あーだこーだ指導する前に
娘は共感覚のようなものを持っているようで時に面白い事を言います。そのような感覚をよく口にするようになったのは中学生になってからです。数字や文字に独特の色を感じたり(実際にそう見えているわけではなくイメージだそう)形を感じたりするそうです。
数学はそんなに嫌いではない、と言う娘ですが、ケアレスミスがいつも半端ないんです。難しい問題を間違うならまだしも、単純な計算を間違うのはダメ!と口を酸っぱくして小学生の頃から言っていたのですが一向になおらない、どんだけ不注意なんだ?と思っていたのですが、昨日娘がこんな事を言ったんです。
「a と4って雰囲気似てて困るんだよね。だから、4て書いてるつもりがa って書いちゃったり、a て書いたつもりが4って書いちゃうんだよね。4×a÷5 とか凄い混乱する〜。」
え!!?
そんなに独自な法則で情報が繋がりあってるの!?と驚きを隠せませんでした。彼女の頭の中は本当に色んな事柄が彼女の法則でカテゴライズされており、特にそういう法則のない人から見ると全く意味不明な間違いをおかしてしまうと言うことなのでしょう。小さい頃はその自分の感覚を言葉にすることも出来ず、ただ「なんで間違っちゃうんだろう…」とガッカリするばかりだったでしょう。ママには怒られるし…。私は良かれと思って注意してたんですけど、頭の中がこんなに不思議な構造をしているのなら全く違ったアプローチがあったのでは?と申し訳なく思います。変なアドバイスをするより、彼女が彼女の法則にのっとりながらミスを減らす作業を構築していくのをジッと見守る方がよっぽど良かったでしょう。
娘のような感覚とは違いますが、何故か「英語のスペルを間違え続ける」という生徒さんがいます。理解力、記憶力も良いのにスペルは覚えられない。もともと文字の認識がしにくいディスレクシアでもないのにスペルは間違えるのです。普通10個くらいの単語のスペルテストをすると、回数を重ねるごとに間違いが減っていって最後には全問正解に至るものですが、その子は常に二三問間違えるんです。頭が良いのにです。さっきあってた所を次は間違える、の繰り返しなので全問正解に至らない。私はずっと、途中で集中が切れるんだろうな、と思っていたのですが、つい先日その子がポロっと「自分がこう!って思ったらそれと違うように書くようにしてる。」と言ったんです。
え!!!?
まさか頭の中でそんな事が行われていたとは!余りにも間違えるので、途中から自分が信用出来なくなり、覚えたはずの単語も「イヤ!これであってるはずがない!」と違うスペルをわざわざ書いていたというのです。方向音痴の人が右だと思ったら左に行く。みたいなもんですね。なんとまあ。これまで「何回も書いてたら覚えるからね。集中してね。」とか言ってた私のアドバイスでは全問正解に至らないはずだ!その前に、「自分を信じれば大丈夫!」と何度も伝え、少しずつ成功体験をさせてあげて自信をもたせてあげなくてはならなかったんですから。大きくなったら集中力も増して自然に間違いが減るだろうという私の思惑は全く的外れだったわけです。
いやはや。
他の人の頭の中は本当に摩訶不思議ですね。自分のモノサシで測る前に、もしや、自分では考えつかないような事が頭をよぎっているのかも?と考えてみるって大切。あーだこーだ指導するよりずっとずっと大切だな。と思いました。