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中国・孫呉で居候生活 お父さんの「芹菜と落花生のあえもの」

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寝台列車に揺られながら辿り着いた先は、孫呉。駅に着いたのは朝4時を少し過ぎた頃で、辺りはまだ薄暗い。秋だというのに気温は10度を下回り、十分な服がない私はズボンの上にスカートを履くという謎ファッションであった。スーツケースを車両からホームに静かに降ろし、改札に向かう。孫呉の駅は最近建て替えられたらしく、少しモダンな雰囲気だった。改札を出てまっすぐ歩くと、女性と男性が近づいてきた。これから居候させてもらう友達宅のお母さんとお父さん、そして従兄弟だ。彼らとはこの時が初対面。貧弱な中国語+分かりやすい笑顔で、何とか乗り切った。とりあえず荷物を車に乗せ、家まで運んでもらったのだった。

ここで知り合ったお父さんが作ってくれたのが、「芹菜と落花生のあえもの」。「芹菜」とは中国セロリのことらしい。別名「香芹」とのこと。日本のセロリより香りが強く、茎が細いため食べやすい。
お父さんは料理上手で話好き。ぽっこりお腹を揺らしながらゆっくりおしゃべりするのだ。そんな彼の得意料理がこれ。落花生は茹でると皮が勝手に剥がれて大豆みたいな色になる。その落花生と、あくを取った芹菜を合わせ味付けしたもの。瑞々しい色で輝かんばかりの艶なのだ。「わあ!綺麗ですね!!」と一口食べたら最後、もう箸が止まらない。落花生は程よく茹でられていて、生っぽいナッツの香りと歯応えが楽しい(自分は生っぽいナッツの香りが大好きだ)。芹菜も、柔らかいだけではなく噛むごとに独特の食感がクセになるのだ。芹菜、芹菜、落花生、芹菜、落花生、落花生・・・と黙々と取り憑かれたように食べてしまった。なにより、上品な香りが素晴らしい。芹菜も落花生も水で料理されているのに、いい匂いの油のベールを隙間なく纏っているのだ(伝わるかな?ゆでた後の水分の処理や温度に本当に気を配りながら和えられたものな気がするって意味です)。ほんわかと包み込むような華やかな胡椒油の香りが、本当に幸せな気持ちにさせてくれる。この料理を食べた時、「ああ、お父さんは何も言わないけれど、本当に料理上手で、時間をかけ心を込めてこれを作ってくれたのだな」と心がじんわり。

芹菜と落花生のあえもの

<あぽりんメモ>
芹菜のあくは強いため、時間をかけてあくぬきをしているらしい。最後に加える胡椒油は、作ってすぐのものを使うことが大事だそうだ。

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