慶州ノート1 2023年3月
4泊5日の釜山旅行のある1日、遠出をしてみた。余計なものはコインロッカー(物品保管箱/물품보관함)に預けて釜山駅から一路慶州へ。
10:00AM 釜山駅
チケットは前日に釜山駅に来て窓口で購入済みだ。釜山駅のコンビニに紙コップが売ってるのを確認してから福順都家のマッコリを買う。前日にチケットを買いに来た時、夜景ツアーについて質問したらとてもつっけんどんだったお姉さんがいるインフォメーションの前のオムク屋さんでつまみ買い電車に乗り込む。
新慶州駅までKTXで30分弱しか掛からないそのワケは、ほぼトンネルを走るからだとわかる。釜山から慶州までの景色の移り変わりは望めないけど、闇の中でのマッコリも悪くないかもしれない。
車窓を楽しみたければ、釜山の西面駅(ソミョン/서면)から歩いて20分ほどのところにある釜田駅(プジョン/부전)から出ているムグンファ号(木槿号)に乗るといい。こちらは海雲台の美しい海岸沿いを走っていく。夏にムグンファ号で海岸線を走れたらなんて素敵なんだろうと思う。復路でもいい。海雲台の手前、日光駅で降りて海を眺めながらアワビ粥を食べる手もある。
ムグンファ号だと釜山ー慶州間は1時間40〜50分くらい。次回は必ずやムグンファ号でと思う。
Korail(韓国鉄道公社)のチケットはネットで予約できるので、現地でチケットを買うことにハードルを感じるなら日本で購入していけば安心だ。
(釜山 老圃洞駅直結の高速バスターミナルから慶州バスターミナルまでのバスもある。約50分。5,700₩。やすっ!)
11:00 新慶州駅
新慶州駅着。
映画「慶州」のヘイやん(パク・ヘイル)はここに昔つきあってた彼女を呼び出したんだよな、クズ!と思う(笑)。
とりあえず帰りのチケットを窓口で購入。1階ど真ん中にあるお土産屋さんの品揃えとセンスがまあまあいいので、時間がなければここで買うことにする。
駅前に普通に古墳が鎮座する慶州(笑)。古墳が三国時代へようこそとお迎えしてくれる慶州(笑)。
駅を出ると、行き先の中のひとつに慶州駅と書いてあるバスが止まっていたので飛び乗った。
古墳群がある町の真ん中に(町の真ん中に古墳群があるなんて!)行くにはバスで30〜40分くらい、タクシーなら20分弱(約15,000〜20,000₩)だ。我らが味方「NAVERマップ」が教えてくれる。
バスの系統番号も降りるバス停も指示してくれる。バス内のモニター表示やアナウンスを解する必要もない。NaverマップのGPS機能をONにして自身の現在地を表示させておいて、目的地に近いバス停で降りればよい。
タクシーは経路、時間、値段まで教えてくれる。タクシー技士ニムには、にっこり笑顔でこの画面を見せれば遠回りもし難いだろう。
韓国旅行にガイドブックは要らない。Naverマップアプリがひとつあれば良い。アカウントを作り旅行前に慣らしておけば百人力だ。
11:40 慶州駅廃駅
小さく折り畳むタイプの紙地図が欲しい。デバイスの中の地図で距離感を感覚的に測るのが苦手だ。新慶州駅で観光案内所を探したが見当たらなかったので、映画「慶州」に出てくる案内所に寄ったが閉まっていた。もちろんコーヒーを出してくれるお姉さんもいない。
慶州駅廃駅の向かいには城東市場が広がり、荷物を抱えた人々が行き交っている。生と死の間を彷徨う映画のワンシーンの反対側に、賑やかな市場が存在してるとは意外だった。これだから撮影地をうっかり訪れるのは危なっかしい。
お腹が空いていたら、古代古墳群の世界に足を踏み入れる前に、ここでまず腹ごしらえをしても良い。後で記すが城東市場名物「ごぼうキンパ」や「ビュッフェ食堂」という魅惑のおばちゃん人情グルメがある。でもその前に向かうべきミッションがあるので先を急ぐ。
12:00 古墳群を練り歩いてお待ちかねの昼食
慶州で一番古墳が多い大陵苑の石塀越しにこんもりとした古墳を右に覗きながら、現在も発掘中の遺跡を左に見ながら、お昼を食べる目的地まで歩く。途中、道の向こうにあるサンパプ屋のおばちゃんが大きく手を振って「いらっしゃいよ〜」と声を掛けてくれるけど頭を下げてスルーする。ごめんなさい。
歩いても歩いても続く芽吹き前の芝に覆われたこんもりは、ラクダのこぶのように愛らしい。
私のEvernote(ふるっ)の「慶州」というフォルダの奥深くにブックマークされていた念願のお店だ。店の名前は「경주 원조콩국/慶州元祖大豆スープ」。食べる前から美味しいってわかってるお店だ。
頼むものは決まっている。それでもメニューをじっくり読みたい。メニューはこんな内容だ。
「温かい大豆スープ」!コングクスのスープを温かくしたものだろうが独特じゃないですか?他で見たことがない。で、取り急ぎ❶を頼みました。
豆乳というより大豆ポタージュです。豆臭さがない、しつこさもない。ああ、思った通り!いや、それ以上!黒胡麻とはちみつが風味とコクをさらに広げている。
オーダーするとおばちゃんが、お揚げのように見えるものをハサミで無造作にバチバチ切って器に入れてたのが、これ、もち米ドーナツだ。トックじゃありません。例えるなら、生八ツ橋を少し厚くしたようなそんな食感です。白くてトロトロしてまったり甘いもの。
あぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(幸せの意味)。
前日、朝から辛いものを食べた腹痛で救急車を呼んでしまった(お店の方が呼んでくれた)胃に染み渡るのね。
あぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜(再び幸せの意味)。
私の慶州行きの目的はすでに半分達成!やたーーー!
イモニムに「どこから来たの?」と聞かれる。
私:美味しかったです。ノムノム美味しかったです。
イモニム:良かった、良かった。
私:また来ますね。
イモニム:いつでもいらっしゃい。
私:また今夜来ます。
イモニム:(笑)
お店は創業60年ほどらしいので、新羅時代からの食べ物で善徳女王が食べてたかどうかは不明。でも大豆や豆腐の起源は中国だから、日本でも遣唐使が豆腐を伝えたように、唐時代に中国から朝鮮にも伝わったかもしれん。なんか、たのしーーーっ!
13:30 石灯のある韓屋
慶州の宿は韓屋と決めていた。機会があれば古いものに触れたいタイプだ。
過去にソウルで2タイプの韓屋に泊まったことがある。
韓国語の先生が教えてくれた安国にある韓屋は、済州島から取り寄せた鯖を焼いたものや鮑粥(決して豪華というわけではなくシンプル、だけど美味しい)を含む食事が朝夕と出されるクラシックな味わいがあった。
きれいに手入れされた庭には穴蔵のようなチムシルバンまであって、韓国人の言う“ホカンス(ホテルでバカンスの略)”が楽しめるところだった。
もうひとつの北村の韓屋(あの街並みの中にある家!)は、一棟貸し、デジタルドアロックで出入りは自由、夕飯はなく「朝ごはんは美味しいパン屋のパンを買っておくね」とキッチンに簡単な朝食が用意されているだけの、放ったらかしにされる開放感があった。
この時は韓国語の先生に韓屋の連絡先を教えてもらい牧歌的にメール予約をしたのだが、最近の韓国人発信のSNSやブログを見ていると、普通にAirbnbを使っていることがわかったので「おー!時代はそれだよな!」と、アカウントも持ってたので迷わずAirbnbで予約をした。
色んなタイプの韓屋があるので、何を求めるのか明確にしておけば探しやすいと思う。ホストが掲載している写真では情報が不充分だと思うならInstagramも併用すると、ホストのアカウントがある場合もあるし利用した人の写真を見ることもできる。もちろんホストに直接質問してもいい。その返事の内容で、ホストの人柄が見えるのがAirbnbの特長のひとつだ。
ホストは隣接する2軒の家を持っていて、そのひとつではカフェを開いている。カフェに入るとホスピタリティあふれるAirbnbのやり取りのまま迎えてくれた。ビンゴ!
すぐに仏國寺にバスで行きたいと聞くと、う〜んと考えて「バスは時間が掛かるかもしれない」とホストが答える。するとカフェ内にいたアジョシが「タクシーだよ。タクシーのほうが早い。タクシー呼んでやれ。」と合いの手が掛かった。ナイス、常連顔のアジョシ!
来る途中で買った皇南パン(ちっこい餡パン)もどきの箱を開けていくつかおやつに鞄に入れて残りは置いていく。アジョシがニコニコして見てるので「召し上がります?」と聞くと首を振った。
旅は道連れ、世は情け。
秀吉の文禄・慶長の役の際、グダグダに破壊した仏國寺へ。猿めっ!