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注目の学会報告:ターニケットの使い方を見直す救急現場の討論🚒🚑
この記事のポイントは、救急隊員が使用するターニケットの理解です。
記事を通して、ターニケットの適応を以下のように整理しています。
1、他の止血法では止血が困難な場合に使用する。
2、他の止血法では、止血効果が不十分なことが明らかな場合は、直接圧迫止血法に優先して、躊躇なく使用する。
3、直接圧迫法が一定の効果を示した場合でも、搬送に長時間を要する場合には使用を考慮する。
こんにちは!👩🚒✋
先日、救急医学会中国四国地方会に参加してきました。
愛媛という地で遠方だったのですが、友人が登壇するということだったので、頑張って運転🚗してきましたよ!
![](https://assets.st-note.com/img/1689122333595-cHIzXl6HBU.jpg?width=1200)
この学会では、主に救急救命に関する研究発表が行われます。医師はもちろん、看護師、検査技師の方、もちろん僕たち救急救命士の発表も行われました!
皆さん本当にすごくて、一つの症例を掘り下げて研究したり、蓄積したデータを報告したりと、学会に参加すると、「次は僕も!」と奮い立たされますね😚
ターニケットを使用した労働災害の一例
今回の報告の中で、ターニケットの使用に関する議論がありました。
僕はこの部分がとても面白いと思いましたので紹介します。
症例は、労働災害症例。
上肢の不全切断で、出血が続いていたという内容だったと思います。
救急隊は、まず圧迫止血を行なった。そして出血が止まらなかったのでターニケットを使用した。と報告されました。
この報告を受けて、会場からは「ターニケット使用のタイミングが遅いのでは?」と質問が上がりました。座長の先生も、「私もそのように感じました。」と発言されていました。
ターニケットはいつ使うか
止血帯であるターニケットは、救急隊が止血を行う場合の最後の砦のような位置付けです。最近使用が開始された資機材ですが、多くの救急車に積載されていると思います。
日常的に救急隊が行う止血は「圧迫止血法」という方法で、創部をガーゼなどで強く圧迫する方法です。救急講習でも一般市民の方にお伝えする手段です。
ほとんどはこの圧迫止血で十分なのですが、今回のように不全切断のような大きな損傷の場合は、圧迫止血では十分な止血ができません。そんな時は、僕たち救急隊員はターニケットを使う。
今回の発表を受けて、
「ターニケットは、圧迫止血が無効な場合のみに使用する」という考えが誤って解釈されている可能性を感じました。
テキストを見てみましょう。
ターニケットってどんなもの?
![](https://assets.st-note.com/img/1689123284543-AWr08iLphk.png?width=1200)
まずはターニケットって何?という方のために、こんな道具ですよ!という部分です。様々な種類がありますね。日本でもおよそ同様の資機材が配置されていると思います。
注意)ターニケットを含む止血帯を用いた止血は医行為であると解されていますが、救急救命士は、 救急救命処置の範囲として、救急隊員及び准救急隊員は、応急処置として行うことが認められている資機材です。
ターニケットの使用する場面
今回の記事の肝となる部分です。
テキストには、このように書かれています。ターニケットの理解のために大切な部分なので、救急救命士、救急隊員の皆さんはしっかり読みましょう。
ターニケットの使用目的
〔目的〕 動脈性(拍動性・噴出性)の出血で他の止血法によって制御できない出血を止めること
※動脈性(拍動性・噴出性)の出血では、数分で致死的状態に陥るため、ターニケットの使用が重要である。
〔部位〕四肢
動脈性の出血など、他の止血法では、”止血効果が不十分なことが明らかな場合”は、”直接圧迫止血法に優先”して、躊躇なくターニケットを使用する。 また、動脈性の出血に対して直接圧迫法が一定の効果を示した場合でも、搬送に長時間を要する場合には使用を考慮する。長時間にわたり、直接圧迫法で出血を適切に管理し続けることは困難だからである。
このように記載がされています。
圧迫止血では止血が困難な場合に、ターニケットを使用することはもちろん間違いではありませんし、正しい使い方です。
ただ、
「他の止血法では、止血効果が不十分なことが明らかな場合は、直接圧迫止血法に優先して、躊躇なくターニケットを使用する。」という部分と、「直接圧迫法が一定の効果を示した場合でも、搬送に長時間を要する場合には使用を考慮する。」
という部分は意外と見逃しやすいのかもしれません。
今回の質問者や座長の先生は、この辺りの理解がきちんとできているか?を確認したかったのではないかと思いました。
このような気づきを与えてくれた発表者の救急隊員の方には本当に感謝です。症例発表ありがとうございました。
まとめ
それでは今回のポイントです。
止血帯であるターニケットの使用について以下のように整理しました。
ターニケットは、、、。
1、他の止血法では止血が困難な場合に使用する。
2、他の止血法では、止血効果が不十分なことが明らかな場合は、直接圧迫止血法に優先して、躊躇なく使用する。
3、直接圧迫法が一定の効果を示した場合でも、搬送に長時間を要する場合には使用を考慮する。
外傷症例では、「一滴でも出血を許さない!」救急隊員はこのような意識が大切です。これがPTD撲滅につながっていくのです。
この記事をもとに、
今一度、止血法について考えてみませんか?
今回は以上です👩🚒👍
これからも適切な救急活動を行なっていきましょう!
注意)ターニケットを含む止血帯を用いた止血は医行為であると解されていますが、救急救命士は、 救急救命処置の範囲として、救急隊員及び准救急隊員は、応急処置として行うことが認められている資機材です。
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