心を育んでくれた羊文学 〜マヨイガ〜
羊文学のマヨイガ。この曲は『岬のマヨイガ』というは柏葉幸子の児童文学をアニメーション化した東日本大震災後の岩手県の狐崎を舞台にし、東北の伝承を織り交ぜた日常ファンタジー映画の主題歌である。映画は児童文学がもとになっているのもあって、とてもわかりやすいものになっていたが、何より主題歌がとても良いと感じた。双方の作品の深みが出る、素晴らしいタイアップである。この曲へボーカルの塩塚モエカさんは映画で身寄りのなかったユイとひよりの幸せを願う気持ちで作曲されたそうだ。
この曲で私が一番好きな部分は
「行け、行け
その明日がきみを苦しめようと
行け、行け
痛み知る優しい人でありなさい」
という箇所である。友達に馬鹿にされてイライラする私、恋人の行動に嫉妬する私、家族の過保護にむしゃくしゃする私、こんな小さな私を、ほんの少し大きくしてくれた気がした。
「おかえり、ずっと待っていたよ もう大丈夫だから」
私が一番大好きな言葉、「大丈夫」。この言葉はよく耳にしますが本当に心を込めて言ってくれたのは家族であり、恋人であり、友達。私の幸せを祈ってくれる身近な存在はいつ居なくなるかわからない。だから大切にしなければならないと、震災後がテーマとなる映画と重なり、歌詞の意味を理解し、涙してしまった。
監督である川面真也さんは「世界を愛してください」という歌詞の一言が加わることで一つの作品としてしっかり完成したような気がするとコメントしている。愛が詰まった楽曲である。羊文学が大好きだ。