どうしたものか、私は酒を浴びるほど飲んでいた。この無言空間が嫌で、酒に手が伸びる伸びる。気がついたら誰よりも先に自分が酔っていて、みんなが盛り上がり始めた時に私は脱落した。 痒いのにどこが痒いのか分からない。腹かと思いかいてみるとしっくり来ない。手当り次第体をかくと、最終的に耳に辿り着いた。いつもそんな感じ。 夕暮れに隠れた光と紫の雲が私に天を仰がせる みんなと違うことが私には無かった。いつも多数派の一味で面白みのない子だった。そんな私が簡単に変わるわけでもなくIT会社
「ジュースを飲んだら、おうちに帰ろう」 莉子は小さな口の隙間からストローをくわえて、りんごジュースを飲んでいる。まだ帰りたくないのかいつものように勢いよく飲まない。子どもながらの小さな反発なんだろうか。その日は天気が良く、ここ最近で一番の快晴だった。 木の多いこの公園は“みどり公園”といい、莉子が産まれる三年ほど前に出来た。ブランコにすべり台、まだ手の届かない鉄棒もあった。 「パパ、おうちに帰ったらごはん?」 莉子は寂しいような顔をして俺に聞く。 「そうだよ。今日は莉子