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バッテリィズの漫才を見る前の自分に戻りたい
「2年連続でトップバッターになってお客さんも『おぉ!』ってるなか、全員が安心して漫才を観れる空気感に一気に持っていけるっていうのが、えげつないなっと思って」
令和ロマンの漫才後のかまいたち山内の、あのときM-1を観ていた日本全国民の総意と言えるようなコメント。そんな令和ロマンの圧巻の漫才から始まった今年のM -1グランプリ。
今日は全くⅯ-1に関係ないnoteを投稿するつもりだったけど、書かずにはいれない大会だったので、急遽予定を変更することにした。ほんとおもしろかった。
いつもわたしは当日までに、ファイナリストの予選を観て自分なりの順位を決める。今回は真空ジェシカ→令和ロマン→バッテリィズだった。だが、敗者復活で観たマユリカの「チャキ姉」のネタがバッテリィズを上回ったこともあり、最終的な3連単予想を1位・令和ロマン、2位・真空ジェシカ、3位・敗者復活(マユリカ)とした。
わたしとしてはファイナリスト3組の予選のネタが好きだったので、そのあたりの感想を書きたいと思う。
やっぱり王者、令和ロマン
先週、わたしは自分のnoteで令和ロマンについてちょっと語っていたのだけど、その中でくるまのあるエピソードを紹介した。
▼うれしいことに「今日の注目記事」に選んでいただきました!
それは、くるまは昨年のМ-1優勝から数々のタイトルを総なめにしているにもかかわらず、自分を卑下する考え方が抜けなかったそうだが、あることをきっかけに吹っ切れたらしい。
下からせりあがってくるときのマレフィセントを彷彿とさせるようなヒール感を出せたのも、マイクに立った瞬間の「終わらせましょう」の一言も、そんな今のくるまだからこそ言えた言葉だろうなと思った。
Ⅿ-1後のテレビ出演で本人も言っているけど、予選の名字のネタは彼らのラジオ番組で話していたもので、わたしも聞いたことがあった。散歩しながら聞いていたのだけど、外にいるのに思わず声を出して笑ったことを覚えている。あれを漫才に昇華したのか、すごいなと思った。
正直、わたしとしては新鮮味がなかったもののやっぱり笑ったし、「ほけんだより」のくだりとか、たまらなかった。観ているときから「今これ、わたしらすごいもの観せられるよな?」というワクワク感が止まらなかった。
まだ一組目だったにもかかわらず、誰もが彼らのファイナル進出を確信したように思う。
時代が追いついた、真空ジェシカ
わたし個人としては、彼らは毎年おもしろいと思ってはいたものの、2人の独特の声色と、特に川北の顔周りの毛量の多さにいつも若干の不気味を感じていて、ちょっと怖かった。(わたし何歳や。笑)
しかし、今回は予選のネタを観て一番おもしろいと感じていたのが真空ジェシカ。というわけで、今年は怖さよりも「ファイナルに行ってもらって、2本目のネタが観たい」という気持ちが勝っていた。
個人的には令和ロマンのネタよりも笑った。特に川北の「今一番大事なのは(街ブラロケじゃなくて)子育て支援だろ」っていうツッコミがやばかった。わたしにとっては不気味さの象徴となっている川北がめっちゃいいことを言ってるギャップがおもしろすぎた。
彼らのネタ後に、Ⅿ-1を観ながらラインをしていた友達から一言「時代が追いついたな」と送られてきた。うん、わたしもやっと真空ジェシカに追いつけた。
ここまでで順当にわたしの応援していた2組が1、2位となり次はマユリカ。しかし彼らは惜しくもすぐに予選敗退が決まった。残念ではあったが、やっぱり阪本は爪痕を残して帰ってくれた。
「これ大急ぎで負けに来たんですか?」
あっぱれ。
個人的には、このあとマユリカを超えて笑かしてくれるコンビがいるのかな……というマインドになりかけていたころに現れたのが
やってくれたぜ、バッテリィズ
「おれ、悩みなんかない。寝たら忘れる」
「(アホでも)いや 毎日楽しく生きてるで」
あっけらかんと放たれた一言。吸引力がすごかった。この人はわたしと全く逆の世界を生きている人だと、めっちゃ興味を持った。
「全部聞き取れたけどぉ」
(わからんかったよな?わたしも思った。笑)
「食べたいときに食べろぉ」
「生きるのに意味なんていらんねん」
思ったことをすぐに素直に言っちゃう。めっちゃ笑かしてくれるけど、実はめちゃくちゃ大事なメッセージだったりして。
そしてやっぱりあのパワーワード
「細そーすぎる」
あの漫才を見終わったあとからずっと、わたしも「細そーすぎる」が使いたくて、身の回りの「細そーすぎる」ワードを探している。ウズウズしてる。
この日一番笑った。
このバッテリィズの漫才を観る前の自分に戻りたいって思った。
審査員の点数が出て、ぴょんぴょん飛び跳ねて喜ぶエース。ドッジボールで相手のコートの人を全員当て終わったあとの小学生男子みたいな喜び方やん。それがまたジワジワきた。
「ワクワクするバカが現れた」
この若林の一言も大好きだ。
冒頭の山内の言葉にしろ、審査員が全員、視聴者がうまく言葉にはできないけど心の中でなんとなく抱いていた感情を的確にすぐ表現されていて、圧巻だった。やっぱりすごいなと思った。
ファイナル3組がネタが終わり、令和ロマンが優勝した。2人とも「本当にうれしい」と言っていたけど、本当に昨年よりも喜んでるように見えたし、このときのくるまがとても人間らしく見えた。
見終わってからしばらく、わたしは前回のサッカーのワールドカップで、日本がスペインとドイツを破ったあときのように、気持ちがだいぶ高揚してしまった。国内の漫才の大会なのに、全然眠れなかった。
M-1終了後の有働Timesで、くるまがこの一年についていろいろ語っていた。優勝したからこそ観客が温かくなり逆に厳しい環境で漫才をすることが厳しくなった一方で、「またM-1出るの?」という否定的な視線も感じることがあったことなど。でももう、今大会の彼らの漫才を観て文句を言える人はいないんじゃないかなと思う。封じ込めたって感じがする。かっこいい。
2年連続トップバッターで2連覇という偉業を成し遂げあたとに、ここまで理路整然と冷静に対応できているくるまに「さすがだな」と感心しつつ、わたしの頭の中でずっと再生されていたのは「細そーすぎる」だったし、もしここにバッテリィズのエースがいたら「ほんまにやばいです」しか答えれてないやろうなって考えている自分がいた。
わたしは完全にバッテリィズに持っていかれていた。いや、たぶん私だけじゃないと思う。彼らは優勝しなかったけど、たぶんこれからテレビでたくさん観れるだろうからうれしい。
真空ジェシカの2本目も今大会では観られたから満足だ。わたしが真空ジェシカに追いつけたから、YouTubeでこれからは動画を観たいと思う。マルコポロリも見たくなっている。
20回目という節目を飾る素晴らしい大会だった。本当に楽しい最高のエンタメだった。
で、締めようとしたが気づいただろうか。
ここまでわたしはまったくケムリには触れていない。
実はわたし、ケムリに一番グッときていた。
リアルタイムでは令和ロマンがせりあがってくるとき、両手を広げていたくるまにしか目に行っていなかったのだが、見返したら、このときのケムリの顔が
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見たことないくらいの本気の顔をしていた。
でも、マイクの前に立つときにはいつもの穏やかフェイスに戻っているではないか!!
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やばっ。かっこええすぎる。
「おれたちがチャンピョンだ!」
いつもは大口叩かないケムリがカメラに指をさしながら言った最後の一言に一番震えたわたしだった。
▼昨日書いたnote
※今回芸人のみなさんのお名前の後ろの敬称を省略しています。(喋って言えるように書きたかったのと、文章のリズムを気にして。)ご了承ください。
芸人のみなさま、ほんまに楽しかったです!ありがとうございました!