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ひだまりカフェ#motohiroとカフェ
「ねぇねぇ、motohiroさん」
ひだまりカフェで黒猫さんが話しかけてきた。
「黒猫さん、どうしたの?」
motohiroさんは、お皿を拭きながらその手を止めた。
「さっきね、お店の前のポストに珍しくお手紙届いてたんだけど‥」
黒猫さんが1通のお手紙をmotohiroさんに渡す。
「めずらしいね、どれどれ」
お手紙を開くと中にはこんな風に書かれていた。
黒猫さんが読み上げる。
「ひだまりカフェ様」
「カフェのメニューを考えてみました。」
お手紙の中にはイラストが添えてある。
「コクシネルというケーキはご存知ですか。フランス語でてんとう虫の意味で、てんとう虫のケーキです。てんとう虫は幸せを運ぶ、象徴です。」
「ふむふむ」
黒猫さんとmotohiroさんは顔を見合わせる。
「以前、motohiroさんが書いてくれた、あおい夢を見たいてんとう虫の詩にちなんで、青いてんとう虫のケーキなんてどうでしょうか。
バタフライピーという体にいい天然の色素でお花の青で色をつけます。ソースの味はソーダ味です。中はレアチーズケーキです。幸福の青い鳥と、幸せを運ぶてんとう虫にちなんで、食べた人にたくさんの幸福がふりそそぐように‥という願いを込めたケーキです。」
「わたし、青いケーキなんて食欲わかないわ。」
黒猫さんがツンとして言う。
「ははは、黒猫さん。まぁ、そう言わず、せっかくのお客さんの提案なんだし作ってみようよ。」
2人が試行錯誤して作ると、丸くてかわいい綺麗なケーキが出来た。チョコレートの斑点模様がてんとう虫みたいだ。黒猫さんが、ホワイトチョコのペンで色んなてんとう虫の顔を描いて、ケーキの上にミントを添える。
一口、勇気をだして食べてみると‥
「わぁ、おいしい!」
黒猫さんは笑顔になった。
「勇気をだして一口食べた人が得られる幸福ね。」
「そんなことないよ、意外といける。」
パクパクと食べるmotohiroさんを横目に、黒猫さんはテーブルに手紙を置いて窓の外を見つめた。
「motohiroさん、ひだまりカフェもだいぶ知られてきたし、十五夜の夜、みんなでお月見パーティーしない?」
「え?パーティ、いいね?」
「わたしがお月見団子のセットつくるわ。きなこ、あんこ、みたらし、ごま味、お好みでなんでもつけられるの。でも甘いもの苦手な人ように、焼きおにぎりとおしんこセットも作るわ!」
黒猫さんは張り切った顔をした。
「味が選べるのはいいね。」
motohiroさんは頷く。
開け放った窓の向こうで、ぼんやりと秋の月がひだまりカフェを包み込んでいた。
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