見出し画像

都会からたった15分の個性的な町

シュトゥットガルト中央駅から15分、電車に乗るとエスリンゲン(アム・ネッカー)に到着します。エスリンゲン駅に着いた時には今にも泣き出しそうな雲行きでしたが、この季節にしては温かく、おそらく11℃くらいあったのだと思います。

小さな町だということは知っていたので、中央駅通りを進むとやがて塔が見えてきます。ネッカー川の支流がある橋を渡ると、木組みの家々と双塔の福音教会が見えてきます。その風景はストラスブールのプティット・フランスにも似て素敵な眺めです。

その福音教会前がマルクト広場。小さな町には不似合いなほど屋台が並び、プロペラか゚ついたピラミッドもある、立派なクリスマスマーケットです。その広場は4階建て5階建ての木組みのカラフルな家々に囲まれ、シュトゥットガルトとは異なる小都市の良さを醸していました。

さらに奥に進むと旧市庁舎前広場、そしてその奥にはハーフェン広場がありますが、ここはマルクト広場とはまた異なる味付けがあります。旧市庁舎広場の入口には、「中世の市場」という横断幕が張られています。

屋台のそれぞれの店では、現代的な服装ではなく、中世の服装をした店員たちがいます。ボタンのない上からかぶるようなシャツや、長いスカート、帽子を粋にかぶった男女の店員たち。ブラットヴルスト(焼きソーセージ)を買うと、5ターラーという返事でした。

ターラーというのは欧州で16世紀以来使われていた銀貨なので、「中世」なのかどうかは議論が残りますが、ユーロをそう言い換えています。また、メニューなどに使われている文字は、フラクトゥールという書体。ひげ文字とか、亀甲文字とかとも呼ばれる、昔の印刷本などに使われていたあの書体です。ですから、とても読みにくく、特に大文字は飾りが多くてよく読めません。

そこには他のクリスマスマーケットにはない、弓矢による射的ゲーム、小さなステージで行われる大道芸、ギターではない10弦か12弦の楽器を弾く流しの芸人、大きなフイゴで火を熾す金物工、どういうわけか銭湯まであります。

12世紀に帝国自由都市としての権利を神聖ローマ帝国から獲得し、19世紀初頭まで独立していたというエスリンゲン。町の背後のブドウ畑の斜面の上には、かつて城塞だった名残の城壁が見られます。

グリューワインを飲みながら絵はがきを書いていると、次第に空が明るくなりました。あっという間に晴れわたり青空か゚見えました。写真はその時のマルクト広場からの青空です。

シュトゥットガルトからローカル電車の「Sバーン」でたった15分、都会の洗練されたクリスマスマーケットとは異なる、手触り感のあるマーケットを楽しめました.。もちろん、この季節でなくても、木組みの家々に囲まれる広場で佇むだけでも、気持ちの良い休日か゚過ごせると思います。

いいなと思ったら応援しよう!