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【再生の道】石丸伸二新党の都議会議員候補公募 1次選考に1128件の応募

新党「再生の道」の石丸伸二党首は2025年2月26日に会見を行い、都議会議員候補公募の1次選考に1128件の応募があったことを明かしました。

地域政党「再生の道」代表の石丸伸二氏(42)が26日、都内で会見を行った。都議会議員候補の公募について、現時点での進捗(しんちょく)状況を説明した。

1次選考の応募総数は「1128件」と明かした。 男女比は男性88%、女性12%。年齢別で一番多いのは40代、32%。最年長は78歳。ハイクラス人材に定義される年収800万円以上の人は39%、年収1000万円以上は25%だという。

Yahoo!ニュース

応募をするのは個人の自由を大前提としたうえで、敢えて突っ込みを入れたいのですが、公職選挙法違反の疑いがかけられている方の新党に応募をする人が1128名もいることに腰が抜けそうになりました。しかも、ハイクラス人材なるカテゴリーの方が39%もいるそうです。まあ、年収で人間性を推し量ることはできませんが。

石丸氏は広島・安芸高田市生まれ。京大卒業後、メガバンク勤務を経て、2020年の安芸高田市長選で初当選。20年8月、買収事件で公選法違反に問われ実刑判決を受けた河井克行元法相から現金を受け取ったことを認めた前市長の辞職に伴う市長選だった。昨年7月の都知事選では、現職の小池百合子氏に次ぐ約165万票を集め、次点だった。

Yahoo!ニュース

石丸氏は安芸高田市長時代に「SNSを通じた情報発信」「財政状況の改善」「小中学校の給食費無償化」「ふるさと納税額の増加」などの実績をあげたとされています。

たしかに、2024年2月1日配信の産経新聞記事には、

広島県安芸高田市は動画投稿サイト「YouTube」で、市公式チャンネルの登録者数が全国の自治体で最多となったと明らかにした。市によると、これまでは神戸市の19万人が最多。安芸高田市の登録者はこれを上回り、20万人を超えたという。

産経新聞

と書かれています。しかし、一方で、同記事内には次のような記述もありました。

メディアと政治の関係に詳しい東京工業大の西田亮介准教授は「最近は一種の論破ブーム。普段、批判する側の記者が言い負かされる姿に喝采が集まっている。新聞を読んだり、テレビを視聴したりする人の数が減り、メディアの影響力が低下していることも背景にある」と話す。

一方で、「議会対応を含め、市長の言い分に納得できるものもあれば首をかしげるものもある中、常に記者や議員が悪者扱いされているようにみえる。人間なので言動のすべてが正しいというのはありえないにもかかわらず、市長に支持が集まるのは、論破ブームに乗った見せ物としておもしろいという脊髄反射的な大衆の反応ではないか」と指摘する。

西田准教授は「市長は世論を意識し、自分の見せ方を分かっているが、肝心の施策面で何をしたいのかがよく見えない。この点は政策実現のためにメディアを利用することもあった橋下氏との違い。ネットでの発信に加えて、政治家として何をしたいかを明確にし、政策を磨くことも期待される」と話していた。

産経新聞

石丸氏はご自身でも、

「一番の目的は安芸高田市を有名にすること。そのために言葉は悪いが燃やせるものは何でも燃やす炎上商法だ」

産経新聞

と言われていますが、「炎上商法によって得られた大衆の支持」にどの程度の価値があるのかについては疑問を感じるところです。

また、「財政状況の改善」「小中学校の給食費無償化」「ふるさと納税額の増加」については、2024年7月10日配信の現代ビジネス記事に、以下のような内容が掲載されていました。

石丸氏は「市長就任以前の5年間は市の財政は実質単年度収支が赤字であった。それを黒字に立て直した」と主張してきた。実質単年度収支とは、前年度の決算からの変動額を表すものだ。この数字が赤字だと財政が前年度よりも悪化したと言える。

たしかに、公表済みの市の決算書によると、石丸市長就任前の予算が執行された5年間、2016年度から20年度決算まで実質単年度赤字であり、石丸市政開始後の21年度には実質単年度収支は黒字に転じている。

しかし、黒字化した2021年度はコロナ禍による特殊要因があり、国からの地方自治体への巨額の財政支援措置があった。ただし、これは一時的な措置なので、22年度決算では当然のように安芸高田市は再び赤字に転落している。

そして、広島県内で安芸高田市と同規模人口の庄原市や大竹市もほぼ同様の数字の変化を辿っていることからも、実質単年度収支の黒字化は石丸市政の成果ではなく、単なる外部要因による一過性の出来事だったに過ぎない。

現代ビジネス

記事によると、石丸氏が自身の実績として大々的に掲げる「財政状況の改善」は、コロナ禍の財政支援措置による部分が大きく、次年度では再び赤字に転落(=財政状況が悪化)しているそうです。
石丸氏の市長在任期間は2020年8月9日~2024年6月9日なので、彼の在任中に安芸高田市の財政は再び赤字に転落したということになります。
ちなみに、財政状況の指標となる経常収支比率についても、以下のような記載があります。

安芸高田市の経常収支比率は2016年度に94.4%となり、19年度に98.2%の財政悪化のピークを迎えた。

ところが、2020年度は92.5%、21年度は88.6%、22年度は94.4%となったことで、21年度の石丸市長就任年前後に改善したように見える。

しかし、2020年度からの数字の低下にはやはり特殊要因が重なっている。20~22年度は、過去の市職員の退職金積立が過剰であったために退職金引当金に対する拠出が低下したこと及び、21年度はコロナ関連の国からの支援等があったことが大きかった。

そのため、それらの要因が剥落した今年秋口に公表される2023年度決算では96%前後に再び上昇してしまう見込みとなっている

現代ビジネス

この数字からも、財政状況の改善に成功したとは言い難いのではないかと思います。

同記事では、「小中学校の給食費無償化」についても、

さらに、石丸市政最後の予算編成である2024年度予算では、給食費無償化が実行されることに伴い、市の貯金にあたる財政調整基金が億円単位で取り崩されている。

筆者が見る限り、給食費無償化費用は過重であり、持続可能性が極めて疑わしいバラマキ政策となっている。

安芸高田市の新市長に選ばれた藤本氏は、石丸氏が残した財政改革の失敗と向き合い、新たなバラマキとの折り合いをどのようにつけるのか。頭を悩ませることになるだろう。

もし石丸氏が都知事選挙に転出せずに安芸高田市長を継続していた場合、彼は自らの財政改革の失敗に向き合わざるを得なくなっていたはずだ。切り抜き動画でいくら煽ったところで、数字は嘘をつけない。民間企業でも同様だ。広報・PRが上手な企業でも財務状況の悪化を長期間に渡って誤魔化し続けることは難しい。

したがって、石丸氏にとってはこのタイミングで安芸高田市政に関する責任を放棄することは必須だったと言えよう。

現代ビジネス

いやー、手厳しいですね。

ちなみに「ふるさと納税額の増加」についても、同記事ではこのように切り捨てています。

ふるさと納税の伸び率も全国と比べて著しく高かったわけではなく、彼のYouTuber芸による一過性のものに過ぎない。

現代ビジネス

ちなみに、株式会社カリーグスが運営する「ふるさと納税ガイド」によると、石丸氏が市長に在任していた2020年~2023年のふるさと納税受け入れ寄付金額ランキングでは、残念ながらいずれの年度においても10位以内に安芸高田市の名前はありませんでした。

返礼品の「広島熟成どり」とかすごくおいしそうですけどね。

もちろん、石丸氏が市長在任中に何ひとつ実績を上げなかったとは言いません。実際にSNSとかSNSとかやってましたし。ただ、本人や支持者が声高に誇るほど素晴らしい実績を残したのかと問われれば、そこには疑問符がつくと感じます。

なお、石丸新党の公募者最終面接については、

最終面接の面接官を募集。石丸氏と応募者の1対1の面接に立ち会う。選挙区ごとに16歳~24歳を対象として公募。18歳未満は保護者の了解が必要。

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上記のような形式で行われるそうです。なぜ16歳~24歳が対象なのかよくわかりません。こういう部分からも、石丸氏のポピュリスト的気質を感じ取ってしまうのは、穿った見方なのでしょうか。

なお、冒頭に書いた公職選挙法違反の件について、石丸氏は同日の会見で記者から責任を問われ、

今回の報道について「責任を取るような考えはあるのか」と記者から問われた石丸氏は「答えとしてはひと言、ありません。というのは、これまで話したのが全てなんですが、影響は限定的だからです」と語った。そして「最悪のケースですね、確率がどの程度あるのか私には判断しかねるのですが、その場合においてもこの『再生の道』という政治活動に支障はないという風に捉えています」と続けた。

日刊スポーツ

上記のように答えたそうです。石丸氏は「政治活動に支障はない」と考えているようですが、公職選挙法違反は「最悪のケース」では公民権停止になる立派な犯罪です。

そして、斎藤元彦兵庫県知事の公職選挙法違反疑惑を告発した神戸学院大の上脇博之教授が、2月25日、公職選挙法違反(事後買収など)容疑での告発状を東京地検に提出したとの報道もありました。

昨年7月の東京都知事選で次点だった石丸伸二・前広島県安芸高田市長(42)の選挙費用を巡り、集会をライブ配信した業者に報酬を支払ったとして、大学教授が25日、石丸氏ら陣営関係者や業者に対する公職選挙法違反(事後買収など)容疑での告発状を東京地検に提出した。

神戸学院大の上脇博之教授による告発状では、石丸氏陣営は、昨年7月7日の投開票前の同5日に行われた集会のライブ配信業務を都内の業者に発注した上で、選挙後に報酬として計97万7350円を支払ったなどとし、選挙運動を原則無報酬と定める公選法に違反したとしている。

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個人的には、誰が誰とは言いませんが、目立ちたがり屋で口先だけの嘘つきよりも、地味でもこつこつ誠実に仕事をしてくれる人にこそ、政治家になっていただきたいと願う次第です。


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