思い込みに気付くには
ある2代目社長は、社員に「前の社長は・・」と言われるたびに心穏やかではありませんでした。
そのたびに社員に厳しい言葉を発していたのです。
社長自身は「なぜ、いつもこうなってしまうのか?」と悩んでいました。
コンサルの中で社長からこの話を聞き、時間を取ってヒアリングをさせてもらいました。
社長は「初代とは違うんだ、自分は自分のやり方がある、いちいち先代社長と比べられるとカチンときてしまう」と言っていました。
社員から「前の社長は・・・」こう言われると、経験が少ない自分が先代社長より能力が劣るように感じて、機嫌が悪くなっていたのです。
ヒアリングを重ねていくと、その根底には馬鹿にされたくないという想いがありました。
さらに、2代目として会社の舵を取ることの不安、会社を潰してはいけないというプレッシャーが2代目社長にのしかかっていたのです。
先代社長である父親が一代で会社を築いたことへの尊敬の念もあり、父親を超えたいという想いもありました。
そして、仕事が忙しかった父親にかまってもらえなかった淋しさも見つかったのです。
ヒアリングをしたことで、2代目社長は、自分の心の底にあった想いや思い込みがわかったことで、「前の社長は・・・」と言われてもカチンとくることはなくなりました。
思い込みはその原因が変わるだけで、すっきりするものです。
社員にもヒアリングしてみると「前の社長は・・」と言ってしまうのには他意はありませんでした。
良い悪いとかではなく、先代のワンマン経営に対して、2代目社長は自分たちの意見を聞いてくれているので、単に違いを比較していただけだったのです。
社員は先代よりも、仕事はやりやすくなったと言っていました。
自分がイライラしてしまったりするのは、勝手な思い込みや相手に対する偏見であることも多いのです。
自分の良し悪しの判断基準が、多くの人にとって違っていることはよくあります。
個々人で思い込みが違ってくるのは、それぞれの人生経験の中で知らず知らずのうちに無意識として形成されて来たからです。
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他人の性格に対する評価も思い込みの一つです。
あの人は「大人しいから」と評価をしてしまうと、その思い込みで人を判断してしまいます。
大人しいと判断した理由は、自分の過去の経験から発想したものです。
ほんの一面からの判断で、人の性格を決めつけてしまってはいけません。
別の面から見てみれば、積極性もあって、性格の判断も変わってくるのです。
思い込みは、人間関係を悪くしたり、仕事上でトラブルを招くこともあります。
思い込みを探るためには、ただただ素直に話を聞いてあげる(ヒアリング)ことです。
ところが、話を聞くことは簡単なことではありません。
つい、聞き手の思いや価値観を入れたり、きっとこう考えているだろうなどと考えて答えを誘導していることが非常に多いのです。
これでは、本音を引き出すことはできません。
思い込みや本音を探る聞くためには、
①聞き手が、言っていることを批判しないこと、
②聞き手が、良し悪しを判断しないこと、
③聞き手が、きっとこう言うだろうと決めつけないこと
④聞き手が、態度や表情に自分の感情を出さないこと
聞く技術は学校でも教えられていません。会社でも教えているのは少数だと思います。
聞く技術を学べば、人間関係を改善でき、安全安心な職場づくりができ、仕事でも成果が上がります。
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