マナミとナースの仕事

4月からナースとしてお仕事、頑張るぞ〜とヤル気に溢れていたそんな時期もありました…
私のプリセプ(教えてくれる担当の人)は優しく教えてくれる人やった
『それじゃ採血の練習してみよか』
学生時代や研修とかで擬似腕に針を刺した事はあるが実際に人に刺すのは初めてだ
緊張で思わず指が震えてしまう
『緊張せんでええで、僕の腕やから失敗しても大丈夫や』
実験台になってくれてる人がそう言ってくれるがまあそう簡単に緊張は解けない訳で…
『アレ?血が出てこない』
『血管に入ってないな、ちょっと皮膚手前まで引いてもう一回行ってみ』
『あ、血出てきましたよ』
『オッケー、血管に入ったわそのままゆっくりシリンジ引いてごらん』
『おおーすごい、採血出来てる!』
『初めてでそんだけスムーズに出来たら大したもんやわ』
『ホンマですか、ありがとうございます♪』
思えば注射が唯一得意になったのもこの最初の成功体験が大きかったのかもしれない

二週間ほどして初めての褥瘡の処置…
予習復習はしてきたし手順は頭の中にはいってる…
つもりだったがいざ患者を目の前にするとあがってしまう
ついウッカリ今はまだ使わない鑷子(せっし)を手に取った、違う違う…と思い元の所になおすはずが間違ってカートの上に乗せてしまった
コレは間違いでカートの上は不潔区域になるので乗せた時点でこの鑷子は使えない、けど慌てた私はその鑷子を隣に避けとこうと再び手に取った
『今アンタ何した!』
突然怒声が響く…師長だ…今日は師長も見ていた
『それ今使おうとしたやろ!清潔と不潔の違いもわからんのか!』
『いえ、隣に避けとこうと…』
『言い訳も甚だしい!それを使おうとしとったんやろ、嘘つくな!』
『すみません…』
この人は一度決めつけたら死んでも譲らない人だ、それは分かっている…だからそう答えるしかなかった
『こんな簡単な事も分からんなんてアンタ看護師向いてないねん!』
そう言い残し去っていった
看護師に向いていない…実は私自身学生時代に実習に行っていた頃から薄々感じていた事だ…なんとなく自分にはハードルが高いんだろうとは思っていたけどそれでも頑張ろうと必死で努力した
『なんか、ごめんな…』
患者さんに気を使わせてしまった…
『今日は僕がやるから手順だけ見てまた今度やろう…な』
『はい…』
看護師に向いていないの一言が効いていたのか私の目からは涙が溢れていた

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