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ビールにこんな飲み方があったのか

あれれ、こんな泡だらけのビール、注ぎ方まちがっていないですか、と思うような真っ白に泡立つビール。プルゼニの老舗ビール醸造所ウルケルが、プラハの一等地に開設したビール体験企業ミュージアムです。

まずは何のサイトで予約したのだっけ、とウルケルの売店前で悩むこと暫し。予約時刻の12時まであと20分だというのに、入口と想像される売店が開きません。Booking.comだったと思い出し、予約画面から問い合わせしようとしても繋がらず、呆然していました。

隣のビアハウスか゚開店か、と思ったら、そこがミュージアムの入口でした。しかも12時というのは初回だったようで、私たちはその日初めての体験訪問客だったとわかります。日本語のオーディオガイド付きと書かれていたので、美術館のような普通のオーディオガイドかと思うとさにあらず、でした。

オーディオガイドはヘッドフォンの形をしており、そのヘッドフォンを言語別のボタンに触れると、耳の部分のLEDが白色に変わります。他の言語が何色かは忘れましたが、例えば緑はドイツ語、ピンクはチェコ語というふうに、訪問客が何語で聴いているのかが目で見てわかります。

シュメールの時代から歴史を紐解き、ボヘミアの聖ヴァーツラフの制度改革などを経て、ボヘミア地方のビールが洗練されていきます。しかしその経緯の中で、劣悪なビールを製造する業者が出たりすることで、ビール製造に混乱が生じます。

うまくできないビールは、味も当然良くなく、腐敗が早かったりハエがたかるようなビールもあったりしたとか。ドイツなどでよく見るフタ付きビールジョッキは、この時代にハエがたかるのを避けるために作られた、など興味深い逸話が盛り込まれます。

1842年にビール醸造業者たちがプルゼニで粗悪なビールを樽ごと捨て、その樽を燃やしてしまったという話です。この辺り、どこまで話が修飾されているのか分かりませんが、この年がこの企業ピルスナー・ウルケル(元祖ピルスナー)の創業の時なのだそうです。

プルゼニ。つまりピルゼンのビール、ピルスナーは淡い金色の下面発酵ビール、現在の日本では主流のビールの元祖がこのウルケル。下面発酵ビールは別名ラガービールとも呼ばれますので、耳に馴染みがありますね。

上面発酵ビールには、ペールエール、スタウト、アルト、ヴァイツェンなどがあるとのことで、どちらかと言えば重みがあるビールが多いようです。これらのビールはちょっと濁っていたりして、ピルスナーの透明な黄金色とは味わいもそれぞれに違います。一方、ピルスナーに代表されるラガーは切れ味か゚すっきりしたビールになるそうです。

この企業ミュージアム、パビリオンと言ってもいいですが、歴史を学んだ後に試飲があります。少し苦味がきついピルスナーは、おそらく飲み慣れると止められないおいしさだろうと思いながら、100mlほどを試飲。プハー、となります。

さらにプラハの人気スポーツ、アイスホッケーのナショナルチーム・スポンサーであることのPRも忘れません。大画面のプロジェクターを使ったホッケーゲームで客を楽しませます。

少し驚いたのは、10か国語(12か国語だったかも知れません)のオーディオガイド、日本語のものしか聞いていませんか、結構凝っているのです。部分的にはラジオドラマのように、複数の話者が演じて日本語もとても自然。さらに驚きは、他の言語のオーディオガイドも全く同じタイミングで話されているようです。つまり「尺」を合わせている。これはかなりクリエイティブ。

そしてそのオーディオガイドを返却すると、2枚のコインが渡されます。上階の専用ビアボールスペースで、さらに試飲ができるコインです。ガイドの劇中でも説明がありましたが、ここでは3種類のサーブがあります。

ビールの泡の割合が、2割、5割、9割。それぞれフラディンカ、スナイト、ムリコと呼ぶそうです。たぶん。チェコ語なので私の読み方は、正確な発音ではありません。その9割のムリコが(ミルク、のこと)、この写真。

泡が消える前に泡の甘みを感じながら飲め、ということだそうです。確かに普通のビールをこんな泡だらけにすると苦味だけが先走って飲みにくいのですが、この飲み方は泡を楽しむ飲み方だと知りました。でもたぶんこの本場だけで飲めるのだと思ったので、連れ合いが飲まないコイン1枚も加えて、コイン3枚すべてを、ムリコで飲みました。

プハー。

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