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FX必勝法教えます ただし個人投資家不可

為替市場の必勝法は意外な場所に記載されています。
東京外国為替市場委員会のコード・オブ・コンダクト「グローバル外為行動規範 2021年7月仮訳」51ページ以降に、「付属書 1:具体的な例示」として取引執行の具体例の記述があります。
メッセージは大きく分けて4種類です。

銀行に対して
①自分の利益を優先して、顧客に不利な約定をしないでください
②顧客の取引情報を漏らさないでください
顧客に対して
③銀行や他の市場参加者が必ず不利になるような取引をしないでください
④(顧客の立場を利用して)銀行から取引情報を聞き出さないでください

かなりマニアックな内容ですが、これを読み解いていくと、やってはいけない「他の市場参加者をカモにして自分が利益を上げる方法」が書かれていることがわかります。

解説の前に、これだけは頭に入れておいてください。
※Mはmillion (百万)です。為替市場の取引単位は100万通貨が基準になり、これを1本と呼びます。(百万通貨=1M=1本)。
150Mとは1億5000万通貨です。ディーリングルームで「ひゃくごじゅっぽん」と言えば、誰もがすぐに「おお、デカい」と身構えますが、「いちおくごせんまんどる」と言われても全くピンと来ません。

【やってはいけない事例その1】


1.顧客が銀行にドル円75Mのビッドはいくらか?と聞く
2.顧客に売る意思があると判断した銀行は、マーケットでドル円を150M売る
3.銀行の思惑通りになれば、大口の売りでドル円が下がる
4.下がったところで顧客にビッドを告げる。取引が成立(DONE)すれば、銀行はマーケットで75本買い戻す。
顧客は最初にビッドを聞いた時点より不利なレートでの約定となり、顧客の不利な分が銀行の利益となります。銀行はこの顧客の取引を利用して自己ポジションでも利益を出せます。

【やってはいけない事例その2】


1.顧客がM&Aに絡んだドル円5000M(巨額!)の買いをロンドン時間午後4時のフィキシング・レートで依頼する。(東京時間の仲値もフィキシング・レートの一種です)
2.銀行は4時以前に(巨額のフローによるドル円上昇を見越して)自己ポジションでドル円300Mの買いポジションを取る
3.思惑通りドル円が上昇した4時過ぎに、ドル円300Mを利食う。
5000本も買うとどのくらいマーケットが上がるのでしょうか?
10銭上がれば300Mのポジションで3000万円、20銭上がれば6000万円の利益がでます。

【やってはいけない事例その3】


1.顧客が銀行に対し「フルアマウントです」と虚偽の申告をして、GBP/USD50Mのプライスを聞く
2.顧客はほぼ同時に3行にプライスを聞き、合計で150Mを買う
.顧客が1行に150Mのプライスを聞いていたら、より広いスプレッドが提示されていたはずです。銀行は適切ではない狭いスプレッドでクオートしたためカバー負けをします。銀行に損をさせて顧客が有利なレートで取引を執行したになります。

残念ながら、個人投資家にはこのようなチャンスはありません。
紹介した行動規範は「外国為替ホールセール市場」の健全性と円滑な機能の促進に向けた共通のガイドラインを示すために策定されたものです。
FX会社は「外国為替ホールセール市場」の参加者ですが、個人投資家は違います。
個人投資家はFX会社の取引約款で定められたルールに従った取引ができるだけです。取引規範に従う必要はない代わりに、取引規範の取引執行事例に書かれている「他の市場参加者をカモにして自分が利益を上げる方法」、つまりFX必勝法を使うことはできません。
FX会社も個人投資家が利用できない必勝法が為替市場に存在することを、決して教えてくれません。
金融市場は、情報の非対称性によって利益を上げる場所です。
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