
ザ・ノンフィクション 「ボクと古着と下北沢」〜夢と現実のヴィンテージ〜を見て思ったこと
こんばんは。APPS GENERAL STOREのオーナー伊藤です。
巷で話題を呼んでいるザ・ノンフィクション。
スレッズでも感想を書き綴りましたが、noteにもせっかくなので残しておこうと思います。
(3/1時点)まだ見逃し配信中でして、ちょいネタバレのような内容になっているかと思いますので、ネタバレ無しで観たい方はスルーしてください!
視聴して思うこと
まずは感想
スレッズでも書きましたが、今一度まずは番組を観た感想を述べさせていただきます。
そして、取り上げられている方々へリスペクトを払うと共に、テレビの取材を受けながら営業はかなりきつかったと思います。
古着屋さんって、リアルな光と影を包み隠さずに見せる事ってなかなかない事ですし、すごいなって単純に思いました。
また、お店が乱立する下北沢で闘うことを選ぶというのは、とても大変なことだと思います。(なんと200軒もお店があるそうですね!?)
古着業界は、参入障壁が非常に低く参入しやすい業界です。
古物商は簡単に取得できるうえ、それ以外は比較的資格も要らない。
しかし、在庫商売の小売業というのは、続けていくことがとても大変でさまざまなスキルやビジョン、敏感に問題をキャッチし対策を講じることなどが求められます。
"古着が好き"だけでは、ただの自己満足なお店になりうるし、"ビジネス"としての視点だけでは、薄利多売な業界構造との相性は悪いため、他の業界をお薦めしたくなります。
スレッズの投稿もリンク埋め込んでおきます。
さて、番組の話に戻りましょう。
番組の主要登場人物
放送は前後編に分かれ、下北沢の主に4つのお店のオーナーを取り上げて構成されていました。それぞれのお店やオーナーの色がはっきり分かれる構成で素晴らしかった。
DESERT SNOW オーナー鈴木道雄氏(46)
ELPASO 学生オーナーあいり氏(20)
CURB オーナー上村遥氏(23)
MIMIC オーナー渡辺宝氏(34)
年商32億と古着業界でもTOPに君臨するDESERT SNOW鈴木氏。
なんと馬主でもあるそうで、本当に成功されているのだなということが窺えます。彼を取り上げることで、古着業界の圧倒的な光の面を描きつつ、3つの影を深堀りし業界の陰影を上手く描いていたと思いました。
ELPASOあいり氏は、経営者である父親を持ち、尊敬しているが故に自分もお金持ちになる夢を持っている様子。
まだ大学生ながらも父親から1000万円を借りてお金持ちになる第一歩として古着屋を起業。面白いのが、古着屋をやるのは「ビジネスとして成功するための手段」と捉えているところで、最終的には不動産業を目指しているビジネス的なビジョンをかなり先まで見ていること。
最初の古着屋は3階だったそうですが、家賃40万程する路面店を借り再スタートし、経営の難しさを痛感しながらなんとか切り開いていく。
CURB遥氏は、親の反対を押し切り、大学を中退し古着屋を起業。学生の時から好きだった洋服・古着で食っていく"覚悟"をとても感じます。
STUSSYやSUPREMEなどの古い物をメインにたくさん取り扱う店舗構成で、話題性やニーズという物を客観的に捉え3店舗を経営している若手でやり手。
古着ブームの終焉に危機感も常に抱きながら1年・2年後の経営を視野に入れていることがすごい。
北海道出身のMIMIC宝氏は、とにかく学生の頃から古着が好きで23歳頃に上京し、下北沢の古着屋で10年間勤め上げ、独立し自身のお店を開業。
現在2店舗経営している。
最初の店舗が、偶然にもELPASOの跡地であるのもなかなか面白い点。
とにかく古着を愛してやまないですと言った"THE古着屋個人店オーナーさん"。毎月の貯金額が10万円以下と生活するのもやっとなうえに、従業員にも無理をさせてしまい、お店を離れてしまったり、ピックに行った仕入れ先で唯一の掘り出し物を管理不足により紛失させてしまうなど、個人店の大変さをリアルに映し出しています。
APPS伊藤が思う番組の見所
最も大きく取り上げられているのは、CURB遥氏とMIMIC宝氏だろう。
この2人は、"古着が好き"というのが共通点で起点であるにもかかわらず、自分たちの古着屋の捉え方や運営スタイルは全く異なるというところが面白い。
遥氏は、古着はブームで終わるのではという危機感を常に感じながら、消費者のニーズに応えようと対策を講じていて、俯瞰的に物事を見ながら、ニーズの先回りを懸命にする経営スタイル。自己資金200万円と銀行からの借入500万円を初期投資として投じている点からもしっかりした始め方をしていて、好きとビジネスの両立を考えながら運営しているのかなと窺えて、地頭の賢い方なのだと思いました。
一方、好きが講じてがむしゃらに日々ギリギリの生活をしながら経営する宝氏。初期投資にいくらかけたかは放送されませんでしたが、融資等はおそらく申請していないのでしょう。それゆえ自分が欲しいものを陳列するスタイルであると思います。こういうスタンスで開業することも全然悪くないことだと思います。
しかし、1点だけ最初にバックスの事をバンドだと言っていたのは、ちょっと商品説明として間違っているので放送してよかったかな?と思っちゃいますが、、、。
(私も商品がたくさんあると間違った説明をしてしまうことは滅多にないですがあります。そうした時には、きちんとその場で謝り正しい情報を伝えるようにしています。)
両者ともスタッフを雇っているのですが、人材の使い方も正反対な感じも対比があって面白い。
SNSの活用も全然違うのだろうなと思ったり。
(この辺りは、私もまだまだ至らなさすぎるので頑張らないといけない点です。。。)
かくいうAPPS GENERAL STOREは・・・

地元である岐阜県美濃加茂市という都会から離れた街にあえて出店。
そんな街からでも、以下の3つを主に目指しています。
①個性あふれるオシャレを楽しめる(豊かな商品ラインナップ)
②お買い物だけでなくお客様一人ひとりの人生や価値観を豊かにできるお店
③友達の家のような居心地の良いお店
私も古着が洋服が大好きで沼った1人です。でも、その好きの矢印は、自分が着ることと同じくらいお客様がAPPSの古着を買ってくれて着てくれる事に向いています。
だからこそAPPSの個性を最大限表現しながらも、お客様一人一人を大切にし共に成長していけるお店にしていきたいと思っております。
そのためにも、常にお客様にフレッシュで一足先を行ったご提案をできるお店でありたい。
最後に
ザ・ノンフィクションは、どちらかというと闇や苦悩の部分をリアルに取り上げる番組だと捉えています。
つまり、番組で古着が取り上げられるということはブームがマス層まで行き渡り、ブーム終焉に向かっていることを視聴者に感じさせるような内容になっています。
単なるブームや金脈のような描かれ方が少し残念ではあります。
現在、古着は世界的に注目されていること、第1次古着ブーム時との比較、人はなぜ古着に魅力を感じるのかなどなど、少し違ったテーマで古着というものを扱ってもらえると嬉しいものです。