麗らかな道
「京都の町屋ステイしようよ」
ある日母が言った。
三姉妹の母は、自分の姉と妹家族と旅行する予定を練っていた。
久しぶりに会える従姉妹もいて楽しそう。
私も参加することにした。
町屋につくとそれぞれが荷物をおろし、たわいもない会話や、思い思いの時間を過ごす。
お座敷でお茶を飲むひと時、ここでの暮らしを想像する。大切に使われ続けている家具にも、魂が込められているような気がした。
坪庭を眺め、縁側でゴロンとする。
夜は碁盤の目を母と歩いた。
祖母が倒れてから、みんなでこうしてゆったりと集まる機会はなかったね、と漏らす。
いつもは関西に住む従姉妹たちが、弾丸で祖母のいる東京に会いに来てくれ、またすぐに戻っていくのだ。
夜は、みんなで畳に布団を敷いて雑魚寝した。
なんだか懐かしく、幼い日に戻ったみたいだ。
翌朝、雲間から麗らかな光と雨粒が降り注いだ。
私達が歩きだす花町の道を、和傘を差した色鮮やかな舞妓さんが通りすぎていった。
いいなと思ったら応援しよう!
☆*KOKAGEの拙い文章にサポートしてくださる方へ*☆
いつもありがとうございます*
文章はまだまだですが、日々の日記が少しでも何かのあなたの発見につながれば幸いです。文章であなたに出会えたことに感謝いたします。