デジタル写真家20周年の節目に大判カメラを振り返る(大判クラブ プロローグ)

90年代の4×5撮影スナップ_2

本格的にデジタルカメラを使用したのは2001年のD1Xからであったから、思えば本年は20周年ということになる。カメラマンとして仕事を始めたのは1986年であったから、前半の15年間はフィルム(リバーサル)撮影、35mm版から6×6、6×7、6×9と様々なカメラを使ったが、初めからカタログ用の撮影が主なテーマだったから、一番格闘したのは4×5の大型カメラということになる。しかも元々“特撮”に興味があった訳だから、特に4×5になってからは、本当に様々なテクニックを試して来て、おそらくそれを一生の糧にしようと思っていた。【ph:90年代のスタジオでのテクニカルワーク風景】

デジタルカメラに移行してからは、日進月歩のような目まぐるしいデジタル化の波に追われて来て、すっかりそんなことも忘れかけていたが、気が付けばもうすっかりよい歳になり、新しいことについて行くのもいささか興味も薄れ、もうちょっと若い奴にはかなわないなと思いつつ、ならばと自分の経験を振り返ると… そこにかつて情熱を傾けた大判カメラ という世界があるのに気が付いた。ということで、コロナ禍で暇も感じるようになった今春、大判カメラを今に活かす道を探ってみるのもよいかも知れない。幸い手元には長い間しまい込んだいくつかの4×5カメラと、十数本の大判レンズが残っているではないか!

大判カメラを再開するのなら、そのままフィルム撮影が手っ取り早い。幸いまだ何種類かの4×5用リバーサルフィルムも発売されていて、ちゃんと現像も対応してくれるラボも残っているようだ。(昔のように行きつけのプロラボで二時間待ちで即対応… とはいかないようだが)商品撮影のスタジオワークで必需品だったポラロイド(正確には筆者は富士のフォトラマ派)は残念ながら手に入らないようだが、露出や構図決定のプレビューなら現代はそれこそデジ一眼という、ポラどころか(カラーなら3分~、モノクロでも1分~かかった)即対応の強い武器がある。しかも高価な感材代もかからない。*かつては、本番のリバーサルフィルム代より、試し撮りのポラ代の方がかさむのがスタジオワークでは往々だったりした。

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【ph.当時の大判リバーサルフィルムやフォトラマが冷蔵庫に残っていた】

しかし趣味のスティルライフや作品作りならともかく、一応未だ現役の商業カメラマンとしては、顧客からの需要のないフィルム撮影に安易に手は出せない。また今更かつて持て囃された大判用のデジタルバックも今となってはあまり意味もない。またそんな高価な機材を今更導入する訳にもいかず、ここは使い慣れたDSLR(デジタル一眼レフカメラ )を活かすしかないだろう。これを使っている限り余分な機材投資やフィルムものようなランニングコストもかからないし、映像の出口は変わらないので、スタジオワークでのテザー撮影や調整処理もそのままで行けるという訳だ。

かくして大判カメラ+DSLRを使いこなすための戦いが再び*始まった。*よく考えるとこの戦いは十数年前に、カメラの高画素化に対抗する“ステッチング撮影”などで一時さかんに取り組んだり(※その後、カメラ本体の高画素化が進みあまり意味をなさなくなった)、その後もポジやネガのデジタル変換用の複写装置、大きなアオリを利用したミニュチュア風撮影や変形などの専用機… となんだか数年ごとに思い出したように取り組んできたのだが…

45改造カメラの遍歴

【4×5改造カメラの遍歴】


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