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見上げるばかり

ゴシック様式の建築として世界最大だそうです。高さ157m、それがケルン中央駅の真ん前にそびえ立っています。日本で言えば、京都駅の駅前に法隆寺の五重塔が建っているイメージでしょうか。少し違うようです。 

現在の大聖堂は3代目とかで、その3代目でさえ、1248年に基礎が打たれてから完成したのが1880年と、600年以上もかけて造られたものだそうです。宗教改革の時代には財政難で工事がストップシたことも、建設に時間がかかった原因のようです。

外から見上げても、内に入って見上げてみても、人間がこのような繊細で巨大な建造物を、持続する意思をもって何百年もかけて完成させる事ができる、その力強さを感じます。現代の技術では何でもできるのかも知れませんが、意思を600年続けるのはとても困難なこと。

そう、一世代か30年だとすると、20世代の人々がそれを引き継がなければ、この大聖堂は完成しませんでした。古くは帝政ローマ時代の軍団基地に由来し、中世から近世にかけては選帝侯の一人としてケルン大司教が権力を奮ったケルン。

何度も何度も空を見上げ、夕刻を告げる長い鐘の音に耳を傾け、身廊からは天井のヴォールト屋窓のステンドグラスを見上げる。見上げることから来る、荘厳さや圧倒的な存在感を、かつての人々も感じ続けて完成を祈ったのだと思います。


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