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【1単語エッセイ】落書き

Google Photoが不定期で
「○年前の思い出」を突き出してくる。

その殆どが、今は続いていない関係の甘く切ない思い出であり、その度に心が静かに涙を流すのだが
今日、画面上にポンっと出てきた思い出は
高校時代に描いた落書きだった。

机の上に描いたドナルドダック

大嫌いだった高校生活

わたしは高校生活が大嫌いだった。

高校時代を思い出して「あの頃に戻りたい」など一度も思ったことがないし
中学や大学の方がずっと好きだった。

中学生の頃、いわゆる"優等生"だった私は
人生におけるキャリアハイがここだったと言っても過言ではない。
その調子で上から数えて5本の指に入る進学校へ進学し、順風満帆……と言いたいところだが。

上には上が大量にいる。
しかも、勉強が格段に難しくなった。
努力もせず要領良く生きてきたツケがここで火を吹いた。

中学時代は通知表がオール5だった私がまさか赤点を取るなど思ってもいなかった。
特に数学は苦手すぎてアレルギー反応を起こし
開き直って授業中に寝ていたら棒で叩かれた。

なぜこんなに辛い思いをするために、
約1時間もかけて登校するのか意味がわからなかった。
どんどん遅刻も増えた。

それでも通い続けた理由

嫌いな高校に意地でも通い続けて卒業したのには、いくつか理由がある。

まず、部活。
全国大会に出場するレベルの強豪部活(音楽系)で、かなり責任ある立場を担っていたので、不登校になるわけにはいかなかった。
ここでは詳しく書かないが、いつか当時の話もしてみたい。

お陰様で「部活に精を出す」という大義名分ができてしまい、当時同じクラスで仲が良く今でも連絡を取っている人は1人もいない。

あと、大好きな国語の先生と世界史の先生に会いたかった。

今でこそ英語が〜とほざいているものの、高校英語はからっきしできなかった。
たぶん、私の脳は詰め込み教育に向いていなくて、友人とは楽しく話せるのにペーパーテストだと急にやる気がなくなる。
英単語などまともに覚えられた試しがない。

その代わり、国語(現代文)と世界史が大好きで、この二つだけは常にテストで上位にいた。
先生のことも大好きで、私立文系を孤独に受験する私へ親身になって色々と教えてくれた。
大学に受かった報告をした時はとても喜んでくれたっけ。

心の友達だった落書き

大嫌いな授業は当然聞くわけがなく、
一生懸命本を読むか、お絵描きをしていた。

ほんの出来心で机に描いてしまった、わたしの推し、ドナルドダック。
耐え難い授業の間も、このアヒルが微笑んでくれるから何とかなった。
少しずつ描き出しながら、気づくとそこそこ高いクオリティで仕上がってしまった。

席替えの時、泣くなく消そうとしたら
「かわいいからそのまま残しておきなよ」って言ってくれた級友がいた。
いろんな想いが詰まったこの絵と、私の複雑な心情に唯一理解を示してくれた人だった。
今は連絡取ってないけど、彼女は芸術系の最高峰に進学した。芯のある素敵な人だった。

あんまり高校時代のことは覚えていないけど、この絵のことは覚えてる。
約10年も経ってしまったよ。
少し懐かしくなった、まるで春のような冬の日でした。

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