ショートショート|博士の金庫
発明家であるK氏の家に泥棒が入った。全身黒ずくめに目出し帽を被った男が、銃を片手に言う。
「おい、金目のものを出すんだ。」
「金目のものなんて、ガラクタばかりでここには何もないですよ。」
K氏は驚いた顔で両手を前に出して振った。
「嘘をつけ、最近発明品が完成したとかで、お前が多額の報酬を受け取ったと小耳に挟んだぞ。」
「そうか…バレてしまったんなら仕方がない。」
K氏は諦めの溜息をつき、両の腕を大きく広げた。
「では、この私の家の中から、報酬の入った金庫を探し出してみてくださ