コンクールに挑戦すること、それは素晴らしい事ばかり
フランスレストラン文化振興協会(略称、APGF)note編集部員です。
APGF公式note、今回は、2017年メートル・ド・セルヴィス杯で準優勝された今村 昭彦様からの示唆に富むメッセージです。
是非、今村 昭彦様の貴重なコンクール挑戦を通じて得たすばらしい経験談をお楽しみください。
コンクール挑戦に決意
私は高校を卒業して料理人になる為、大阪の調理師学校に入学しました。
イタリア料理のシェフになる為に入学したのですが、学生2年目の時フランス料理のギャルソンが醸し出すエレガントでスマートな魅力に惹かれました。
その際ご教授していただいた先生方には感謝しかありません。
在学中、少しでも早く経験を積みたくてアルバイトをさせていただけるレストランを探している時に紹介して頂いたのが大阪の歴史あるグランメゾンLE PONT DE CIEL(ルポンドシエル)でした。
そこはフランスの星付きレストランと提携し、煌びやかな内装とフランス人シェフが創りだす最高級フレンチのレストラン。
そこで私のサーヴィスの師匠とも言える最高のギャルソンに出会いました。
その方はメートル・ド・セルヴィス杯で優勝され日本一になられた凄い方です。
他のギャルソンの皆様もベテランばかりで私はとても緊張したのを今でも覚えています。
そしてその時にコンクールの事も初めて知りました。
アルバイトをさせて頂けることになり、私はコミ・ド・ランからのスタートです。
当時のフレンチはブリガードが確立されていました。
私はひたすら料理を持って走る、メートル・ド・テルからボンを受け取りサマッシュする、片付けをする、カフェは何十秒以内に用意する、シルバー磨き等々、もうくたくたでした。
正社員になった後もコミ・ド・ランの仕事を延々とこなす毎日でした。
私はイメージしていた優雅な世界との違いにとても衝撃をうけて何度も挫折しそうになりました。
でも何年か経つと慣れてくるもので、以前はできなかった仕事もできるようになってきて少しずつ周りも見えるようになりました。
コミ・ド・ランからシェフ・ド・ランになった時、ベストからジャケットに変わった瞬間は最高にうれしかった事を覚えています。
シェフ・ド・ランになりお客様と接する機会も増え、もっと何かお客様にアピールできる事がないかと考え始め、コンクールや資格の取得等はこの頃から強く意識するようになりました。
その後は接客の幅を広げたいと思い、Restaurant Varierレストランヴァリエ(大阪 中之島)が新しく店舗展開したビストロに勤めました。
ビストロの接客はお客様との距離も近くフランクな雰囲気にグランメゾンの接客とは違う新しい魅力を知りました。
そこでソムリエの資格を取得したあと、やっぱりコンクールに挑戦したいという気持ちが忘れられず、芦屋のグランメゾンMAISON DE GILL ASHIYAメゾン・ド・ジル芦屋(現在はメゾン・ド・タカ芦屋)で働きはじめました。
メートル・ド・テルになり、最高のレストラン作りと今まで以上の研鑽が始まりました。
コンクールに出場して
そして2013年、初めて出場したコンクールは見事に惨敗。
周りは自分より凄い方ばかりで、料理、お酒、外国語、テクニックなど、何もできなかった自分の力不足を痛感しました。
そして迎えた2015年、2回目のコンクールでは決勝までいくことができ、4位入賞となりました。
しかし、この時は前回より悔しかったです。
表彰台にのっている方々がすごく遠く感じました。
前よりしっかり準備をして臨んだはずだったのですが本番は練習のように上手くいきませんでした。
たた、前回と違い今回は得られた物がありました。
それはたくさんの方々とコミュニケーションを築くことができたことです。
コンクールに挑戦する上で、人と人との繋がりというのは非常に大切です。
みんなに助けてもらいながら挑戦することができます。
その際、繋がらせていただいたコンクールの仲間たちや、関係者の皆様には今でも親しくしていただいております。
そういった人脈を得られたのがこの年のコンクールでした。
2017年、いろいろな事を振り返りながら迎えた決勝当日。
この年からレストラン形式での審査になりました。
いつもと同じようにお客様に楽しんでいただく、その気持ちを大事にしながら挑戦して結果は準優勝。
たくさんの方々に支えてもらいながら手にした順位でした。
次こそは必ず優勝する!!
という決意表明を自分の中にしました。
ですが、次のコンクールでは見事に予選敗退となり、不完全燃焼のまま今にいたります(笑)
コンクールは結果が全てです。
そしてその結果は自分の努力次第でいくらでも変えることができます。
日々の営業も同じです。
お客様に対して、どれだけ自分が努力できるかだと思います。
違うところは評価の点数と売上ぐらいです(笑)
次の次を考えてどんな要求や要望にも応えられるように準備をする、それが常日頃からできるギャルソンがコンクールに勝てる人であり、仕事ができる人だと私は思います。
コンクールに挑戦するということ
コンクールに挑戦することはほんとにすばらしい事ばかりです。
・今自分の実力を知ることができます。
・日々の営業にもつながります。
・レベルアップの為に経験が積めます。
・同じ目標に向かって進める仲間が出来ます。
・様々な人と繋がることができます。
・結果次第では有名になれます。(笑)
他にもたくさんありますがこれくらいにします。
最初の一歩を踏み出すこと。結果は後からついて来る。
もちろん希望通りの結果とは限らない。
でも、踏み出さない人に、結果は決してやって来ない。
私の好きな小説家さんの名言です。
是非皆さんも夢に向かって一歩踏み出し下さい。
また会場でお会いできることを楽しみにしています。
拙い文章で申し訳ないですが、読んでいただき有難うございました。
MAISON DE TAKA ASHIYAメゾン・ド・タカ芦屋
メートル・ド・テル
今村 昭彦