ムーブメントの基本的な考え方③体幹部
こんにちは!
ストレングス&コンディショニングコーチでありムーブメントコーチの山越です!
前回はムーブメントにおいて重要な「ベクトル」について書きました。
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今回はムーブメントにおいて重要な「体幹部」について書こうと思います。
体幹部とは?
巷で体幹体幹とよく言われ、どこを指すのか人によって考え方が違うことが多いのですが、今回は
骨盤〜脊柱
で考えます。
前回までで、重心移動のための推進力を得るには
①推進力を得たい方向に得られるように適切な方向に力を加える。(ベクトル)
②地面、床から推進力となる床反力が返ってくる。(床反力)
について書きました。
今回はその床反力が重心を移動させるために必要な「体幹部の剛性」について書きます。
なぜ体幹部の剛性が必要か?
力を伝えるにあたって、その対象物が適度な剛性(硬さ、て思ってくれればいいです)がなければ力は十分に伝わりません。
釘を想像してみてください。
釘を体幹部、ハンマーを下肢と考えてみます。
下肢は筋肉隆々、大きな力を出すポテンシャルがあります。超高性能のハンマーです。
それに引き換え、体幹部が剛性が低く全く固めることができません。飴細工の釘だとしたらどうでしょう?
どれだけハンマーが大きな力を出してもその力を釘が受け止めることはできず砕け散るでしょう。
針金でも、プラスティック製の釘でも超高性能のハンマーで、思い切り叩いたら壊れると思いません?
以上のことから、下半身が地面、床に強く出力することで得た床反力を体幹部にしっかり伝え、重心を移動させるためには体幹部の剛性が必要なのです。
力を出す側(下半身)だけでなく、受け取る側・伝達する側(体幹部)も強い力を出せるようにするべきということです。
体幹部の剛性の高め方のポイント
では実際に体幹部の剛性を高めるにはどうすればいいか?
一昔前はドローインという考え方が広まりました。
簡単に言うとお腹を凹まして、固める方法です。
これに関しては有効な場面もありますが、ムーブメントトレーニング の観点で、体幹部が力を伝達する役割を果たす場合は違う固め方が適しています。
何故か?
ペットボトルで考えてみましょう。
ドローインというのはペットボトルが下図のようになっている状態です。
赤い矢印は腹腔内圧、つまりはお腹の中からかかる圧力。
青い矢印は外からの圧力、つまりは腹直筋や内・外腹斜筋、腹横筋などの収縮による圧力です。
この中と外からの圧力の差が大きいため、ペットボトルがひしゃげてしまいます。
このような状態は剛性が高まっていると思いますか?
大きな力が加わったらあっという間にペシャンコになってしまいそうですね。
ではどうするか?
下図のペットボトルを見てください。アブドミナルブレーシングという体幹部の固め方です。
中からも外からも適度な圧力のおかげでしっかりと剛性が維持されます。
中からの圧力は横隔膜によるもの。
この内外のバランスにより強度が保てるため、下半身から伝わる強い力をロスすることなく重心移動に使用することができます。
体幹部の剛性の鍛え方
いろいろありますが、シンプルにスクワットやデッドリフトなどのエクササイズの中で培っていけると思います。
下降局面で息を吸い、最も力がかかる切り返しの局面(スティッキングポイント)でお腹を膨らませたまま息を止めることで中からも外からも圧力がかかった状態が作れます。
どうしてもトレーニングの中でアブドミナルブレーシングの感覚が掴みにくかったら膝を立てて仰向けで寝て、息を吸ってお腹を膨らませた後、お腹を膨らませたまま息を吐く練習をしてみましょう。
お腹が膨らんだまま、体幹部を固める感覚を掴めます。
いかがでしょうか?
体幹が重要、と叫ばれて長い年月が経ちますが、体幹部がしっかり剛体化できないとパフォーマンスが発揮できない、上がらないということが理解していただけましたら幸いです。
ぜひ、体幹部をただ強くするだけでなく、パフォーマンスにつなげていく取り組みをレジスタンストレーニング やムーブメントトレーニングを通じて行なっていきましょう。
では、また。
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