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ヤギさんとコーヒー
ヤギさんからお手紙が届いた。それは、それは小さな招待状であった。虫眼鏡が必要かと思ったが、なんとか読めた。
「コーヒー淹れます」
ただ、それだけだった。でも、私の足は既にヤギさんの秘密基地へと向かっていた。木のアーチを潜ると、そこにはヤギさんがエプロンを着て待っていてくれた。
「エチオピアでいいですか?」
ヤギさんはニコッとしながら、私に尋ねた。彼の故郷であるエチオピアの豆を頂けるなんて!私はすかさず首を縦に振った。
いつの間にかポップコーンに、お香に、パンがカウンターの上に並べられていた。どうやら、コーヒーセレモニーの始まりのようだ。
そう、実はエチオピアの昔話しでヤギがコーヒー豆を食べて踊っていたのを誰かが見つけて、人も食べるようになったという。
そして、エチオピアではコーヒーセレモニーが人を持て成す際に行われるのだ。
私は第二の故郷であるエチオピアを思いながら、今日もヤギさんにコーヒーを淹れてもらう。もちろんゴートミルクを添えて。
※私の中でヤギさんとコーヒーは永遠の創作テーマにしたい。