十三杯目「赤いアップライトピアノ」
珈琲を飲むと、昔からどうしてか木を想う。
霧立つ朝の青藍の森林、神社の一角に聳える幽けき御神木、ノルウェー製の家具の柔らかなチーク材、古民家を貫く通奏低音のような赤松の梁。
今は、アップライトピアノ。
どこかの古いホテルのロビーに置かれていた。
あの赤は、臙脂は、何の木だったのだろう?
その音色を僕は知らない。
毎週末の朝、珈琲を飲んで浮かんだ散文をお届けします。
優しい朝を迎えましょう。
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(四月一)
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君は友の、澄み切った空気であり、孤独であり、パンであり、薬であるか。みずからを縛る鎖を解くことができなくても、友を解き放つことができる者は少なくない