見える者のさだめ 〜デザインチーム発足秘話
グリッド線……
デザイナー以外のものにとってはおおよそなじみの薄いこの言葉に、どれほどの「絶対グリッド感」がある者が泣かされてきただろう。一月のデザイナー向け説明会に参加して委員会に加わった3名もそういう面々だった。3人の名を、taito、ばっかす、ぐらという。taitoは休学中の大学四年生、UIUXデザイナーとしてとあるウェブサービスの会社に勤務中。ばっかすはデザイナーで、この3人の中では唯一女性。ぐらはメーカーでデザインストラテジーを専門にやっている。
ビジネスモデル図解は、keynoteという「マックのパワーポイント」で作られており、縦3×横3という並びの型が決められている。
しかし、主催者がいくら型を決めたところで、それを使いこなすのは人であり、人が手を動かして再現しようとする以上、大なり小なりズレが生じる。
もちろんそれは、パンピーには全く気にならない程度のもので、気にしない人には問題として認識されることもない。しかし、嫌煙家はどんなに掃除してもタバコの匂いのついた部屋に泊まれないように、絶対グリッド感のある人間にとっては許されることではなかった。
各企業で似たような現象は見られると思うが、パワーポイントを用いて資料を作る場合、大抵は「以前作った似たようなもの」からオブジェクトや文言をコピーしてきて体裁を整える。委員会でも同じで、ページを追加して新たなビジネスモデルを作る過程で、問題は起こっていた。
・まず、オブジェクトを3×3に並べるルールの、縦の線がないため、ぼんやりと位置がずれていく
・図解を進めていくと矢印や新たなパーツも増えるため、チャーリーが最初に用意したパーツでは足りなくなり自分で作る
・その新しいパーツを見た人が真似して自分でも作り、サイズが変わる
・明文化されたルールがなく、みんなが決まりをそもそも知らない
・そして、メンバーが作成した図解をレビューする際に、チャーリーがこっそり修正をしていたりすると、直されたことを本人が知らないままということも起こる
こんな調子で、なんとも言えない数ミリ、いやコンマ数ミリレベルのズレが蔓延していた。(上の図はよーーーーーーーーく見るとかくかくした矢印の長さが違う)
最初に立ち上がったのはtaitoだった。taito自身、デザインをするときには思考だけでなく表現にも責任を持つように気をつけている。その上でユーザーファーストを心がけ、ターゲットに明確な価値が届くように細心の注意を払っている。
だから、ちりもつもればズレ数センチという今の状況は目に余るものがあった。意を決してslackで、ガイドラインのテストタイプを投稿した。そこに、ぐらとばっかすの二人が反応し、図解のルールの明文化に向けて動き出すことになった。
新たなメンバーが加わり動き出す前に、我々の手で生産性向上のため、ルールを明文化しようではないか!
6月1日のことであった。
こうしてビジネスモデル図解制作委員会に「デザインチーム」が発足し、6月15日の会議までにガイドラインを作るべく、動いていく……。
続きは次号(あるのか?!)