトルストイの名著を読んでみた

          黒澤明監督がインスピレーションを受けて「生きる」(1952年)を撮ったと言われるトルストイの名著「イワン・イリッチの死」を読む。100ページの薄い本で1日で読了。「生きる」では市役所勤務の真面目な男(志村喬)が胃がんになり、自分の人生を悔み、市民から陳情のあった公園建設に邁進する。 「イワン・イリッチ〜」も不治の病に侵された裁判官イワンが主人公。志村喬のように残りの人生を悔いなく生きるために大仕事をすると思いきや、次第に病状が悪化していきそのまま死んでしまうのが意外。この小

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          10月の読書報告 「異色作家短篇集」読破! ラテンアメリカ文学にも魅了

          10月も本日で終わり。この1カ月に読んだ書籍は計14冊。内訳は…「異色作家短篇集」5冊、評伝(三國連太郎、岩下志麻)2冊、ミステリー4冊、ビジネス1冊、ラテンアメリカ文学1冊、英米文学1冊。今年中に読破することを目標にしていた早川書房の「異色作家短篇集」全20巻を制覇した。満足。このシリーズのおかげで本当に多くの異色作家に出会うことができた。2024年における成果の一つだ。ここから枝が伸び、興味を持った作家の他の作品を読み始めている。密室ミステリーの代表作「黄色い部屋の謎」の

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          クラシック映画の宝庫・Amazonプライムビデオから「暗黒の恐怖」をチョイス

          Amazonプライム・ビデオではクラシック映画のラインアップが充実していて目移りしてしまう。今日はエリア・カザン監督の「暗黒の恐怖」(原題:Panic in the Streets、1950年)を拝見。ニューオーリンズで密入国者の射殺体から肺ペストが検出され、衛生局員(リチャード・ウィドマーク!)と刑事(ポール・ダグラス)が保菌者の犯人を48時間以内に捕まえようと悪戦苦闘する。犯人役は名作西部劇「シェーン」(1953年)などでも強烈な印象を残したジャック・パランスで、長身で運

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          スター・ウォーズ女優の絶妙な〝コミュ障〟演技 映画「時々、私は考える」

          7月公開で気になっていた米映画「時々、私は考える」(レイチェル・ランバート監督)を見る。港町で独り暮らしの女性フランは人付き合いが苦手で、会社の窓から見えるクレーンに吊られたりと〝死〟を妄想して楽しんでいる。新しく会社の同僚になった男性ロバートと親しくなるが…。 フランを演じたデイジー・リドリーは「スター・ウォーズ」シリーズでの快活さを封印し、コミュ障の女性を好演。港町の日常風景をスケッチした映画冒頭の映像で傑作の予感が。落ち着いた演出に好感を持った。好きな作品。

          スター・ウォーズ女優の絶妙な〝コミュ障〟演技 映画「時々、私は考える」

          アナ・ケンドリックという女優

          ハリウッド女優のアナ・ケンドリックが初監督を務めたNetflix映画「アイズ・オン・ユー」が配信になったので拝見。実在の連続殺人鬼ロドニー・アルカラを描いたサイコサスペンスで、主演のアナは1970年代に放送された恋愛テレビ番組「デートゲーム」に出演、デート相手にロドニーを選んでしまう駆け出しの女優シェリルを演じている。シリアルキラーなのにテレビ番組に出るとは信じがたい行動だが、これも実話だ。シェリルを軸に何件かの凶行も描かれる。最後が少々あっけないものの、堂々とした演出ではな

          アナ・ケンドリックという女優

          「欲求不満の女性」を演じる実力派俳優

          先日読了した「岩下志麻という人生 いつまでも輝く、妥協はしない」(立花珠樹著、共同通信社)にあった自選10本の中の1本、「婉(えん)という女」(1971年)を見る。江戸時代、岩下演じる婉が4歳のとき、土佐藩の家老だった父親・野中兼山の政敵の憎しみを買い、母親や乳母、男兄弟や姉妹の計7人とともに外界との接触を絶たれた幽閉生活を送ることになる。病気などで男兄弟4人全員が死に野中家が根絶やしになると、残った女性陣が解放される。婉は44歳になっていた…。 大原富枝の同名小説の映画化

          「欲求不満の女性」を演じる実力派俳優

          Amazonが舞台の映画

          時間潰しのため、評判がいい「ラストマイル」(塚原あゆ子監督)を見る。公開から2カ月経っているが興行成績がいいらしい。TBS系の複数の人気ドラマが本筋と絡み合う「シェアード・ユニバース・ムービー」と呼んでいるようだが、私はどのドラマも見たことがない。やたらと出てくるキャストが豪華なので単純に楽しんだ。 明らかに「Amazon」をモデルにした大手ネット通販会社が舞台で、配達される商品に爆弾が仕掛けられていてパニックになる。ネット通販会社を取り上げたのは塚原監督のアイデアだそうだ

          Amazonが舞台の映画

          西田敏行さん「最近役者の仕事が面白くなってきた」

          元映画記者の経験を生かして日々感じたことを綴っていきます。よろしく。 西田敏行氏が亡くなった。享年76。昨日見た岩下志麻主演の「はなれ瞽女おりん」では、盲目のおりん(岩下)に夜這いする男を演じていた。先日読んだ三國連太郎さんの本にも出てきたし、最近「西田敏行」という俳優がちょくちょく周りに出没していた矢先のことだった。 2009年9月に主演映画「火天の城」(田中光敏監督)公開に合わせてTBS内でお話を聞いた。「最近また俳優という仕事が面白くなってきた」のは2003年に心筋

          西田敏行さん「最近役者の仕事が面白くなってきた」