サワガニと僕
サワガニは自由だ
僕はサワガニになりたい
明日の夜が明けたら 僕は川に入る
上流から下って海まで行くんだ
サワガニに会えるかな
川の流れに逆らわないんだ
流されて行く
川の水は優しいだろう
僕を川下にまで連れて行く
川の流れにすべてを預ける
海が見えてきたら
意識の底で僕は快哉をあげる
海の塩辛い水を感じて
僕の運命の終わりを知るんだ
誰も僕をさがさない
僕は生きている間もひとりぽっちだった
安らかに 海に入る
サワガニは海までは来ない
川下までだ
海に入ったら、来世を思って
喜びに興奮するんだ
塩辛い海の水は 僕を迎えて
すこしはさざなみを起こす
その時こそ 僕は天の国に行ける