いつもと違う昼下がり
今日は、電気系統の点検で病院内が停電しているそうだ。実際部屋の電気は一部しかつかないし、冷蔵庫の中のペットボトルも表面に数多の水滴を浮かばせている。さらには、金庫が開かない。これは少々困りものである。買い物をしたくても、財布は停電して動かない金庫の中である。緊急で買いたいものが頭に浮かばず、少しホッとしている。トイレは流れる。トイレの電気もつく。蛇口から水は出ない。配電とか配線とかに疎い僕には、なぜ電気が通っている場所と通っていない場所があるのかよく分からない。分からなくても、一応生活で困っていないからまあ良いか。
退屈である。停電だからとかは関係ないのだが、不思議といつも以上に退屈である。午後からシャワー室の明かりが点かなくなるからというので、午前のうちにシャワーを済ませてしまったからなのか。いつもは微弱に電気の漏れている上を生活しているが故に、停電している今日は、微かな電流の波に乗れていなくて1日が遅く感じているのか。
幸いなのは、天気が良いことである。昨日まで一日中雨を降らせていた雨雲はどこへやら。窓を開けると、少し冷たいが気持ちの良い風が入ってきて、だらけた体をなぞっていく。窓の外に目をやると、高いビルや低いビルが所狭しと空との境界線まで続いている。青空から注がれる明かりに照らされ、それらは整然と並べられたジオラマのようである。あまりにも退屈すぎるので、今日もまた、病院内を闊歩するとでもしようか。いつもと変わらぬ、昼下がりである。
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